ブログに書こうかと思って打ちかけたはいいけれど、なんとなくそのままUPしないで終わってしまった雑文とかって、消すのもめんどくさくなって、そのままパソコン上の下書きファイルの中に残ってたりします。
そのファイルを開いていて、ふと思い立ってスクロールすると、「マルゴ・トアフ~」連載前後に書きかけていた日記で、あまりにも愚痴と弱音しかないので反省してUPしなかった書きかけの文章が、三万文字ちょっとありました。
それだけの時間があれば別の小説を一本くらいは書けたでしょ……? と過去の自分を正座させて説教したくなりました。なんとも無駄の多い人生です。
空想科学祭を読み終わったので、ぼちぼち積読に手を伸ばしはじめています。ここ数日、バスの中でちびちびブラッドベリ「太陽の黄金の林檎」を読んでいました。
美しいです。
物語全体が美しいんだけども、びっくりするくらいツボにハマる情景描写があったりして、読んでいて頻繁に悶絶します。
わたしがブラッドベリを最初に読んだのは代表作「華氏451度」で、そのときにも文章の美しさに気付いてはいたのですが、テーマやストーリー全体の重さのほうに打たれて、そちらの印象のほうが強く残っていました。
いま、ほかの短編集をつまみ読みしていると、内容も好きなんだけど、その前に文章が好きだなと思います。
こんなときには、自分に英語力があればと、悔やまれます。原文で楽しめるスキルがあれば、もっと深く楽しめるだろうになあ。
地方にはこんなことでも時間差があるのか、ブラッドベリの訃報の直後には、地元の書店にはとりたててブラッドベリ作品が特集されているような気配がなかったのですが、しばらく経ったいまごろになって、ふと気付くと、前には置かれていなかったタイトルが地味に増えています。これをいい機会に、またちょっとずつ追いかけていこうかな。
おととい拍手コメをいただいていました。ありがとうございました!
お心当たりの方は、もしこちらをご覧でしたら、お手数ですが末尾の「つづきを読む」のところご確認いただければ幸いです。
きのうは仕事が終わってから、踊るFINALを観にいってきました。ネタバレを避けるため、内容については触れませんが、面白かったあー!
FINALって、ホントのホントにFINALなんでしょうか。「帰ってきた」とかやらないのかなあ。
本編はどうかわからないけど、スピンオフくらいはあるんじゃないかと期待しつつ。
水曜日はレディースデーだから、平日とはいえ混むんじゃないかと思ってどきどきしていましたが、いざ行ってみたら、がらがらでした。平日夜の回ってそんなものか。長崎は、数年前に大きな映画館がひとつ増えまして、有名タイトルは両方の映画館で放映するので、観る人も分散してるのかもしれません。
あんなに空いてるんなら、たまに平日の夜にふらっと何か観にいってもいいかなー、なんて思いつつ。
映画、あんまり観ないほうなんです。嫌いとかじゃなくて、観れば楽しいんだけど、何時間もじっとしてるのが、じつはちょっと苦手。(子どもか)
よほど好きなタイトルでなければ、つい足が鈍くなってしまいます。ふと「このまえ映画館まで観にいったのって、なんだったっけ……?」と振り返ると、踊る3でした。なんてこった!
そういいつつも、映画館は好きです。飲み物買って、ざわざわしてる中でそわそわ上映を待ってるのも楽しいし、予告も楽しいし。でもそれ以上に、そこにいるあいだ映画を観ることしかしない、っていうのが好きなんだと思います。
家で、DVDや地上波放送を観てるときには、途中でちょっと中断して別のことしたり、CM中に飲み物入れたりトイレいったりとかするし、家族が隣にいれば話しかけられて気がそれたりもするし、いいところで猫が隣の部屋で吐くのが聞こえてきたり(涙)、そうやってちょこちょこ意識が映画の外に出ちゃうけど、映画館では、これから二時間(あるいは三時間)、「さーいまからこの映画を観ることだけに専念するぞ!」という気概というか、作品との約束がある。それが好きなんだなと思います。
小説でも、できれば完結してから時間のあるときに、のめり込んで一気読みしたい派だから、そういうのも関係してるかもしれません。
11月の「のぼうの城」は、ふるい友達と観にいく約束してるんだけど(原作が大好きだから、がっかりしたらどうしようかと思って、実はちょっと怖いんですが……)、予告を見てたら、「任侠ヘルパー」がちょっと気になりました。
そっちも11月とのこと。そのころ仕事がばたばたしてなければ、仕事帰りにでも観に行きたいなー。
