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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
森見 登美彦
新潮社
発売日:2006-05

 森見さん定番の、青春をこじらせた腐れ大学生が主人公。鴨川に並ぶ男女のカップルにささやかな邪魔をする、不毛な妄想に明け暮れる等々、ずっと女っ気のない青春を過ごしていたけれど、三回生のときに「魔が差して」仲間を裏切り、水尾さんという恋人をつくる。しかし、その彼女にもあえなくふられてしまう。納得がいかない主人公は、「彼女はなぜ私のような人間を拒否したのか」という疑問の解明をめざして、彼女の観察・研究を続けるというのだが……

 こんなに好感の持てるストーカー主人公がはたしてほかにいるものだろうか。(反語形)
 情けなさとひねくれ方、自虐っぷりが絶妙に愛らしい、なんともダメな主人公。ちょっと駄目な人、残念なかんじの人、弱い人が、読んでいるうちにだんだん愛しく思えてくるような、そういう小説って、とても好きです。

 ユーモラスな筆致で進む展開、ゴキブリキューブなる恐ろしい存在が登場し、途中には「ぎゃあああ!(涙目)」な場面も若干ありましたが、読み終えてみればラスト、絶妙に切なかったです。なんだかんだいっていいやつな主人公の、とほほな感じがなんともいえない。

 こちらがデビュー作なんですね。とても面白かったのですが、こちらを購入した時点では、わたしはすでに森見ワールドの魅力にとりつかれていたので、冷静な判断ができているかどうかは、ちょっと自信ないかなあ。読めば読むほどじわじわとクセになる作家さんだと思うので、ご興味がおありの方は、ぜひ二冊三冊と続けて読んでみていただきたいと思います。って、どこかの勧誘員か!

 森見さんの本はいずれ揃えたいので、文庫化まで待つ所存でいたのですが(収納と転勤の都合上、揃えたい作家さんほどなるべく文庫で買いたい)、先日うっかりガマンしそこねて、ペンギン・ハイウェイを単行本で買ってしまいました。あと既刊で読めてないのは、「宵山万華鏡」「四畳半王国見聞録」「聖なる怠け者の冒険」の三冊か。うわー。待てるかなあ。

 ほかの作品の感想は、また後日あらためて。ちょっとこのごろレビューさぼりすぎてえらいこと溜まってきた!

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