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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
 本題のまえにお礼。きょう、いくつかの小説に拍手をいただいていました。読んでくださった方、ありがとうございます!!

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蹴りたい背中 (河出文庫)
蹴りたい背中 (河出文庫)


 読了。

 長谷川初実、高校一年生。中学の時には、無理にはしゃいで場を盛り上げようとして、どうにか孤立しないようにと、必死だった。高校に入ってまで同じことをする気はないと、突っ張って、周囲に合わせることを拒絶しているうちに、当たりまえのように孤立してしまう。中学校から一緒だった親友さえ、けして彼女を敵視したり無視したりはしないものの、二人だけで過ごすのはいやだと、ほかのグループに入っていってしまう。そしてその中から長谷川を誘う、こっちにおいでよと。だけどその輪の中に入る気にはなれない。
 そんな中、長谷川はクラスで同じように浮いている男子・にな川(蜷川かな?)に、ふとしたことで興味を引かれ、彼を観察するようになる。にな川はあるモデルの熱狂的なファンで、気持ち悪いほど大量のグッズ、雑誌を収集しまくっていて、周囲からどんな目で見られようと、どうでもいいって顔をしていて……。

 十代って、どうしてこんなにひりひりしてるんだろう。息が詰まるような、この感じ。いま読むと、そこが小説のよさだと思うんだけど、もしこれをあと七年早く、発売当時に読んでいたら、どうだったかなあ。自分との距離が近すぎて、痛すぎて、楽しむどころじゃなかったかも……と思います。

 印象深い文章が多いです。ありふれた言い回しをすれば、言葉に対する感性の鋭さ、なのかな。

 単純な感動モノ、青春モノとは違います。主人公の心にわきあがってくる不穏な衝動、欲望。防壁と、自己嫌悪と、葛藤と、拒絶と……。ぶっちゃけるなら、主人公は「ヤなやつ」です。にな川も、いいところもあるんだけど、それにしてもかなり、アレなやつ。

 もちろん、ヤなやつだから、キモいやつだから無視してもいいとか、そんなわけじゃない。でも主人公たちが孤立するのには、わけもないただのイジメなんかじゃなくて、その性格や行動におおいに理由があって、とくに長谷川は、それを自分でもわかってる。わかっているけれど、媚びてまで「仲間に入れてもらいたく」なんかない。無理やり自分を押さえ込んでまで、周囲にあわせるなんて、反吐がでる……と思ってる。
 そういうとんがった感じが、すごく十代って感じがして、なんかいろいろ酸っぱいです。甘酸っぱいんじゃなくて、むしろ酸っぱい。でもそこがいいなって思います。

 読む人の年代や性別や好みによって、評価がわかれるんじゃないかとは思うけれど、印象深い一冊でした。

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