続きは拍手への返信です。
照れた顔がオカメインコに似ている、と彼女にいったら、平手打ちを往復で喰らった挙句に連絡が取れなくなった。
可愛いと思ったのに、何がいけなかったんだろう。
……という相談を自称宇宙人の同僚から受けてわたしが頭を抱えたのは、月曜日の昼下がりのことだった。
喫茶店は空いていた。ほかには主婦らしき女たちの集団がひと組と、じいさんが二人と、営業途中で涼んでいるらしいサラリーマンがひとりいるだけ。わたしたちのように図書館員でなくても、平日休みという人はたくさんいるだろうに、平日の昼間にうろついている勤労者層の姿がやたらと少ないのは、いったいどういうわけなんだろう。
ここが地方だからか。あるいはわたしが思っているよりも、世間では土日休みの人間が圧倒的多数を占めているのか。それとも平日の昼間に出歩くことに、みんななんとなく後ろめたさでもあるんだろうか。
同僚はいかにも悄然としたふうに肩を落としているけれど、その顔はまったくの無表情だ。ジェスチャーはともかく、地球人の表情を模倣するのはなかなか骨が折れることなのだと、いつだったか真面目な調子で話していた。どこまで本気かはわからない。いや、本気は本気なんだろう。少なくとも本人にとっては。
「そのとき彼女、泣いてなかった?」
「もしかしたら」
そうでしょうね、とため息を落とすと、同僚は顔を上げて、じっとわたしの目を見た。表情らしい表情がないにも関わらず、それが教えを請う生徒のまなざしだということは、なんとなく見分けがつくようになってしまった。長いつきあいというのは、しばしば不本意なものだ。
「あのね」
言葉を探す数十秒の沈黙のあとに、わたしは口を開いた。同僚はうんうんと熱心そうにうなずいている。いつもどおりの、無表情のままで。
「覚えておきなさい。日本の女性に、オカメは禁句」
そういうと、同僚は首をかしげた。何か訊きたいことがあるけれど、質問していいのだろうかと躊躇しているのだ。
何? と顎でうながすと、自称異星人は背筋を伸ばした。
「オカメと、オカメインコは違うと思っていたのだが」
思わずため息をもうひとつ。前髪をかきあげて、いった。
「違うけど、それでも禁句。OK?」
「……OK」
うん、とうなずき返して、冷めてしまったコーヒーを一口すする。悪くない。冷めても美味しいコーヒーというのは、なかなか貴重なんじゃないだろうか。
ガラス越しの外を見る。まだ七月上旬だっていうのに、真夏めいた強烈な陽射し。アスファルトの上には陽炎が立っている。これからの長い夏が思いやられるような光景だ。
「もうひとつ、質問しても?」
同僚が顔を上げて、気真面目にそう問いかけてくる。目線でうなずくと、彼は真剣そのものの口調でいった。
「オカメインコは可愛いと思うのだが、その感覚は地球人とそんなにかけ離れているだろうか?」
ああ、もう、なんていったらいいのか。
肩を落として、空のカップをテーブルに置いた。スプーンが陶器に触れて、思いがけず澄んだ音が響く。窓の外に顔を向けると、老夫人がひとり、きれいな模様の日傘を傾けて、通り過ぎていった。
視線を戻して、真面目くさった同僚の顔を見る。何度目かのため息が漏れる。宇宙人と付き合うのは、難しい。
この向こうから来たんだ、といいながら同僚が指さしたのは、職場にあった星座の本の中ほどのページで、その指の下にあったのは、ヴェガだった。こと座の中で燦然と輝く、いわゆる織姫星だ。地球からは、二十五光年ほど離れている。
さらにその向こうからやってきたと、彼はいう。
その頃わたしは、折悪しく、当時の恋人とこじれて別れるかどうかという瀬戸際だった。間の悪いことにその日は生理前でいらいらしてもいて、仕事でも面白くないことが続いて、まあ要するに、ちょうど誰かに八つ当たりしたい気分だったのだ。だから、いつもだったら適当に聞き流すようなこの男のホラに、反応してしまった。
「光速で飛んでも二十五年以上かかるところから、どうやってきたわけ。超光速航法でも見つけた? 地球のすぐ近くに出てくるワームホールでもあった?」
自分でもびっくりするくらい、意地の悪い口調だった。
口から飛び出した毒に、自分で中てられて動揺するわたしに向かって、彼はいつもの真面目な顔で、真面目に答えた。
「まさか。最新式の船でも、光の速さの半分も出ないよ。だから自慢の宇宙船ではるばる七十年かけて、やってきたんだ」
目もそらさなかった。まるで当たり前のことをいうような、普通の調子だった。
