忍者ブログ
小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
 大手企業で宣伝部の課長を務める主人公・堀江は、リストラによる早期退職を目の前にしていた。
 もう退職まで間もないある日、堀江のもとに、会長から名指しで、奇妙な仕事が舞い込んでくる。会長は私事で偶然撮影したというビデオを持参し、この映像を商品のCMに使えないかと言う。ビデオには、ひとりの若手経済学者が、マンションから転落した少年を受け止めて命を救ったシーンが写されていた。
 しかし堀江はそのビデオが、会長のいうような偶然に撮影されたものではなく、CGで巧妙に作られた作品だと気づく。堀江が会長にそのことを告げ、CM製作を思いとどまるように進言したとき、会長は「感謝する」という不思議な言葉を残して、その翌日に自殺した――


 藤原さんて、すごく綺麗な文章を書かれるんですけども、シーンの冒頭の一文の引き込みが強くて、いいなあと思います。ちょっと引用。

 壁に映る炎のいろがある。狂ったような赤だった。
 時計が目に入ってから気づいた。夕焼けのいろだ。ずいぶん長い間眠っていたのは風邪薬のせいかもしれない。出社時に着ていたシャツが汗でひどく濡れている。


 こういう書き出しがまた似合うんですよねー。いいなあ。わたしにも、格好つけるのが似合うようなクールな文章が書ければなあ。(人はそれをないものねだりと言う)

 暴力団関係者がたくさん出てくるので、任侠とか拳銃とか、フィクションでもそういうのはいやだ! という方にはオススメできませんが、個人的にはとても面白かったです。
 藤原伊織さんの作品には、フィクションらしい男のロマンがあふれていて、それがすごくいいなあと思います。文章がきれいで雰囲気が素敵で、作品の空気に存分に酔っ払える、小説らしい小説です。自分の中では、横山秀夫さんが好きなのと感覚的に近いかも。


 続きに拍手レスへのお返事です。

>ごーすとぼーい様
 ありがとうございます……! 読んでいただけてうれしいです。
 そうですね、頭の中には今後の彼らのエピソードもいくつかあるのですが、いまのところはただの思いつきの段階で、一本書くまでにはいたらず……といったところです。とくにモリゴエは(自分で言うのもあまりに恥ずかしい話ですが)、自分のツボに入ったキャラクターなので、まとまったストーリーにできそうだったら、いずれ続編のようなものも書いてみたいです。

拍手

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
E-Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
TrackbackURL:
プロフィール
HN:
朝陽 遥(アサヒ ハルカ)
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
朝陽遥(アサヒ ハルカ)またはHAL.Aの名義であちこち出没します。お気軽にかまってやっていただけるとうれしいです。詳しくはこちらから
拍手コメントをいただいた場合は、お名前をださずにブログ記事内で返信させていただいております。もしも返信がご迷惑になる場合は、お手数ですがコメント中に一言書き添えていただければ幸いです。
twitter
ブクログ
ラノベ以外の本棚

ラノベ棚
フォローお気軽にどうぞ。
最新CM
[01/18 スタッフ]
[05/26 中村 恵]
[05/04 中村 恵]
[02/04 隠れファン]
アーカイブ
ブログ内検索
メールフォーム
約1000文字まで送れます。 お気軽にかまってやってください。
カウンター
忍者ブログ [PR]