小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
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気温はどちらかというと涼しいくらいだったが、それでも男は汗みずくだった。小休止をはさみながらとはいえ、朝から歩き通しだった。何より、湿度が高い。
『頑張れ。……だが、今の……で歩けばあと――』
無線機が運ぶノイズ交じりの声が、途中でぷつりと途絶えた。だが、男は慌てなかった。しばらくすれば、また前触れなく戻る。さっきからずっとそんな調子だった。あてにならない通信。そんなものでも、無いよりはずっといい。
いかにも前時代的な、原始的な無線機。骨董品のようなそれを、ほとんど抱き締めるようにして、男は歩いていた。
鬱蒼と繁るジャングル、深い緑陰。背の高い木々が遥か頭上で厚く葉を茂らせていて、太陽の光はわずかにしか降りてこない。それでも時おり何の拍子にか、枝葉の分厚い天蓋が途切れる場所がある。そこだけわずかに陽だまりが落ち、厚く降り積もった朽ち葉の隙間から、か細く草や低木が顔を覗かせている。
頭上高くからどうどうと、押し寄せる波の音にも似た轟音が響いていた。ただでさえ途切れがちな通信を、ますます聞き取りづらくしている。強弱を変えて延々と続くそれが、初めは、何の音か分からなかった。男はその正体の知れない音に巨獣の咆哮を連想して怯えたが、耳を澄ましてみれば何のことはない、遥かな高みで木々が起こす無数の葉擦れの音が、膨大な数集まって、そんなふうに轟いているのだった。密度の高い森に遮られて、男の肌には風の有無も分からなかったが、上空の方では強い風が吹き荒れていると思われた。
『――何か――か、……どうだ、聞こえるか』
無線が戻った。
「聞こえる。景色に変化はない」
男は無線機を握り締めて、できるだけ淡々と話しかけた。感情を大きく動かして、消耗するのが嫌だった。長期戦になることは間違いないのだ。
『よし、頑張れ。諦めるなよ。腹が減っても、その辺のものを口にするんじゃないぞ……本当に切羽詰まるまでは』
「分かってる」
男はちらりと足元を見た。どのみち、男の感覚で食べられそうと思えるものは、ほとんどなかった。かろうじて、木々の足元に黒っぽい苔がへばりついている程度だ。それから大小さまざまな昆虫のようなもの、蚯蚓に似た何か、奇妙な色の爬虫類らが、ときおり音を立ててすぐ足元を走り、あるいはぼとりと降ってくる。食べるどころか、頑丈な防護服で全身を覆っていなかったら、とっくに悲鳴を上げて卒倒していた。
『焦らないで、こまめに小休止を取れよ』
「分かってる」
『それと……を――』
また無線が途絶えた。落胆するまいと、男は胸のうちで自分に言い聞かせた。ただでさえ方向感覚が混乱しがちで、同じ所をぐるぐる回っているのではないかという不安と戦わなくてはならない。余計なエネルギーを使っている余裕はないのだ。
「もう少しの辛抱だからな、ブルー」
男は自分の肩の上に腰掛けた、小さな黒猫に話しかけた。仔猫というわけではなく、初めから大きくならない種類だ。もう何年も一緒に暮らしている、大事な相棒だった。宇宙船内で飼うことを目的として、低重力にも適応でき、毛が舞って機械類の隙間に入らないよう、品種改良された猫。
ブルーはときどき身じろぎしたり、落ちてくる昆虫に少しばかり興味を示すほかは、ただ男の肩でじっとして、冴え渡るような青い瞳で前方を見つめている。昔から驚くほど何事にも動じない性格をしていたが、不時着してからの二日間、不思議とますます落ち着いている。彼女がこれほど冷静でいなかったら、男はとっくに恐慌状態に陥っていた。
木々の荒い息遣い、むっとするような甘い匂い、無数の生き物の気配。男は母星の密林を知らないが、きっとここと似たような光景が見られるのだろうと、頭の片隅でちらりと思った。そう考えては見ても、濃厚な生き物の気配は、男の郷愁を誘わなかった。人工物に囲まれた長い宇宙暮らしを続けたあとには、この生命の匂いはあまりに強烈すぎる。
空気に味さえあるような、と、男は思った。この惑星の大気成分が地球のそれとほぼ変わらないこと、分かっている範囲では、この近隣では人体に有害なガスは滞留していないらしいこと。それだけが救いだった。いや、今のところ猛獣に行き当たっていないこと、機体がすっかり壊れた割りに怪我らしい怪我がないこと、僅かばかりの水を持ち出せたことも、奇跡と呼んでいいかもしれない。
