弱さに寛容

　仕事にいって通常業務をこなして、お客様と話をしているときに、休憩中に同僚と喋っているときに、震災以外の世間話なんかもしちゃったりして、普通に笑顔になれてしまう自分に、気持ちのどこかで違和感を覚えてしまったりして、だけどそれを飲み込んで。

　家に篭もっていた二日間に比べれば、きょうはやっぱり時間が経つのが早くて。いそがしく体や手を動かしているほうが、部屋に篭もっておとなしくしているよりも、気は紛れる。わたしたちは経験上それを知っている。だけど、気を紛らわすことそのものに対して、気持ちの隅で、かすかな罪悪感があったりして。テレビの前で、報道を見てかなしくなって、だけど遠くから安全な位置で、そんなふうな反応をしてしまったこと自体に、咎めるような気もしたりして。

　そういういちいちが、とても不毛な感情だとわかっているのに、自分にできることをするしかないとわかっているのに、それでもやっぱり、いちいちひっかかったりしていて。ＰＣの画面やコンビニの募金箱やＦａｍｉポートの前なんかで、義援金を送りながら、全財産を突っ込むほどの思い切りはもてない自分に、毎回くよくよしたり。

　避難所の方々も、食料や交通機関や電気に困っておられる方々も、ほんとうに大変な思いをされているときに、いちいちそんなささいな、しかもネガティブな感情を、吐き出さないでぐっと飲み込むことができるほうが、ずっと強くて大人で立派な態度だと思うのだけれど。ちょっと思うところあって。
　こんなこと書いたら、慰めを求めているように見えちゃったりするかなあとか思ったりもしたのですけれど、実際のところ、わたしのような勝手に隅っこでくよくよしている人間に、励ましは不要です。というか図太いので、ほうっておいても勝手に立ち直ります。それだけの懐の深さをお持ちの方は、どうかその分を被災者の方々に。

　じゃあなんでわざわざブログに書くんだよっていう話なのですが。自分の弱さに落ち込んだりしているときに、ほかのひとが同じ心情を吐露しているところに行き会うと、ちょっとほっとしたりもするので。みんなそうなんだよねって思えれば、ちょっとは心強いっていうことも、あるかもしれないなって。

　逆に、弱音を不快に思われた方がいらっしゃったら申し訳ないです。本当にごめんなさい。いままさに、すごく大変な現場で、必死でがんばってる人がいっぱいいるのに、遠くで安全なところにいる人間が、そんないちいちくよくよしてどうするのって、そういう考え方も、それはそれでよくわかるんです。っていうか自分でも、そう思うんだもんね。思うんなら、黙って実行できればカッコいいんですけどもー。

　無理に自分を奮い立たせてでも、強がらないといけないときもあるって、ほんとはちゃんと、知ってるんだけどな。そもそも、いま元気なように見える言動の方も、ほんとうに平気なわけじゃなくて、努力して元気にふるまっておられたりするんだろうなって思います。

　ひとや自分の弱さに寛容であることが、いいことなのか悪いことなのかわかりません。いや、いいとか悪いとかいうことじゃないのかな。そのときどきの必要に迫られるだけで。ひとや自分に厳しくしないといけないときもあるし、ゆるく寛容になったほうがいい場合もある。……っていうのは、あんまり都合のいい理屈でしょうか。

　出来ることなら、きれいなものだけに触れて生きていければ、すごく幸せなことなのだろうけれど、生きていれば、しばしば毒や泥水にも突っ込みますね。自分の中にあるものにも、外にあるものにも。そういうものとなんとか折り合いをつけていくしかない。そのときに、きれいごとに縋る必要があるなら、縋ればいいし、丸ごと飲み込めるときは、飲み込めばいいって思います。

　う、またなんかやたらと混乱した感じの記事に。途中で論旨がぶれるのは、日記に限った話ではなかったりして。こんな調子だから、いつも軸のぶれたような小説しか書けないんだよ！（ぐっ……）
　ほんとうはもっと明るい話題や心温まる話題を、さりげなく持ち出せればいいのだけれど、そこまでの器量がないのか、ユーモアセンスが足りないのか。（両方です）

　元気を出そう出そうといいながらこんな調子かよー、と自分で自分にツッコミ。さっさと寝て明日の仕事に備えます。