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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
 明治時代の岡山地方を舞台にした短編集。女郎として売られてきた女が客に語るいまわしい生い立ち。コレラの蔓延する村で密告箱の管理をする役人の懊悩。女は殴っていうことを聞かせるものだと思い込んでいる夫との暮らしに疲れ果て、許されない恋に走ったあげくに追い詰められた女。貧しい村で忌み子として疎まれながら育った兄妹と、二人の周囲にまとわりつく牛頭の化け物の影。

 タイトルの「ぼっけえ、きょうてえ」というのは、岡山の方言で「とても、怖い」というような意味だそうです。
 私、正直なところ怖いものはとても苦手でありまして、こちらの本は表紙からしてすでに怖い予感満々で、かなり躊躇しましたが、しかし尊敬する方からのオススメだったので、ぐっと気合を入れて買いました。そしたら本当に怖かった……。ぎゃー!

 怪奇の意味でも充分すぎるほど怖いけれど、それよりもむしろ人の心が恐ろしい。そんな小説ではありますが、それ以上に情感があり、悲哀があって、とてもよかった。つらく重苦しい話を読んで「よかった」というのも、少しニュアンスが違うかもしれませんが、しかし、間違いなく出あえてよかった本です。
 怖い怖いといいながら、またいずれ読み返す気がしています。怖いもの見たさのためではなく。

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