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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
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 読了。

 ベトナム戦争の最中、本土返還の前後の沖縄・嘉手納を舞台に、ひっそりと自分たちの戦いをした、立場も素性もそれぞれに違う四人。
 スパイ――米軍がベトナム・ハノイに落とす爆弾の情報を事前に盗み出し、先にハノイ側に流すことで、事前に可能な限り避難と重要なものの持ち出しを進めようという仕事。そんな戦いに、互いの顔も素性もよく知らないままに参加した4人。米軍の事務官として、カデナの人気バンドのドラムスとして、個人商店の老店主として、貿易会社の社員として、それぞれあくまで普通の暮らしをしながら、秘密裏にほんの少し、手を貸して。

 遠くの国で暮らす大勢の人の命を救うために、身近に暮らす友人たちを裏切るということ。大きな罪を避けるために、小さな罪を犯すことは、正しいのだろうか。
 正義のためとか、国のためにといった漠然としたことではなく、出撃する恋人のために、あるいは爆弾を落とされる遠い都市に暮らす人々のために、目の前で戦争に嫌気がさして逃げ出したいと思っている一人の兵士のために、彼らは危険を冒します。

 主人公のひとりの恋人である爆弾を運ぶパイロットの、等身大の苦しみが胸に迫りました。都市に爆弾を落として離脱する、その瞬間の恐怖に耐えかねて、アルコールに逃げる。飲みすぎて飛行できなくなれば、爆弾を運ばずに済む。そう思って作戦前日になると酒に逃げる。けれど本当に出撃拒否することもできない……

 正面から立ち向かってもとても勝てない、国家という巨大な組織に向かって、ほんの少し、こっそりと隙間を擦り抜けるようなやり方で戦った四人。
 ほろ苦く、悲しく、けれど現実と乖離していない人肌のぬくもりのある小説でした。

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