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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
 宮部みゆき「ソロモンの偽証」、文庫版全6巻を発売時に大人買いしてそのまま、一気読みできるタイミングを計るべく積んでいたんですが、昨日の夜から今日にかけてぽかんと時間が空いたので、いまこそだよ! と言わんばかりに読みました。てか、ほぼ一日で読めちゃうんだね六冊ね……もともと読むのが遅いほうではないけども、自分でびっくりしました。ほかに何もしなかったからだけど!
 まあでも、ほかの作家さんの本だったらまず無理な気がします。読みやすさと面白さとあってこそだよねー。

 面白かったです。ミステリで、ひとつの話を描くのに、文庫6冊で計3000ページ超というのはいかにも長いし、宮部みゆきさんみたいな実力派で実績のある作家さんじゃないとやれないことだよなあとか、いらぬ大人の事情に思いをいたしつつ読了。読み応えありすぎですが、とはいえ絡まり合ったたくさんの人間関係と、登場人物それぞれの人物像を掘り下げて書かれているからこその面白み。
 大人になって時間がなくて、長い小説に手を出すことがだんだん稀になって、このごろでは、一話完結方式のシリーズものならかろうじていくつか追いかけているけれど……というところ。でも、たまにこうやって長くて読み応えのあるのを読んでいると、やっぱりこの種の小説の面白さって、ある程度の長さがあってこそのものだよあなと思います。文庫本一冊完結くらいの尺では生まれがたい種類の感慨とか、愛着とか、あるよね。

 小説やシナリオの指南書のたぐいを見てると、主要登場人物以外のキャラクターには不用意に厚みを持たせるなというのがひとつのセオリーのように語られていますが、そんなセオリーはしょせん、こういうのをがっつり書き切るだけの実力がない人向けの無難な指図だよなとか思ったりも。まあ指南書ってそういうものかな。

 さておき、六巻目の最後についていた後日譚の中編で、杉村三郎さんのその後が登場していて「おおっ」となりました。「誰か」「名もなき毒」「ペテロの葬列」と続く三部作の主人公。わたし、宮部さんの数ある作品群の中でも「名もなき毒」が一番好きで、五回くらい読んでます。シリーズ通して、三作とも重くてやるせない事件を扱う話なんだけど、杉村さんの人のよさが読後に残る。

 宮部みゆきさん、時代物や現代ミステリでときどきこういう、作品間でリンクするような話を書かれますね。高校の頃からわりと長いこと追いかけているのだけれど、なにせ多作な方なので、読み逃しているものもちらほらあります。もしかしてほかにも杉村さんの登場する話って出てるのかなあ。

 宮部さんといえば、「悲嘆の門」もまだ積んでいたりして……仕事のストレスが溜まると本をドカ買いする癖があって、年齢が上がるにつれてじわじわストレス量は増えるし余暇は減るしで、このところ積ん読タワーの高さがいきおい増していまして、自分の散らかりきった部屋の散らかりきった積ん読コーナーを振り返ると、我ながらどん引きします。あきらかに転勤までに読みきれないだろこれ……

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 新作ではなくて、アンソロジーからの再録です。
 昨日の記事で書きました「僕らはいつだって本の虫なのサ6」の発売を記念しまして、というかこれを良い機会と思って、僕虫4のときに寄稿した短編を、サイトで公開させていただくことにしました。

 去りゆく七月の空に
 現代/完結済み/怖くない幽霊

 根はまじめなんだけど、かっとなったら手が出ちゃう血の気の多い性格のせいで、痛い目を見てきた二十二歳の男の子が、お客を殴っちゃって店を辞めて、住むところに困り、幽霊つきの格安アパートにうつり住むという話です。幽霊、出てはきますが、一ミリも怖くありません。怖い話は自分が怖くて書けないので!

 当時は、アンソロジーの中の一本とはいえ、いちおうはお金を出して読んでいただいたものを、無料でいつでも読めますよというのはどうかなあと思って、ひとまず公開を遠慮していたのですが(編集を担当されたHONET様からは、公開の判断は各自に任せますと言われていました)、もうあれから4年も経ったし、僕虫4の販売も終わっているようだし……ということで、この機会に。

 よろしければ、お時間のあるときにでも読んでやってください。

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 明日の文学フリマin大阪、C-42のCafeCappucci様で出される「僕らはいつだって本の虫なのサ6」。投稿小説サイトTotal Creators!様のつながりで製作されたアンソロジーで、わたしもひっそりすみっこのほうに、「ひとり」という小説を寄せさせていただいています。現代もの、というにはちょっと古くさいテイストなんですが、ともかく恋愛もの……というほど恋愛ものでもないような気もするけど、ええと、なんかそんなかんじの短編です。(ひとつも中身が伝わってこない紹介文)

 今回のお題は、「実在する本を小道具として作中に出す」でした。詳しい紹介は、ひじりあや様が作成されたこちらの記事・動画に。

 ご縁があって、ねじ様の「サンドイッチとテディベア」を下読みさせていただいたのですが、じわっと切なくて胸をつかまれる、素敵な短編でした。ほかの方々の作品はわたしもまだ読めていないのですが、実力派の方々が寄稿されていますので、読むのをとても楽しみにしています。というかぶっちゃけ場違い感にうちひしがれるので自分の書いたのを校正終了後まったく読み返していない始末。うん……。

 さておき。本のタイトルに「6」とついてはいますが、シリーズ物というわけではなく、独立したアンソロジーになっています。明日文フリに行かれる方は、ぜひチェックしてみられてください。

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朝陽 遥(アサヒ ハルカ)
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自己紹介:
朝陽遥(アサヒ ハルカ)またはHAL.Aの名義であちこち出没します。お気軽にかまってやっていただけるとうれしいです。詳しくはこちらから
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