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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
 読了。

 六つのときに家族と死に別れ、拾われ子となって地方の村で育った少女・狭也。ある日、村へとやってきた迎えの者たちは、狭也を闇(くら)の氏族の巫女姫なのだと告げた。
 <豊葦原>の地には、輝(かぐ)の一族が支配の手を広げていた。彼らを統べるのは、不老不死という、神の子であるふたりの御子たち。輝の一族は、<豊葦原>を平らげて、そこにやがて大御神が降り立つための舞台を築きあげようとしていた。
 彼らに対抗する勢力であるはずの、闇の氏族に生まれつきながら、狭也は輝の一族の皇子・稚羽矢に惹かれるようになって……

 日本神話をもとにした壮大なファンタジー。設定もすごく魅力的で、内容にもたいへん読み応えがあって、面白かったのだけれども、それでも、どうしてもあとひとつ、個人的には物足りなかった……。
 つまらなかったんじゃないんです。面白かっただけに、その「足りない」と感じた部分が、ものすごくもったいない気持ちがします。(なんてワガママな読者だ!)

 せっかく面白い筋書きなのに、説明で済まされてしまう箇所が多かったように感じました。そして、主人公以外の登場人物の個性やお互いの関係性の描写が、あと一歩ほしい。けして没個性ということはないのだけれど、彼らのつながりや背景や、出来事の間の連続性が、あまりつよく感じられなかった。
 習俗や衣装や文化というような、その世界の日常感も、描かれていないわけではないのだけれど、もっとこまやかに、丁寧に描いてほしい。そうすれば、いまよりもさらに、ものすごく素晴らしい物語になるはずなのに!

 ……こんな好き放題なこといってたら、ファンの方に怒られそうだなあ。
 荻原さんについては、昔、『西の善き魔女』を読んだことがあって、そのときもたしか面白かったのに、すっかりハマるにはあと一歩届かないような、もどかしい感じがあったのです。
 むしろ、それほどハマる要素のない作品なら、逆に「なかなか面白かったなあ」で満足するんだと思うんだけど、まさに自分が好きなタイプのファンタジーなだけに、こちらも期待度というか、求めるものがやたら大きくなってしまうんですね……。

 続きの白鳥異伝も買ってあるので、近々読もうと思います。

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