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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
レイチェル・カーソン
新潮社
発売日:1974-02

 環境汚染問題についての評論。有名どころですが、少し古い本ですね。
 戦時に開発された毒物がもととなって発展した殺虫剤の技術。そうした薬剤によって、害虫を駆除しようとやっきになった人類が、いかに後先を省みず水や土を汚染し、野鳥や獣や魚を無差別に殺し、自分たちの体のなかに汚染物質を蓄えていったのか、ということ。そういう公害問題を、非常にわかりやすい文体で訴えかけてあります。
 内容は漠然と知っていたので、てっきりもっと固くて読みにくい本なんだと思い込んでいたのですが、読みやすいと教えてもらったので、買ってみました。そしたらほんとに読みやすかった。

 読みやすい、伝わりやすい、わかりやすいということは、すごく強い武器だなと思います。(ものごとを一方的な見方から劇的に誇張して報道するようなメディアを、擁護するわけではないのだけれども)
 もしこの本がもっと難解だったり、あるいは単調で退屈だったりしたら、こんなに読まれなかったんじゃないかと。歴史を変えた一冊といわれる意味がよくわかります。これが世に出なかったら、環境汚染の危険性を人々が理解するまでに、きっともっと時間がかかったでしょう。

 資源に乏しい日本に住んでいると、エコ、ということは、資源の節約というイメージが占めるところが大きいけれど、本当はそれだけじゃないですね。わたしたちが生活の中で汚す水が、浄化されてきれいになるまでに、どれだけの時間とコストがかかっているのか、ということ。
 ふだん何の気なしに使っている洗剤や除草剤、殺虫剤、土に沁み、下水に流れていくそれらが、回りまわってわたしたちにどう帰ってくるのか。
 ついつい便利さに負けて、なにかと洗剤や除草剤に頼ってしまうし、それらをすべて排除して生活するのは、すごく大変なことです。そういうものを社会から駆逐する、というのは現実的ではないけれど、でも、いつも意識は持っていたほうがいい。自戒を込めて。

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