悪い材料は、数えればいくらでもある。もう手持ちの食糧がないこと。母船には彼の捜索と救出に充分な人員と設備がないこと。かろうじて無線は通じているが、仲間たちは彼の正確な現在位置をいまだ把握できないでいる。たとえ把握できたところで、今の装備では、この密林に直接降下して救出することはできそうにない。つまり、男は自力で多少なりと開けた場所へたどり着かなければならない。
一番悪いのは、母船の恒星間通信が使えず、近隣の星系にSOSが出せないでいることだ。男は詳しい理屈を知らないが、この星系から少し離れたところにある特殊なブラックホールに原因があるらしい。
不幸な事故だった。科学技術がどれだけ進歩しても、人の手で創られたものに『絶対』はない。分かっていたはずの事実を、男はあらためて噛みしめた。事故というものは、永遠になくならない。
もともと彼らは、この未開の惑星を調査するために派遣されてきたわけではなかった。そもそもこの辺りは、まだあまり人類が足を伸ばしていない宙域だ。将来的な開発計画については議論されているものの、地理的な不便さがあり、手付かずの資源がもっと手近な宙域にいくらもあったので、喫緊の計画ではない。
彼らが別件で近隣の宙域を航行している途中、連邦大学の研究者から通信が入った。どうせそのあたりを通り掛かるのなら、ちょっと頼まれてくれと、急な調査依頼が舞い込んだのだった。報酬は期待できたし、旅程にもまだ余裕があった。それで母船を軌道上に待機させ、彼を含めて三機、小型の探査機が母船を離れて降下したのだった。
大気圏には突入したものの、調査に充分な装備はなかったので、地上に降りず、上空からの簡単な調査に留まるはずだった。エンジントラブルさえなければ。
男は溜め息を堪えた。考えても仕方のないことは、考えない。人間の体は思考するのにもエネルギーを消費するのだ。体力はできるだけ温存しなくてはならない。
「ブルー?」
愛猫が、突然男の肩から降りた。彼女は音も立てず着地すると、優雅な足取りで、ひときわ太い巨木の根元に向かった。ここにもほんの少し木々の天蓋に切れ目があって、ずいぶん傾いた陽が、斜めに射していた。その辺りだけ、地を這うような雑草がわずかばかりしがみついている。
ブルーはそのまま木の根元にすっと腰を下ろして、男の顔を見上げてきた。男は立ち止まり、魅入られたように、彼女の青い瞳を見返した。
『――い。おい、聞こえるか』
通信が戻った。男ははっとして、無線機を口元に寄せた。
「ああ。聞こえている」
『良いニュースだ。ようやくそっちの場所が分かった』
相手の声は歓喜と安堵が滲んでいたが、男は安心しなかった。いったん気を緩めてしまって、また不安材料がやってきたときに、再び突き落とされるのが怖かったからだ。
『日が暮れるまでには間に合わない。今日は早めに休んで、夜が明けてから動け』
「――了解」
『近くに河が通っている。水音に注意して、なんとかそこまで出るんだ。河には入るな。何が棲んでいるか分からない』
「ああ」
これまでのノイズに邪魔された通信と違い、音声はずいぶんクリアだった。男は愛猫の目をじっと見つめたまま、通信に応えた。
『水辺に出たら、あとはひたすら下流に向かえ。頑張れ、もう少しの辛抱だ』
「分かった」
ブルーが足元で、静かに頷いた。男にはその仕草が「相手の言うとおり、今日はもう休め」と言っているように見えた。錯覚だろうか。賢い猫だ。会話の中身をすっかり理解しているかもしれない。
男は愛猫の隣にふらふらと座り込んだ。尻の下を、もぞりと動いて逃げていった虫がいたようだったが、疲労が勝って、もう気にならなかった。
ひどく疲れきっていたが、神経は昂ぶっている。轟々と唸る葉擦れに混じって、遠く、獣の吠え声らしいものも耳に入ってくる。とても眠れないと思ったが、巨木に背中を凭れさせると、背中を支える揺ぎない感触が、やけに頼もしかった。ただそれだけで、安心するほどの根拠もないのだが、そう感じた次の瞬間には、男はすっと眠りに入っていた。
はっと目が覚めると、辺りは深い闇に包まれていた。それでも真の暗闇ではない。ブルーの瞳が僅かに光ったことで、男にもそれがわかった。
見上げれば、木々にごく小さく切り取られた狭い空に、それでも数え切れない星が煌いていた。
宇宙空間で目にするのとはまるで違う、遠く小さいのに、迫るような星空だった。
男はどうしてこうも違って見えるのかと驚いて、それから気付いた。大気があるせいで、星が瞬いているのだ。久しく地上に戻っていない男にとって、それは新鮮な光景だった。
