小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
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それは私が免許を取った直後のこと。
もともと性格的に、自分が車の運転にはぜったいに向いていないと自負していました。就職するときにも「運転免許がなくてもだいじょうぶでしょうか」と、人事担当者に念を押したくらい。「うん。あったほうがいいけど、なくても大丈夫だよ」とのありがたいお言葉でした。
けれど、いざ就職してみると、運転免許を保持していないのは、せいぜい二、三人と言ったところで、車がないと生活が不便なところにも転勤がある。仕事の内容としても、運転できなければ勤まらない部署への異動もありえる。だまされた。
それでも、しばらくはそのままずぼらをしていたのだけれども、採用四年目にして、とうとう運転ができないと人に迷惑がかかるような部署に追いやられ。
異動直前、引継ぎに行ったときに、免許がないことをおそるおそる告白したら、前任者から絶句されました。でも、異動命令が出たものはもう仕方が無いし、しぶしぶ、「折を見て近いうちに」運転免許をとらされることになり。
さて、しぶしぶながらも、やる気無くだらだらやっていては、自分の懐が痛むばかり。仕方が無いのでせっせと夜間で自動車学校に通って、三ヶ月ほどでどうにか無事に普通運転免許を取得した私でしたが、免許だけ取って、ろくに練習しないでペーパードライバーになるというのも、仕事上差し支えが。
父の車は、父の仕事の都合があるのでそうそう借りられません。それで、とりあえずなるべく安い中古車を買って、しばらくはせっせと練習しようということに。
そうしたら、なぜか父が目を輝かせて「何の車にする」とそわそわしだし。
そのあまりの勢いに、私が思わず身を引いて、「いや、どの車がいいのか、まったく分からんし」と言うと、まるきり自分のオモチャを選ぶ子どもの顔で、「でかい車にするか、小さい車にするか」と訊いてきます。
「でかい車は絶対邪魔になるし、そこらにぶつけると思うから、小さいほうがいい」というようなことを答えたところ、「どうせなら、見た目が可愛いほうがよかやろう」「色はどうするね。黒とか白は、汚れが目立つよ。どうせあーたは、まめに洗車せんやろうけん」「三菱と、それからダイハツに、たしか可愛い軽があったと思うけど、どっちにするね」と、まあよくそこまで人の買い物で喜べるねというくらい、一人ではしゃいでいました。まあ何でもいいからよろしくと任せたら、速攻でなじみの車屋さんに電話をかける始末。
入荷を待つ間、父が一人でわくわくして、その可愛いという見た目の車のことを一生懸命喋っていました。
それから一週間くらい待ったのだったか。父にとっては、日ごろから身内をぞんざいに扱って何ごとも容赦のない娘に、珍しくいいところを見せる機会。しかも、人の財布で自分の好きなものを選ぶのは、楽しい。そんなところだろうけれども、父はひとりで勝手に盛り上がって、しょっちゅう新しく我が家にくるであろう車のことばかり、何やかや喋っていました。
父が注文した、可愛い車だと絶賛しているお嬢さんは、よく聞くとダイハツのミラジーノのことらしく、なるほど、それならCMで見たことがあるけれども、たしかにライトが丸くて、ちょっとレトロな感じが可愛らしい。
やがて車屋さんからの連絡があって、値段もまあ折り合いがついたので、車を引き取りに(とお金を払いに)、父の車のハンドルを握って二人、一路、車屋さんへ。父の地元の、義理のある相手なので、片道二時間かかるところを、せっせと運転。
初心者の怪しい運転で、それでもどうにか目的地にたどり着くと、車屋さんがにこにこしながら待っていてくれて、そこには、どうみてもミラジーノじゃないただのミラが、ぴかぴかに磨いて置いてありました。
何かと義理のある車屋さんを前に、文句をつけかねつつも、内心がっかりしているのが丸見えの父をよそ目に、べつに車種に何のこだわりもない私はさっさとお金を払って、さっそく運転して帰りました。
それまで父があまりにテンションをあげていたので、思わず引いてしまって白け気味だった私ですけれども、いざ乗って動かしてみれば、やはり小さいながらも自分の城、ならぬマイカー。じんわりうれしい。
別に見た目が可愛くなくてもまったく問題ないし、たとえオーディオがカセットテープとラジオしか聞けなくても文句は無い。うきうきしながら帰り、夕方のラッシュにぶつかって悲鳴を上げながらも、車で聞くための音楽テープを作るべく、電気屋さんに寄って三千円のCDラジカセを買いました。それ以上オーディオにかける金はなかった。日本人なら軍服に身体を合わせるものだ!
