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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
中原の虹 (4) (講談社文庫)
中原の虹 (4) (講談社文庫)


 文庫版全4巻読了。

 面白かったー。『蒼穹の昴』『珍妃の井戸』の続編です。
 舞台は中国。時は清王朝の滅び行こうとしている、歴史の変わり目。それまでひとりの肩に清の行く末を背負って激務におわれていた西太后も、年老い、病に侵されて、じきに死にゆこうとしている。廃嫡された皇帝は心を病んだまま、離宮に幽閉されている。混乱の続く国を背負うに足る人材もおらず、各国はこの機に乗じて利権を得ようと画策を続けている。
 そんな時代、東北にて群雄割拠の様相を呈する満州馬賊の中に、ひとりの英雄が現れた。張作霖。かつて皇帝の手から失われた龍玉を、満州の地にて見出した彼は、天意を得て満州の王者となり、やがては清王朝を打倒して新たな王朝を築こうとするが……

 中華歴史大河ファンタジー。複数のキャラクターの視点を通して、西太后が亡くなる前後の時代を描いた本筋と、女真族が清国をつくった時代の伝説とを、いったりきたりしながら話は進みます。
 かつて生き延びるために親兄弟を置き捨てて村を出、やがて銃と馬術で身を立てて、張作霖の手下になった李春雷。自ら宦官になる道を選び、やがて人望を集めて上におしたてられ、西太后の側近となった李春雲。貧しさゆえに生き別れとなった兄弟の、運命は大きくわかたれて……

 恥ずかしながら歴史に暗いので、どこまでが史実で、どこからが創作か、よくわかっていないまま読んでしまったのですが、あとで調べたところ、登場人物には架空のキャラと実在の人物と混在しているようです。龍玉や天意や偉人の亡霊がどうこうというような、ファンタジー色の強い部分と、史実に基づく歴史小説としての部分があります。

 張作霖のキャラクターにはあまり共感できなかったのですが、とりあえず、馬賊たちの描写に激しく痺れた……! ただ、彼らの行く末については、調べれば史実はわかるのですが、作中で語られた部分だけだと、ちょっと消化不良感がありました。

 ほかにも探せばアラもあるような気がしますが(これ主人公誰なのとか、所々文章がくどいとか、キャラ立てがたまにブレてるとか、ええっそこで終わるの!? とか)、でもとにかく、読んでいてべらぼうに面白かったです。盛り上がったし泣いたし感動しました。春児たち兄弟の邂逅には、涙を禁じえません。
 こういう本にあたると、面白い小説は減点法じゃわからないなあとつくづく思います。

 さらに続編のマンチュリアン・レポートが刊行されているのですが、ここまできたら文庫落ちまでじっとガマンしようと思います……。が、がまんがまん。

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