「……あんた、いったい何歳なわけ」
思わずツッコんだ声からは、もうさっきまでの毒は抜けていた。
「僕らの星の数え方では、もうじき百八十二歳になる。地球換算では……何歳だったかな」
僕らは不老不死みたいなものなんだと、同僚はいった。そこだけなぜか、小声だった。
あ、そう。間の抜けた声で、わたしはそれだけいった。
「彼女が僕を許してくれる可能性はあるだろうか?」
その質問にすぐには答えずに、同僚の真面目くさった顔を、いっとき眺めていた。髪型と服装が微妙にダサくて、やや痩せすぎの感はあるけれど、ごく平均的な顔立ちだ。五人そこに女がいれば、一人くらいはちょっといい男だと評するだろう。
オカメインコ呼ばわりされた女が、相手を許す気になる可能性は、何パーセントくらいだろう。真面目に考えてみる。難しい問題だ。彼女が自分の容姿に、どれくらいコンプレックスを持っているのか。どれくらい本気で、彼に対して恋愛感情を抱いていたのか。
情報が足りなさ過ぎて、なんともいえない。連絡が取れないというからには、厳しいような気もするし、冷静になれば話を聞く気になる可能性も、ゼロとはいえない。なんせ堂々と日ごろから自分のことを宇宙人だという男だ。これと何か月か付き合っていたというのなら、突飛な言動には耐性があるだろう。
「まあ、あと一週間くらい連絡し続けてみて、それでも駄目だったら諦めたら?」
返事がなかった。三秒待って、気の進まない説明を続けることにした。
「ストーカー規制法っていうのがあってね、相手が嫌がるのにしつこく連絡を取り続けたり、家のまわりをうろうろしたりすると、法律に触れちゃうの。わかる?」
同僚は三秒考えて、わかった、君のいうようにしてみるといった。
それきり同僚は口をつぐんで、ちびちびとお冷を飲みだした。
体質的に、カフェインが苦手なのだそうだ。喫茶店に来て何も頼まないのはマナー違反だと教えたら、コーヒーを頼むだけ頼んで、自分の分までわたしに押し付けてくれた。おかげでわたしの胃はコーヒーでたぷたぷだ。どうせなら違うものを頼んだらいいのに。
「地球人の恋人を作ることに、意味があるわけ?」
訊いたのは、なんとなくだった。前のときのような、意地悪な気持ちからの質問ではなくて、ほんとうになんとなく、その問いはぽろっと口からこぼれてきた。
だって、不老不死とかいうし。それならせっかく恋人同士になったって、地球人なんかすぐに死んじゃうでしょうに――なんて、信じてもいないくせに、そんなことを考える。
同僚は軽く首をかしげた。それから淡々としたいつもの調子で、答えを口にした。
「ひとが生きることに、意味があるというのなら」
その言葉を聞いて、わたしは目をつぶった。三秒考える。考えて、それ以上考えるのをやめた。
かわりにあいた頭のスペースで、別のことを検討してみる。オカメインコみたいだというその彼女が、この宇宙人を許す気にならなかったと仮定する。そのあとこの男がほかの恋人を探すつもりになったとして、そのときわたしがこの男に惚れるのは、ありかなしか。
三十秒で答えが出た。なしだ。
へんに興味を引かれているのは事実だけど、同僚としてならともかく、恋人には向かない。何をするにもいちいち気を揉みそうだし、それに第一、わたしまでオカメインコ呼ばわりされるのはまっぴらだ。
「さ。もう出ようか。ここ、奢ってくれるんでしょ」
飲食店であまりに長居するのも、マナー違反になるんだよと教えると、同僚は二度瞬きをして、重々しくうなずいた。とても重要なことを教わった、とでもいいたげな仕草だった。
その気真面目な態度を見ていて、ふと苦笑が漏れる。なしったら、なし。
コーヒー代を払う同僚に背を向けて、先に店外に出る。陽射しがまぶしい。いやになるほど晴れている。
そういえば、今日は七夕だった。
夜には天体観測と洒落こもうかと考えながら、陽炎のたつ舗装を踏みしめる。
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お題:「オカメインコ」「じいさん」「不老不死」
先日ちょっとヴィレッジヴァンガード(http://www.village-v.co.jp/)をのぞく機会がありまして(あの絶妙にうさんくさい品ぞろえがけっこう好き)、「続・民族衣装」なる、オールカラーの文庫本を衝動買いしました。
レジに持って行ってびっくりしたんですけど、小型文庫本とはいえ、160ページくらいオールカラーなのに、定価300円くらいでした。何をどうしたらそういう価格設定になるんだろう……?
