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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
 読了。

 短編集。
 フィレンツェの変わり者の絵描きと、彼の隣にいた少女。ペルシアを征服したティムールと、征服された都市の詩人との会話。鬼の使わした美女に惑わされる中納言。火山に魅せられたあまり命を落としたローマの学者プリニウス……等々、歴史上の人物について遺されたエピソードをもとに、想像の翼を広げてつづられた一冊。

 興味深く、幻惑されるような面白いエピソードも多いのだけれど、残念ながら、私には『興味深い』の域を出なかったかなあ。のめりこむようには読めませんでした。
 理由ははっきりしていて、相性というか、私の読書姿勢がよろしくないんです。
 前に『高丘親王航海記』のレビューでも、似たようなことを書いた気がしますが、「これは私(作者)が書いたお話なんですよ」ということを、作品中で前面に出してあるので、なんかつい身構えて、一歩引いてしまうんですよね。面白いことは違いないんだけど、ちょっと遠くから眺めてしまいました。

 もっとも、そういうのは私のただのワガママで、メタフィクション全般が駄目だっていうんじゃなくて、むしろ作者さんや作品によっては、そういう書き方が効果を発揮していると感じるケースもあるので、手法そのものを丸ごと批判するのは、望みじゃないんです。

 そして、はまれなかったといいつつ、なんとなく、はまりそうな要素があるなあ、とも思うんですよね。語りが好みにあわないだけで、題材的にはかなりツボなんです。歴史には暗い私ですが、史実の部分にしろ、空想の部分にしろ、面白いエピソードがいっぱいあって。
 悩むところだけれど、ひとまず判断保留ということで、澁澤氏の作品については、もう二、三冊読んで様子をみたいなあと思います。

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