本が読みたい

　転居しないとわかったので、宮部みゆきさんの新刊『ばんば憑き』を買ってきました。なんか久しぶりに本を買ったなあと思いました。この週末に、楽しみに読ませていただきます。
　なんかけっこう怖そうで、怖い話はじつは苦手なのですが、宮部さんの怖い話には、きっと救いがあるはずなので、やっぱり楽しみです。……『堪忍箱』とかトラウマ級に怖かった記憶があるので、ほんとに怖かったらどうしようと、ちょっとビビり気味なのですが。

　自分がこの一週間、小説を書いていないどころか、まるきり本を読んでいなかったことに気がついて、うわっと思いました。新聞と仕事の書類以外の活字に、いっさい触れずに１週間すごしたことって、小学校卒業以来、果たしてあっただろうか。読んでない日もあることはある。一冊をまるごと一気に読みきれないときはあるにしても、たいてい何かしら、ちょっとずつは読んでるんです。

　何年か前、仕事がものすごく忙しくて、残業と休日出勤が連続していたときにも、どこかで無理やり時間をとって、何かしらは読んでいたような気がします。というかストレスから、仕事帰りにドカ買いしてました。……いまとちっとも行動パターンが変わらないね？

　前々から、「自分は小説を書かなくても生きていけるか」と考えたときに、「書かない人生よりも不幸だけど、生きてはいける」というのが結論だったんですけども、「本を読まなくても生きていけるか」と問いかけたときには、「いや無理」と思っていました。
　だけど、読まなくたって生きてはいけるんだなって、当たり前といえば当たり前なんですけど、ようやくそのことに気が付きました。読まない人生よりは読む人生、だけど読めないからって、死ぬわけじゃない。辛いだけで。

　いつか、残業がひどくて、仕事がストレスでしかたがなかった時期、小説を読む時間に、ものすごい強さで縋っていた自分がいました。それは逃避なのだけれど、わたしはどこかで逃避できる時間をはさまないと生きていけない弱い人間なので、読む時間があるならそのぶん眠ったほうが体にはいいと、頭でわかっていても、やっぱり読んでしまいます。そのとき一緒に働いていた同僚も、同じパターンにはまっていて、前の日に２２時ごろまで一緒に仕事をしていたのに、翌朝真っ赤な目をして出てきて、「きのうの夜、京極夏彦をうっかり読み始めてしまって」といってました。なんでよりによってそのセレクトなんだと、そのときは笑ったけれど、実際、あんまり笑えた立場でもなかったりして。

　被災地の本好きの方々が、早く本を読める環境に戻れるといいなと思います。（いまはとてもそれどころじゃない、っていう方が多いのでしょうし、ピントのずれた発言かもしれないのですが……）