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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
宮部 みゆき
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2011-03-01

 時代もの、怪談。表題作ほか五篇を集めた短編集。

 旅先で相部屋となった老女の昔語り。彼女の故郷の里には、ひそかにばんば憑きという秘法が伝えられているのだという。死んだばかりの者の魂を呼び出し、その死者に強く怨まれている生者の体へと下ろし、宿らせる。憎き仇の体に宿った亡霊は、恨みの一念でもてその者の魂を喰らいつくし、やがてすっかりと成り代わってしまう――『ばんば憑き』
 博打眼という化生がいる。それと契約を結べば、どんなに大金のかかった勝負でもかならず勝つようになる。ただしその代わりに、そうやって稼いだ金をどんどん使って、博打や酒や女にひたすら蕩尽せねばならない。そのような暮らしをしていれば、やがて体もぼろぼろになって、長生きもせずに死んでしまうという――『博打眼』

 怖かった。……のだけれど、おそろしくも悲しい話の合間に、思わずほっとして頬が緩むような心温まるエピソードが入ってくるのが、宮部さんの怪談の最大の魅力だと思います。あと、子どもたちがとびきり可愛いのも。
 収録された六篇、いずれも秀逸でしたが、中では『博打眼』がいちばん好きでした。

『ぼんくら』『日暮し』でおなじみの政五郎親分、『あんじゅう』に出てきたお侍・青野利一郎や行然坊が登場するので、ファンにはそういう意味でも嬉しい一冊。

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