父は帰ってからも「車屋さんにはちゃんと伝えたつもりだったのに、違う車が来た」と、いつまでもくよくよしていたけれども、いざニューフェイスが我が家に到着してみると、嬉々として試運転に乗り出しました。「ブレーキはえらく効きがいいな」とか、「しかし、やたらとエンジン音がうるさいぞ」とか、挙げ句には素人にはさっぱり分からない部品のこととかを、滔々と言っていたけれど、ほぼ全部聞き流しました。
難しいことは分からないけれども、このお嬢さんには、シロートの私にも分かる長所がふたつあります。
まず身体が小さいので、小回りが利く。よほどの場所でなければ、多少狭い駐車場でもらくらく切り返せる。車幅感覚皆無の初心者には、この上なくありがたい長所。
それから車高が低いので、運転していると、路面が近い分、実際よりもスピードが出ているように感じます。本当は、車高が高いほうが視界が広いので周囲が見やすくていいのだけれども、しかし、そのおかげで、スピードを出しすぎないですみます。スピードさえださなければ、最悪事故っても、それほどの大惨事は引き起こさないですむ。……かもしれない。
その反面、ときどき遅くなりすぎて、まわりの車に迷惑をかけていました。まあ、乗っている車種に関わらず、初心者はだいたいそんなもんです。スピードの快感に目覚めて暴走するよりはましだよ!
購入して三日後にさっそく、家の敷地の段差から後輪を落としました。
半泣きになりつつ、近くに住む伯父と従兄を呼び、押し上げてもらうことに。幸い、少し傷がついたくらいで、大事無く。
その二日後に、車の右っ腹を豪快に擦りました。
練習がてらドライブしてたらいきなり道に迷って、細い道に入り込んだ挙げ句、すれ違いの出来ない道で対向車が来て、いったん空き地にバックで入れて方向転換しようとしたところ、慌てすぎて、そのままがりがり。帰ったら、会う人会う人に「助手席側を擦るやつはよくいるけど、いったいどうやって運転席側を擦ったんだ」と真顔で聞かれました。うるさいな、焦ったんだよ。
しかも、修理してもどうせまたそのうちやるからと、塗装さえほったらかしで、そのまま乗りつづけ。二年後、車検のときに車屋さんに「塗りますよね?」と聞かれて、「いや、別にそのまんまでいいです」と答えたところ、「とりあえずちゃんとした板金屋さんにお願いしなくてもいいから、簡単にでも塗っといた方がいいです。この辺は潮風があるから、傷口からすぐ錆びて、下手をするとドア全体がだめになります」と言われたので、仕方なく塗ってもらうことに。
しばらく経ったころ、今度は鼻面を豪快にぶつけて、ライトも片方駄目に。慌てて車屋さんに電話。そのときに、バンパーばかりかドアまで微妙に歪んだので、運転席側のドアは一度、丸ごと交換しています。
また別の日、駐車のときに目測を誤って、バックライトのカバーに罅が。こっちは未だにそのまま。
へたくそな乗り手にさんざん傷物にされ、多少の傷なら医者(整備工)にもなかなか診てもらえず、いやはや何かと苦労の多いお嬢さんです。しかし、そんなふうに車を粗末に扱う私にも負けず、今日も元気に走ってくれている、我が家の可愛い娘さん。
冬には二回目の車検がやってきます。
車検。これを受けていない車は、道路を走ってはいけないと、日本の法律にはちゃんと書いてあります。車体の傷にはルーズな私でも、さすがにこれをさぼるわけにはいかない。しかし、車検というものは、お金がかかるもの。軽自動車は、普通車よりはずいぶん安くあがるけれど、それでもじゅうぶんすぎるほど財布に痛い、小憎い検査です。
あとどれくらいもつものか、買ったときから中古車だっただけに、先のことはわからないけれども、せめてあと二年は頑張って欲しいなあ。
もともと性格的に、自分が車の運転にはぜったいに向いていないと自負していました。就職するときにも「運転免許がなくてもだいじょうぶでしょうか」と、人事担当者に念を押したくらい。「うん。あったほうがいいけど、なくても大丈夫だよ」とのありがたいお言葉でした。
