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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
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 短編集。ごく短い十二本のお話のあつまり。

 すれ違う恋人たち、割り切れない苦しみ、家族への複雑な感情、……少し違うな。そんなふうに言葉にして要約しようとすると、その隙間からとりこぼれていく何か、のほうが、肝という気がする。

 文学がしばしばそうであるように、娯楽性に慣れきった身からしてみると、ひとつずつは読み終えて物足りない感じがありました。ストーリーが始まる前に終わってしまって、乗り出しかけていた身が肩透かしをくらうような感じ。え、え、それでどうなったの? ここでこの話、終わり? というような。話に起承転結があってわかりやすい結末があって、という構造に慣れきってしまっているんだなあ。

 でもひとつひとつのお話で、いちばん肝心の部分は、この中で書ききってあるんだろうなとも思います。その瞬間、みたいなものを、鮮やかに描き出してある。ラストの「そこなう」が一番好きだったかな。

 いつまでも胸をひっかくような後味が残る。感動して涙を流してカタルシス、みたいなのじゃなくて、読み終わって、よくもわるくももやもやする。だいぶ経ってからでも、きれぎれのシーンをふっと思い出す。
 文学とは……みたいなことは、学がないのでよくわかりませんが、文学賞をとった作品には、多かれ少なかれそういう手触りがあるような気がします。

 それにしても、くせになる文章だなあと思います。うつくしい表現がいっぱいある。描写の密度、しめった寂しさ。
 寂しいと叫んでいるような文章って、昔から妙に好きです。

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