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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
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 読了。池澤夏樹個人編 世界文学全集より。

 第一次大戦の前後、アフリカで17年のあいだ農園を経営していたデンマーク人の作者が綴る、アフリカの高原への愛の歌。
 美しく詩的な描写で綴られる日々、行間に滲む農園と土地の人々への深い愛情と憧憬。
 すぐそばにライオンやヒョウが行き来する、禁猟区を含んだ広大な丘陵の土地を持ち、借地人たちの力を借りながら、手探りで経営する農園。

 キクユ族やマサイ族の人々のふしぎな気風や習慣、西洋とかけはなれた価値観。初めて自分の半生を綴ってもらったという土地の男がみせた文章への感動、文字とのはじめての出会いということ。ヨーロッパ式とはまったく異なる裁判と賠償の考え方。身を飾ることに誇りを持つ黒い肌の優美な娘たち、好奇心に満ちた牧童、祭りがあると聞いて遠くから集まってくる人々の踊りの輪。
 賢い猟犬や、農園の牛や馬たち、迷い込んできた美しい仔鹿や、色とりどりに皮膚を輝かせるイグアナ、西洋にいるときとは違う暮らしぶりをみせるコウノトリの群れ、高い山の稜線を歩くバッファローたち……。

 もちろん、起きる出来事はいいことばかりではなく、そこで見るものも美しいものばかりではない。暮らしの中で起きた不幸な事故、旱魃、蝗害、人々の諍い。どうしても折り合わない、土地の人との価値観もある。それでも筆者の語るアフリカは、驚くほど美しい。

 やがて経営が立ち行かなくなり、アフリカを去るまでの濃密な十七年間を、ずっと後になってから綴ったとのこと。
 解説で、アフリカの日々が作者の記憶の中で蒸留され、美しい結晶になったと表現されているけれど、まさにそういう感じです。
 詩的で美しい情景には、はっとして何度も読み返したくなる箇所がたくさんあります。とても印象深い一冊。

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