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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
 恩田陸 『まひるの月を追いかけて』読了。
 ……私は「自重」っていう言葉の意味を辞書で調べなおすといいよ。い、いや、これは本をお貸ししていた方が、返しがてらに貸してくださったんです。これは早めに読んで返さないと、ということで。

 しかし、せっかく借りたんですが、うーん。どうもすっきりしなかった……。この本が悪いんじゃなくて、どちらかというと私の感性が鈍いせいで、正しく楽しめなかったという気がしています。ぜんぜん面白くなかったというわけではないのだけれど、いまいち主人公に共感できなかったし、展開に没頭できませんでした。無念。
 主人公の女性が、奈良の飛鳥地方を旅しながら、ふだんめったに会わない異母兄と、彼を愛した女性との不思議な関係を知っていく話。……でいいのかな。「こういう話」っていう紹介がしにくいです。私がこの話の本質を掴んでいない証拠のような気がする(汗)
「人には、他人からは見えないそれぞれの物語がある」みたいな話なんだと思うんですが。

 いままでに読んだ恩田陸さんの本のなかでは、常野物語シリーズ(『蒲公英草子』、『光の帝国』)がいちばん好きです。短編集で、常野一族という不思議な能力を持つ人々の話。長命だったり、いろんなものの膨大な記憶を自分の中に「しまって」おけたり、遠見ができたり、予知ができたり、そういう人たちが、人に紛れて暮らしている。一話一話がけっこう濃密で、文句なしに楽しめました。悲しい話が多いのですが、救いがあって、むしろ後味はよかったかな。

『六番目の小夜子』は、読後感があまり好きでないんですが、読んでいる間はかなり没頭しました。引き込みの強い文章で、特にクライマックスの体育館のシーンはぞくぞくしました。それだけに、最後がちょっと拍子抜けしてしまった……。ストーリーを楽しむというよりは、不思議を解釈せずにそのまま楽しむ話なのかなと思います。(ピントはずれかもしれませんが)

『ドミノ』も、読んでいてかなり楽しかった覚えがあります。つぎつぎに視点キャラがバトンタッチしていって、ひとつの物語を紡ぐ形。あれだけキャラクターがたくさん出てくるのに、すんなり頭に入っていくのは、さすがのテクニックだなあと思いました。

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名前しか知らない作家さんです。
常野物語シリーズってのが短編集ということもあり、
機会があったら読んでいようかな、と思っています。

それにしても、まだまだ知らない作家、知らない作品がこれほどまでに多いとは。
それだけ感動出来る機会を逃しているのかも知れないですね。
Posted by 山田さん 2009.02.07 Sat 22:33 編集
山田さん様へ
 恩田さんはけっこう熱烈なファンが多いと聞くような気がしますが、けっこう一作一作の雰囲気が違うので、下調べor買う前にちょっと立ち読み推奨かもです。私は合う作品と合わない作品があるみたいで。
 そういえば、最初に私が「この人の本、よく見かけるなあ」と思って気まぐれに買った『図書室の海』は、どうやら過去作品の番外編を集めた本だったらしく、読むなり話が分からなくて「???」と途方に暮れた覚えがありますw(あらすじくらい読んで買えばいいのに……)

 読んだことの無い作家さんに初めて手を出すときって、ちょっと思い切りがいりますよね。一作読んで面白かったら、次はためらわないんですけど。
Posted by HAL.A URL 2009.02.07 Sat 23:26 編集
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