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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
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 まだ小学四年生の主人公には、奇妙な力があった。それは彼の血族にときおり発現する特殊能力で、どうやら言葉を使って、相手に条件付きの暗示をかけ、行動を促すことができるらしい。それは、いろいろな制約があるけれど、使いようによっては大きな危険を伴うものだった。
 主人公がその力を使うことがないように、母親は厳しくいいきかせて、気をつけていた。彼自身にも、力を使うつもりなんてなかった。ある事件が起きるまでは。

 主人公の大好きな女の子、ふみちゃんは、学校で起きた陰惨な事件に巻き込まれて、深い心の傷をおう。くだらない動機で事件を起こした犯人はまだ未成年で、このままではたいした社会的制裁も受けないまま、なしくずしに終わってしまう。この力を使って、犯人に制裁を与えることができないか――

 動物虐待のシーンが出てきたりするので、そういうものを読むのが辛いという方は、ちょっと要注意。しかし読んで損はない一冊です。

 辻村さんの本って、文庫版で買ってるんですけど、一冊ずつがすごく厚くて、買うかどうか迷ってるときにはその厚さが「うっ」って思います。でもいざ買って読みおえてみると、間違いなく面白い。といっても、まだ「スロウハイツの神様」と「ぼくのメジャースプーン」と「冷たい校舎の時は止まる」と、三作しか読んでないんですけど。

 序盤からぐいぐい引き込まれて魅了されるという感じではないんですけど、読み進めていくうちにだんだん序盤の複線が生きてきて、終盤はそれが怒涛の勢いで回収されていくんですね。坂を転がり落ちる岩のように、スピードが増していく。そしてラストには深い感動が待っている。

 いまから辻村さんの本を読まれる方は、もしも前半で躓くことがあっても、ぜひ最後まで読んでいただきたいなと思います。

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