忍者ブログ
小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
 読了。

 舞台は戦前のサナトリウム。肺病に苦しみ、検査結果に一喜一憂して、死の影にとり付かれて日々をすごす青年たちの間、一人、死を恐れてもいないかのように、淡々とふるまう男がいる。
 自ら求めて死ぬかのように、無謀な手術に踏み切った彼は、主人公に二冊のノートを渡す。もし僕が死んだら君にあげる、つまらなかったら焼き捨ててくれたまえといって遺された、その二冊のノートには、病床でつづられた小説、彼の青春が綴られていた……

 周囲の世界との間に壁を作り、己に孤独を課して、けれどどうしようもない強さで愛を求める。心を求める。そんな青年の、短すぎる生涯。
 肝心の作中劇よりも、序盤のサナトリウムの描写の方が好きだったなあ。(ちょっとずれた読者だったかもしれません……)
 けどそれにしても、よかった。この重みは、基本的にフィクションであるにせよ、作者さんの生きた体験に基づく感情が描かれているからこその重みなんだと思います。(って、福永さんの経歴にそれほど詳しいわけじゃないんですが……)
 完全フィクションの、ドラマやエンターテインメントに徹した小説もいいけれど、こういう魂のこもった作品を読めるのは貴重な機会だなあと思います。

拍手

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
E-Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
TrackbackURL:
プロフィール
HN:
朝陽 遥(アサヒ ハルカ)
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
朝陽遥(アサヒ ハルカ)またはHAL.Aの名義であちこち出没します。お気軽にかまってやっていただけるとうれしいです。詳しくはこちらから
拍手コメントをいただいた場合は、お名前をださずにブログ記事内で返信させていただいております。もしも返信がご迷惑になる場合は、お手数ですがコメント中に一言書き添えていただければ幸いです。
twitter
ブクログ
ラノベ以外の本棚

ラノベ棚
フォローお気軽にどうぞ。
最新CM
[01/18 スタッフ]
[05/26 中村 恵]
[05/04 中村 恵]
[02/04 隠れファン]
アーカイブ
ブログ内検索
メールフォーム
約1000文字まで送れます。 お気軽にかまってやってください。
カウンター
忍者ブログ [PR]