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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
 読了。

 ひさしぶりに会った同級生に誘われて、ふらりと入り込んだ夜市。そこでは、人でないものたちが店をかまえ、ありとあらゆるものが売られていた。何でも切れる剣、黄泉路の石ころ、老化がすすむのが遅くなるという薬……。気味が悪くなり、もう帰ろうという主人公だが、市で何か取引を行わない限り、けして外には出られないのだという。
 やがて同級生は、奇妙な昔話を始める。小さい頃、弟をつれてこの夜市に紛れ込んだことがある。子どもの持っていた金では、夜市で売られているものはなにひとつ買えず、やはりそのときも、何かしらの取引をしない限りは、けして家に帰れないといわれた。そこに行き会った人買いが言った、<坊や、お金がないなら、その連れている子で代わりに支払ってもいいんだぜ。そうすればすぐにここから出られるし、問題は何もなくなる>……

 幻想ホラー。表題作の『夜市』と、『風の古道』という二本の中篇が収録されています。
 わりと怖い系のお話は苦手なんですけども、こちらはホラーはホラーでも、色気というか、情感があってよかったです。
 色気っていっても、エロ的な意味じゃなくて。艶というか、余韻というか……

 幻想怪奇なんだけども、不条理なホラーというのではなく、夜市や古道にまつわる道理が、感覚的に胸の深いところにしっくりくるのがいいなあと思います。日本の精神文化の髄のところを汲んだような……といったら大げさでしょうか。
 こういうホラーならまた読みたいな。

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