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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
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 読了。

 いやあ、『草枕』と同じく、読むのに手間取りました。友だちに思わず「昔『坊ちゃん』を読んだときは、こんなに読みづらくなかったような気がするんだけど」と零したら、「漱石は文章が上手いから、色んな文体を使い分けてたんだよ」と説教されました。なるほど……!
 美文だけども装飾過多で読みづらい、読みづらいと思って読んでいたら、当時は「小説は美文じゃないと」という風潮だったんですね。話し言葉に近い平易な文章の小説にうつっていく、ちょうど過渡期だったそうです。

 さておき、あらすじ。
 哲学者を志す甲野さんは、父を戦争で亡くし、その遺産の相続者となった。けれど、なさぬ仲の母親は、甲野さんを嫌い、自分にとっては実の娘である藤尾に、婿をとらせて跡を継がせたい。甲野さんは財産に興味がないから、妹に家督を譲るのに異論はない。けれど、母親にしてみては、堂々と甲野さんを追っ払っては、血の繋がらぬ子だけに外聞が悪い。そこでどうにか外聞に傷がつかないよう、うまいこと面目を保って、「甲野さんに問題があってどうにもならないから、仕方なく婿をとったんだ」という形にしたい。
 母親はあれこれと水面下で策を弄しようとする。高慢な藤尾ははなから兄を馬鹿にしていて、しかも美しさを鼻にかけて驕っており、自分にいいなりの男を弄ぶことに生きがいを見出している。
 甲野さんの友だちで親戚でもある宗近君は、藤尾を嫁にもらうつもりでいた。けれど彼は手ごわく、人のいいなりになるようなタイプではない。だから、藤尾としてはもっと自分の言うがままになる別の男・小野と結婚したいと思っている。
 小野は、幼いころに貧しさからひどく辛い思いをして育っていて、甲野さんが何気ない顔で持っている財産が、うらやましくてしかたがない。なんとかしてその財産を譲り受けることが出来れば、余裕のある暮らしをして、詩作に没頭できる。そうして出世もしたいし、藤尾にも気がある。だから、この結婚はとても都合がいい。けれど、小野には実は、約束のある女性がいて……

 ストーリーの核心部分に至ったら、すごく面白かったです。けれども、そこに至るまでが、無教養の私には長かった……。
 しかし、こういう、私のような根気のないひ弱な読み手の感想を踏み台にして、現代小説のノウハウが出来上がってきたんだなあと、そんなことをふと思ったり。読みやすく、わかりやすく、面白く。それがいいことか悪いことかは分かりませんが、読書の敷居が下がるのは、とりあえずいいことじゃないかな。

 さておき、ラストにいたる少し前の部分からがすごくよかったです。
 人間は真面目になる機会が重なれば重なるほど出来上がってくる。人間らしい気持がしてくる……
 それまでの陰鬱な展開、絡まりあった人間関係の縺れを吹き飛ばすような、パワーのある宗近君が、すごく男前でよかった。しかし、その結末に待っていたものは……。ラストはちょっと急な展開すぎて、目を白黒させてしまったけれども、強烈です。

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