忍者ブログ
小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
薄紅天女 下 (徳間文庫)
薄紅天女 下 (徳間文庫)


 勾玉シリーズ最終作、文庫版上下巻読了。

 坂東の地で双子のようにして育ってきた藤太と阿高。実際には叔父と甥の関係にあたる二人だが、年は同じで、いつも二人でつるんで奔放にすごしてきた。
 阿高には、本人もしらない出生の秘密があった。ある日阿高のもとに、蝦夷たちがやってきて、あなたは我らの巫女、チキサニの生まれ変わりなのだといった。母である巫女がかつておかした罪のつぐないとして、自分たちに力を貸してくれと、彼らはいう。
 なりゆきで彼らについていくことになったものの、会ったこともない母の罪などしったことではないと思っていた阿高だが、やがて、亡き母の記憶の一部をかいま見て、逃れられない己の宿命を知る。
 世を乱すおそろしい呪いの根源と対決するため、阿高は藤太とともに、都を目指す。ともに生きて坂東の地に帰ると約束した二人だったが、阿高は、藤太が自分の宿命に巻き込まれたせいで、その命を落としかけるところを目の当たりにして……。

 前作からはぐっと時代がさがって、平安京遷都直前の日本が舞台。坂上田村麻呂、藤原薬子、空海といった、歴史の教科書でなじみのある名前がでてきます。舞台は坂東の地からはじまって、蝦夷地、そして長岡京へ。わたしは歴史がとんとだめで、教科書レベルの知識もろくろくないのですが、日本史お好きな方はもっと楽しいのかも?

 三部作の中では一番おもしろかったです。ヒロインに共感できたことが大きかった。(ヒロイン上巻では出てこないけど……)恋愛メインの恋愛ものは、もともと個人的にあまり楽しめないたちなのですが、恋愛もののつもりで読んでも楽しいんじゃないかなっていう気がします。

 長さ的にはいちばん短かったのだけれど、前二作よりも登場人物どうしの関係性をていねいに描かれてあることもよかったです。前作までのキャラのほうが、単独のキャラとしては個性的で魅力的だったのだけれど、キャラ同士の関係性とかは、いまいち印象に残らなかったんですよね。比べると今作では、キャラクター同士のやりとり、かけあいが魅力的でした。

 ぜいたくを承知でいえば、やっぱりもう少し、「このキャラとこのキャラの関係は、さらにもうちょっと丁寧に掘り下げてあったらもっとよかったのに」とか、「アイヌの人たちの風習を、もうちょい詳しく書いて欲しかった」みたいな部分がいろいろあって、もったいない気がしました。なんて、どれだけわがままなのかと……(汗)

 好き勝手なことばかり書いていますが、前二作のレビューのときにも触れましたように、思い入れのある好きなジャンルなので、必要以上に辛口になってるだけです。面白かった。読み応えたっぷりのいいシリーズでした。

拍手

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
E-Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
TrackbackURL:
プロフィール
HN:
朝陽 遥(アサヒ ハルカ)
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
朝陽遥(アサヒ ハルカ)またはHAL.Aの名義であちこち出没します。お気軽にかまってやっていただけるとうれしいです。詳しくはこちらから
拍手コメントをいただいた場合は、お名前をださずにブログ記事内で返信させていただいております。もしも返信がご迷惑になる場合は、お手数ですがコメント中に一言書き添えていただければ幸いです。
twitter
ブクログ
ラノベ以外の本棚

ラノベ棚
フォローお気軽にどうぞ。
最新CM
[01/18 スタッフ]
[05/26 中村 恵]
[05/04 中村 恵]
[02/04 隠れファン]
アーカイブ
ブログ内検索
メールフォーム
約1000文字まで送れます。 お気軽にかまってやってください。
カウンター
忍者ブログ [PR]