けれど、いざ就職してみると、運転免許を保持していないのは、せいぜい二、三人と言ったところで、車がないと生活が不便なところにも転勤がある。仕事の内容としても、運転できなければ勤まらない部署への異動もありえる。だまされた。
それでも、しばらくはそのままずぼらをしていたのだけれども、採用四年目にして、とうとう運転ができないと人に迷惑がかかるような部署に追いやられ。
異動直前、引継ぎに行ったときに、免許がないことをおそるおそる告白したら、前任者から絶句されました。でも、異動命令が出たものはもう仕方が無いし、しぶしぶ、「折を見て近いうちに」運転免許をとらされることになり。
さて、しぶしぶながらも、やる気無くだらだらやっていては、自分の懐が痛むばかり。仕方が無いのでせっせと夜間で自動車学校に通って、三ヶ月ほどでどうにか無事に普通運転免許を取得した私でしたが、免許だけ取って、ろくに練習しないでペーパードライバーになるというのも、仕事上差し支えが。
父の車は、父の仕事の都合があるのでそうそう借りられません。それで、とりあえずなるべく安い中古車を買って、しばらくはせっせと練習しようということに。
そうしたら、なぜか父が目を輝かせて「何の車にする」とそわそわしだし。
そのあまりの勢いに、私が思わず身を引いて、「いや、どの車がいいのか、まったく分からんし」と言うと、まるきり自分のオモチャを選ぶ子どもの顔で、「でかい車にするか、小さい車にするか」と訊いてきます。
「でかい車は絶対邪魔になるし、そこらにぶつけると思うから、小さいほうがいい」というようなことを答えたところ、「どうせなら、見た目が可愛いほうがよかやろう」「色はどうするね。黒とか白は、汚れが目立つよ。どうせあーたは、まめに洗車せんやろうけん」「三菱と、それからダイハツに、たしか可愛い軽があったと思うけど、どっちにするね」と、まあよくそこまで人の買い物で喜べるねというくらい、一人ではしゃいでいました。まあ何でもいいからよろしくと任せたら、速攻でなじみの車屋さんに電話をかける始末。
入荷を待つ間、父が一人でわくわくして、その可愛いという見た目の車のことを一生懸命喋っていました。
それから一週間くらい待ったのだったか。父にとっては、日ごろから身内をぞんざいに扱って何ごとも容赦のない娘に、珍しくいいところを見せる機会。しかも、人の財布で自分の好きなものを選ぶのは、楽しい。そんなところだろうけれども、父はひとりで勝手に盛り上がって、しょっちゅう新しく我が家にくるであろう車のことばかり、何やかや喋っていました。
父が注文した、可愛い車だと絶賛しているお嬢さんは、よく聞くとダイハツのミラジーノのことらしく、なるほど、それならCMで見たことがあるけれども、たしかにライトが丸くて、ちょっとレトロな感じが可愛らしい。
やがて車屋さんからの連絡があって、値段もまあ折り合いがついたので、車を引き取りに(とお金を払いに)、父の車のハンドルを握って二人、一路、車屋さんへ。父の地元の、義理のある相手なので、片道二時間かかるところを、せっせと運転。
初心者の怪しい運転で、それでもどうにか目的地にたどり着くと、車屋さんがにこにこしながら待っていてくれて、そこには、どうみてもミラジーノじゃないただのミラが、ぴかぴかに磨いて置いてありました。
何かと義理のある車屋さんを前に、文句をつけかねつつも、内心がっかりしているのが丸見えの父をよそ目に、べつに車種に何のこだわりもない私はさっさとお金を払って、さっそく運転して帰りました。
それまで父があまりにテンションをあげていたので、思わず引いてしまって白け気味だった私ですけれども、いざ乗って動かしてみれば、やはり小さいながらも自分の城、ならぬマイカー。じんわりうれしい。
別に見た目が可愛くなくてもまったく問題ないし、たとえオーディオがカセットテープとラジオしか聞けなくても文句は無い。うきうきしながら帰り、夕方のラッシュにぶつかって悲鳴を上げながらも、車で聞くための音楽テープを作るべく、電気屋さんに寄って三千円のCDラジカセを買いました。それ以上オーディオにかける金はなかった。日本人なら軍服に身体を合わせるものだ!
