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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
 読了。

 叔父の店である三島屋に行儀見習いとして預けられた娘・おちか。身近な人たちの間で起きた凄絶な殺し合い、その一幕を間のあたりにしたおちかは、悲しみと自責の念に、心を閉ざしてしまっていた。
 無心に働いているほうがまだ気持ちが休まるからと、親類の娘ではなく、奉公人として使ってくれと、叔父夫婦に懇願したおちか。はじめはただした働きをしていたおちかだったが、ひょんなことをきっかけに、叔父の命により、変わり百物語と称して、江戸の人々の語る怪しいふしぎ語りを聞き集めることになった。

 人の心の闇だったり、そこから生まれた怨霊や妄執だったりと、暗く重苦しい題材も多いですが、さすが宮部さん、集められた数々の話が収束し、切なくも力強い感動のラストへ。
 もともと怖いホラー作品はかなり苦手なほうなのですが、恐怖よりも、むしろ、怪異を題材にして、人間のこころの強さ・弱さや悲しさを描かれているので、怖いというよりも、やるせないとか、悲しいとか、力強いとか、そういう印象のほうが強いです。

 宮部みゆきさんの作品の中で、一番好きなのはと聞かれると、ミステリであるところの『名もなき毒』なのですが、宮部さんが書くジャンルの中でどれが好きかという話になると、時代物です。時代物>ミステリ>ホラー>ファンタジーかなあ。
『ぼんくら』『日暮らし』『あかんべえ』『孤宿の人』に、この『三島屋変調百物語』。もう大好き。そういえば『霊験お初』も好きだったな。だいたいが人情に弱いんですよね……。

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