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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
 時代は江戸、舞台は大阪。寒天問屋をいとなむ大阪商人・和助がゆきあった少年は、仇討ちに巻き込まれて殺されそうになっている武家の子息だった。
 見るに見かねて声をかけ、大枚をはたいてまで少年の身柄を引き取ることにした和助だが、その金は、火事でうしなわれた天満宮の再建のために寄進するために、苦労してようやくかきあつめたものだった。
 周囲の反対にあいながらも、少年を丁稚として使うことにした和助。武家で育った子どもが使い物になるはずがないという周囲をよそに、当人は一心に精進をかさね、商人として、職人としての心がけを身につけてゆき……。

『みをつくし料理帖』シリーズではまって追いかけはじめた高田郁さんの本ですが、負けず劣らずこちらもよかった。あちらは女料理人が主人公ですが、銀二貫も、寒天問屋が舞台ということで、食にかかわるお話です。
 寒天は、それだけでは主役にはならないけれど、ほかの食材と組み合わせることでその真価を発揮する。もっとコシの強い寒天があれば、料理の可能性はさらにひろがるのに……そう悔しそうにいった恩人の願いにこたえるために、新しい食感の寒天を作り出そうと、頼み込んで天場にいれてもらうことにした主人公。身を粉にして工夫を凝らす日々、何年もの時間をかけ、忍耐強くさまざまな手段を試して、ようやくできあがった寒天とは……

 慣れない環境におかれた少年が、必死にものごとを学び、苦労を重ねながら成長していく。ときにつらくあたられ、ときになれない重労働に苦しみ、けれど彼を見守るあたたかい目もまた、そこではいつも注がれている。
 誠実で、情に篤い人々のお話。人情モノがお好きな方はぜひ。

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