小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
上下巻読了。
ある夜、パチンコからの帰り道、達夫は頭の中で、奇妙な羽音を聴いた。はじめは空耳と思った主人公だったが、とつぜん自分の意に反して指が動き、くすねてきたパチンコ玉を、弾丸のような勢いで弾き飛ばした。
自分の頭のなかに寄生しているという、シラヒゲと名乗った蚊トンボとの、奇妙な共同生活は、そんなふうに始まった。
シラヒゲがもたらしたその能力をつかって、暴力沙汰にまきこまれた知人を助けたことをきっかけに、達夫はやがて、裏社会のとある事件に巻き込まれ、暴力団と本格的に対決する事態になっていくが……
ストイックで男気のある主人公、ハードボイルドな展開、暴力、やくざ等々、藤原さんのほかの作品群と共通するポイントも多いのですが、大きく違う点はふたつ。主人公が20歳の青年と、ほかの作品に比べてぐっと若いこと。それから、蚊トンボが脳内に寄生して話しかけてくるようになる……というファンタジーな設定。
藤原さんが描かれる主人公は、ストイックで無鉄砲で、保身とは縁のないようなイメージがありますが、主人公が若いと、無鉄砲さのニュアンスが、またちょっと違いますね。ほかの作品の主人公たちの渋い魅力もいいですが、こういうのもいいなあ。
上下巻だったのですが、派手で勢いのある展開に飲み込まれ、一気に読みきりました。シラヒゲをはじめ、敵味方それぞれのキャラクターが魅力たっぷり。劇画的といっていいかどうか、リアリティよりも娯楽性を求めるならば文句なしに最高。解説にて藤原伊織さんご自身の評が紹介されていたとおり、まさにハードボイルド・ファンタジー。
私はすでにファン補正がはいっているかもしれませんし、奇抜な設定やいかにもフィクション的な展開が苦手という方には、強くはオススメできませんが、さておき、すごく面白かったです。
ところで、どうやら藤原伊織さんの既刊で私が未読だったのは、こちらが最後のようです。私は藤原さんがお亡くなりになったあとではまったファンなので、最初からこのときが来るのは分かっていたはずなのですが、なんていうか、すごく寂しいです。ファンに惜しまれながら去るというのは、作家さんの人生の幕としては一種、最高のかたちかもしれませんが、それにしても惜しまれます。
どの本も魅力的でしたが、わたしの藤原伊織ベスト3は、『シリウスの道』『てのひらの闇』『名残り火』でした。揃えた本は大切に保管して、またいずれ読み返したいです。
ある夜、パチンコからの帰り道、達夫は頭の中で、奇妙な羽音を聴いた。はじめは空耳と思った主人公だったが、とつぜん自分の意に反して指が動き、くすねてきたパチンコ玉を、弾丸のような勢いで弾き飛ばした。
自分の頭のなかに寄生しているという、シラヒゲと名乗った蚊トンボとの、奇妙な共同生活は、そんなふうに始まった。
シラヒゲがもたらしたその能力をつかって、暴力沙汰にまきこまれた知人を助けたことをきっかけに、達夫はやがて、裏社会のとある事件に巻き込まれ、暴力団と本格的に対決する事態になっていくが……
ストイックで男気のある主人公、ハードボイルドな展開、暴力、やくざ等々、藤原さんのほかの作品群と共通するポイントも多いのですが、大きく違う点はふたつ。主人公が20歳の青年と、ほかの作品に比べてぐっと若いこと。それから、蚊トンボが脳内に寄生して話しかけてくるようになる……というファンタジーな設定。
藤原さんが描かれる主人公は、ストイックで無鉄砲で、保身とは縁のないようなイメージがありますが、主人公が若いと、無鉄砲さのニュアンスが、またちょっと違いますね。ほかの作品の主人公たちの渋い魅力もいいですが、こういうのもいいなあ。
上下巻だったのですが、派手で勢いのある展開に飲み込まれ、一気に読みきりました。シラヒゲをはじめ、敵味方それぞれのキャラクターが魅力たっぷり。劇画的といっていいかどうか、リアリティよりも娯楽性を求めるならば文句なしに最高。解説にて藤原伊織さんご自身の評が紹介されていたとおり、まさにハードボイルド・ファンタジー。
私はすでにファン補正がはいっているかもしれませんし、奇抜な設定やいかにもフィクション的な展開が苦手という方には、強くはオススメできませんが、さておき、すごく面白かったです。
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どの本も魅力的でしたが、わたしの藤原伊織ベスト3は、『シリウスの道』『てのひらの闇』『名残り火』でした。揃えた本は大切に保管して、またいずれ読み返したいです。
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朝陽 遥(アサヒ ハルカ)
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性別:
非公開
自己紹介:
朝陽遥(アサヒ ハルカ)またはHAL.Aの名義であちこち出没します。お気軽にかまってやっていただけるとうれしいです。詳しくはこちらから
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