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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
 読了。

 少女は夜の町を逃げていた。パトカーのサイレンから。自分がはずみで大怪我を負わせてしまった、血のつながらない父親から。大人になんてなりたくないという自分の気持ちから。
 身を隠すために、ダストシュートから飛び込んだ少女は、ゴミの山の中に、奇妙なものを見つける。凍った裸の少女。その身体はどう見ても凍りついているのに、おかしなことに、その女の子は息をしていた。そして手に、似合わない銃を握り締めていた。
 おりしもその夜、学校の裏山に謎の隕石だかUFOだかが、墜落したというニュースが報道されていた。


 ――毎日どこかで、ぼくたちは大人にころされてる。心とか。可能性とか。夢見る未来とかを。足蹴にされて踏みつけられて、それでもまた朝になったら学校に行かないといけない。
 そういった殺戮は、日本中いたるところで毎晩のように起こっているんだ。この瞬間だって、泣きそうになって夜空を見上げている中学生は、ぼくだけじゃない。同じ夜空を見上げている誰かが、いるはずなんだ。

 青春小説。大人に対する不信感でいっぱいで、傷つきやすくて、家族や周りの大人の言動に傷ついたり怒ったりしてばかりいて、逃げ出したくて、息苦しくて仕方がない。
 同じ青春小説と言う触れ込みのものを読んでも、共感できるときとそれほど共感できないときがあるんですけども、桜庭さんの書く思春期は、なんだか自分にも覚えのある感情がよみがえってきて、胸に突き刺さります。主人公が少女だからかもしれないんですが……

 ちょっとラストが実験的な感じでして、わたしは割と何でも白黒つけたい性格なので、ストーリー上で明らかにされなかった部分に、ちょっともやもやするような感覚もあり、どちらかというと先に読んだ『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』のほうが好きだったかもです。

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