父は帰ってからも「車屋さんにはちゃんと伝えたつもりだったのに、違う車が来た」と、いつまでもくよくよしていたけれども、いざニューフェイスが我が家に到着してみると、嬉々として試運転に乗り出しました。「ブレーキはえらく効きがいいな」とか、「しかし、やたらとエンジン音がうるさいぞ」とか、挙げ句には素人にはさっぱり分からない部品のこととかを、滔々と言っていたけれど、ほぼ全部聞き流しました。
難しいことは分からないけれども、このお嬢さんには、シロートの私にも分かる長所がふたつあります。
まず身体が小さいので、小回りが利く。よほどの場所でなければ、多少狭い駐車場でもらくらく切り返せる。車幅感覚皆無の初心者には、この上なくありがたい長所。
それから車高が低いので、運転していると、路面が近い分、実際よりもスピードが出ているように感じます。本当は、車高が高いほうが視界が広いので周囲が見やすくていいのだけれども、しかし、そのおかげで、スピードを出しすぎないですみます。スピードさえださなければ、最悪事故っても、それほどの大惨事は引き起こさないですむ。……かもしれない。
その反面、ときどき遅くなりすぎて、まわりの車に迷惑をかけていました。まあ、乗っている車種に関わらず、初心者はだいたいそんなもんです。スピードの快感に目覚めて暴走するよりはましだよ!
購入して三日後にさっそく、家の敷地の段差から後輪を落としました。
半泣きになりつつ、近くに住む伯父と従兄を呼び、押し上げてもらうことに。幸い、少し傷がついたくらいで、大事無く。
その二日後に、車の右っ腹を豪快に擦りました。
練習がてらドライブしてたらいきなり道に迷って、細い道に入り込んだ挙げ句、すれ違いの出来ない道で対向車が来て、いったん空き地にバックで入れて方向転換しようとしたところ、慌てすぎて、そのままがりがり。帰ったら、会う人会う人に「助手席側を擦るやつはよくいるけど、いったいどうやって運転席側を擦ったんだ」と真顔で聞かれました。うるさいな、焦ったんだよ。
しかも、修理してもどうせまたそのうちやるからと、塗装さえほったらかしで、そのまま乗りつづけ。二年後、車検のときに車屋さんに「塗りますよね?」と聞かれて、「いや、別にそのまんまでいいです」と答えたところ、「とりあえずちゃんとした板金屋さんにお願いしなくてもいいから、簡単にでも塗っといた方がいいです。この辺は潮風があるから、傷口からすぐ錆びて、下手をするとドア全体がだめになります」と言われたので、仕方なく塗ってもらうことに。
しばらく経ったころ、今度は鼻面を豪快にぶつけて、ライトも片方駄目に。慌てて車屋さんに電話。そのときに、バンパーばかりかドアまで微妙に歪んだので、運転席側のドアは一度、丸ごと交換しています。
また別の日、駐車のときに目測を誤って、バックライトのカバーに罅が。こっちは未だにそのまま。
へたくそな乗り手にさんざん傷物にされ、多少の傷なら医者(整備工)にもなかなか診てもらえず、いやはや何かと苦労の多いお嬢さんです。しかし、そんなふうに車を粗末に扱う私にも負けず、今日も元気に走ってくれている、我が家の可愛い娘さん。
冬には二回目の車検がやってきます。
車検。これを受けていない車は、道路を走ってはいけないと、日本の法律にはちゃんと書いてあります。車体の傷にはルーズな私でも、さすがにこれをさぼるわけにはいかない。しかし、車検というものは、お金がかかるもの。軽自動車は、普通車よりはずいぶん安くあがるけれど、それでもじゅうぶんすぎるほど財布に痛い、小憎い検査です。
あとどれくらいもつものか、買ったときから中古車だっただけに、先のことはわからないけれども、せめてあと二年は頑張って欲しいなあ。
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プロフィール
HN:
朝陽 遥(アサヒ ハルカ)
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
朝陽遥(アサヒ ハルカ)またはHAL.Aの名義であちこち出没します。お気軽にかまってやっていただけるとうれしいです。詳しくはこちらから
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