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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
 旧約、そして新約聖書へ。ユダヤ教からいかにしてキリスト教がうまれ、どのようにして拡がっていったのかということ。聖書を綴るヘブライ語、この言葉がもつ「過去形がない」という独特の性質のこと。その背景になったと思われる、砂漠の気候について。あるいは、聖書の不変性がどこからやってきたのかということ。朗誦によって、一言一句たがわず語られることこそが肝心であるとされた聖典、祭祀のありかた。イスラムにおける厳格な食事の既定、安息日にしてはならないとされること。あるいはユダヤ人とはどういう存在なのかということ。

 聖書学の秋吉輝雄教授と池澤夏樹氏の対談をまとめた一冊。宗教や信仰についての本ではなく、聖書という書物とそれをめぐる歴史、文化についての本です。
 まったく聖書に関する知識のないところから読み始めるとして、丁寧に読み解いていこうとすると、やや難解かも。けれど、じっくり読むと、とても興味深いです。

 わたしの場合は、聖書そのものについての関心を満たすというよりも、どうしてこういう書物が生まれて、ほとんど内容のかわらないまま、何千年ものあいだずっと読み継がれてきたのかということ、その背景や、あるいは根源にあるものに、思いをめぐらせることそのものが、とても面白かった。

 その土地の、気候や風土が、その民族の言葉を育む。その言葉の性質や暮らしのあり方が、聖典や信仰のあり方を形作る。世界を、人々を形作る、数え切れない要素。気候、風土、生態系、食文化、信仰、言語、文字、伝承、規範、技術、発明、歴史。民族のメンタリティと、そのメンタリティを作った土台、環境。
 世界のつくりというものは、とても緻密で、複雑で、多様で、因果の糸が絡まりあっていて、一人の人間の頭では、とても理解しきれるものではない。ないのだけれど、その一端を垣間みたと思うときの、その感覚が好きです。

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