ヨーロッパ・アジア・アフリカにオセアニア、南北アメリカと、広く各地の民族衣装の絵が載っていて、そこに簡単な解説が添えられています。解説はごくざっくりしていて、これ一冊あれば小説の資料になるぜというようなものでは全くないのですが、ぱらぱらめくっていると、けっこう楽しいです。「コサックってこんななんだ……(ぽかーん)」とかなれます。
19世紀に活躍したフランスのデザイナー、オーギュスト・ラシネの編纂した「服装史」から、一部の図版を抜粋したものらしいです。「続」じゃないほうもいつか機会があったら眺めてみたいなあ。
衣装だけでなく、それを着ている人々の顔も、かなりその民族の特徴をとらえた絵になっているようで、興味深いです。(といっても、どこまで正確なのかは、読んでいる自分のほうに知識がないため不明)
日本の項もあって、見ている限りでは、時代劇で出てくるような衣装と同じに見えます。かなりの研究のはてにまとめられたものなのだろうと思うのですが、それにしても、いったいどうやって調べたんでしょうか。
当時一般的でもなんでもない奇抜な格好の人が、たまたまモデルにされちゃったりとかして、もしその時代のその地方のひとたちが見たら「なんでよりによってその服を選んで載せたー!」と総ツッコミしたくなるような事故とかなかったんだろうか……?
今回は中編部門からピックアップ。例によって、ほかにも良作力作いろいろとあったのですが、ここでは個人的な好みに基づいて、二作品紹介させていただきますね。
「吉祥寺宇宙人事情」 時雨煮さま
http://ncode.syosetu.com/n7463bh/
地球人にはその存在を知られずに、ひっそりと地球で暮らしている宇宙人たちがいる。主人公の亡くなった祖母は、どうやら彼らの「相談役」として、ひそかに活躍していたらしい。
祖母の葬儀が終わったあと、主人公はよくわけがわかっていないながら、その相談役を引き継いでみることに決めるが……
事件を解決すべく走り回る展開でありながらも、ストーリーとしては、全体的にのんびりとしています。宇宙スケールの設定など、ちょっとした拍子に垣間見えつつも、本編に悲壮感とか壮大なアレとかは、あんまり感じられない。手に汗にぎってとか、読んで滂沱の涙がとかいう作品ではないです。
だけど、声を大にしていいたい。わたし、このお話、大好きです。
キャラクターと、描写と、小道具、それからSF設定のさりげない魅せ方。妙に鈍くてすっとぼけた主人公が可笑しいやら、周りの宇宙人たちがみょうに親しみが持てるやら、猫に寄生した宇宙人たちが可愛いやら……もう大好き。それから小道具とか言葉選びのセンスが、絶妙にツボでした。
小説の本質は、筋書きや構成ではなくて、細部に宿ると思う。オススメです。
「星の海から“StackedAges”」 ぷよ夫さま
http://ncode.syosetu.com/n6383bh/
若くして宇宙軍の中佐になり巡洋艦の艦長を務める主人公は、これからおもむく外交任務のサポート役として、腕のいいテレパスを預かることになる。けれどやってきたそのテレパスは、たった十四歳の女の子で……
ライトなタッチの掛け合いから始まって、やがて壮大なスペースオペラへ。楽しくも美味しい小説でした。
じつは最初のほうを読んでいるときには、自分の好みからするとややライトすぎるかなあとか、描写や細部の設定がざっくりしてるなあとか、ちょっと思ってたんです。(ほんと棚上げで申し訳ない……!)
だけど、読んでいたらいつのまにかがっつりはまってました。はじめのうちにはちょっと気になっていたようなことも、読んでいるうちにだんだん味に思えてきた。
なによりキャラクターがよかったです。
ヒロインであるところのマキちゃんが、なんていうかもう、可愛すぎです。協力なテレパシーを持っているがゆえに、近くにいる人々の思考が筒抜けで伝わってしまう。そのせいで、いろんな大人の事情を見ながら育ってしまった女の子。そのぶんひねくれてるんだけど、でも芯のところはまっすぐで。
実はデキる男なのにすっとぼけた主人公もよかった。昼行燈とみせかけて、いざというときに見せる頼りがい。そして彼のとぼけたキャラクターのおかげで、重いはずのストーリーが読んでいてちっとも苦にならない。終始読んでいて楽しかったです。
期間中に間に合えば、短編からも何本か紹介したいなあ。掌編部門については、今回そもそも参加作品数が少ないですし、あらためてオススメをピックアップしなくても多くの方が読まれるんじゃないかなと踏んでますので、あえて割愛させていただこうかと思います。(すみません……)
ほかにも良作多数ですので、お時間のある方は、作品ページ(http://sffestafinal.kumogakure.com/sakuhin.html)のあらすじなど参考にされつつ、ぜひほかの作品も読んでみられてくださいね。
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