男がじっと星空に見入っていると、やがて、微かに尾を引いて狭い空を横切る光の粒が、いくつも流れては消え、また現れて、すうっと流れていった。
流星群。
それはなかなか止まなかった。
風は相変わらず強いらしく、木々はやはり轟々と唸っている。それが星の流れる音であるかのような錯覚を覚えて、男はいつまでもぽかんと空を見上げていた。
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某所の三語に投稿。制限時間の目安60分のところ、大幅オーバーして約二時間。
必須お題「ブラックホール」「通信」「流星」
縛り「ペットを登場させる」
*ペットについては、誰もがペットと思えれば(思わせることができるなら)何でもあり。
任意お題「ダークエンジェル」「うご野いちごちゃん」「ふたなり」(使えず)
『頑張れ。……だが、今の……で歩けばあと――』
無線機が運ぶノイズ交じりの声が、途中でぷつりと途絶えた。だが、男は慌てなかった。しばらくすれば、また前触れなく戻る。さっきからずっとそんな調子だった。あてにならない通信。そんなものでも、無いよりはずっといい。
いかにも前時代的な、原始的な無線機。骨董品のようなそれを、ほとんど抱き締めるようにして、男は歩いていた。
鬱蒼と繁るジャングル、深い緑陰。背の高い木々が遥か頭上で厚く葉を茂らせていて、太陽の光はわずかにしか降りてこない。それでも時おり何の拍子にか、枝葉の分厚い天蓋が途切れる場所がある。そこだけわずかに陽だまりが落ち、厚く降り積もった朽ち葉の隙間から、か細く草や低木が顔を覗かせている。
頭上高くからどうどうと、押し寄せる波の音にも似た轟音が響いていた。ただでさえ途切れがちな通信を、ますます聞き取りづらくしている。強弱を変えて延々と続くそれが、初めは、何の音か分からなかった。男はその正体の知れない音に巨獣の咆哮を連想して怯えたが、耳を澄ましてみれば何のことはない、遥かな高みで木々が起こす無数の葉擦れの音が、膨大な数集まって、そんなふうに轟いているのだった。密度の高い森に遮られて、男の肌には風の有無も分からなかったが、上空の方では強い風が吹き荒れていると思われた。
『――何か――か、……どうだ、聞こえるか』
無線が戻った。
「聞こえる。景色に変化はない」
男は無線機を握り締めて、できるだけ淡々と話しかけた。感情を大きく動かして、消耗するのが嫌だった。長期戦になることは間違いないのだ。
『よし、頑張れ。諦めるなよ。腹が減っても、その辺のものを口にするんじゃないぞ……本当に切羽詰まるまでは』
「分かってる」
男はちらりと足元を見た。どのみち、男の感覚で食べられそうと思えるものは、ほとんどなかった。かろうじて、木々の足元に黒っぽい苔がへばりついている程度だ。それから大小さまざまな昆虫のようなもの、蚯蚓に似た何か、奇妙な色の爬虫類らが、ときおり音を立ててすぐ足元を走り、あるいはぼとりと降ってくる。食べるどころか、頑丈な防護服で全身を覆っていなかったら、とっくに悲鳴を上げて卒倒していた。
『焦らないで、こまめに小休止を取れよ』
「分かってる」
『それと……を――』
また無線が途絶えた。落胆するまいと、男は胸のうちで自分に言い聞かせた。ただでさえ方向感覚が混乱しがちで、同じ所をぐるぐる回っているのではないかという不安と戦わなくてはならない。余計なエネルギーを使っている余裕はないのだ。
「もう少しの辛抱だからな、ブルー」
男は自分の肩の上に腰掛けた、小さな黒猫に話しかけた。仔猫というわけではなく、初めから大きくならない種類だ。もう何年も一緒に暮らしている、大事な相棒だった。宇宙船内で飼うことを目的として、低重力にも適応でき、毛が舞って機械類の隙間に入らないよう、品種改良された猫。
ブルーはときどき身じろぎしたり、落ちてくる昆虫に少しばかり興味を示すほかは、ただ男の肩でじっとして、冴え渡るような青い瞳で前方を見つめている。昔から驚くほど何事にも動じない性格をしていたが、不時着してからの二日間、不思議とますます落ち着いている。彼女がこれほど冷静でいなかったら、男はとっくに恐慌状態に陥っていた。
木々の荒い息遣い、むっとするような甘い匂い、無数の生き物の気配。男は母星の密林を知らないが、きっとここと似たような光景が見られるのだろうと、頭の片隅でちらりと思った。そう考えては見ても、濃厚な生き物の気配は、男の郷愁を誘わなかった。人工物に囲まれた長い宇宙暮らしを続けたあとには、この生命の匂いはあまりに強烈すぎる。
空気に味さえあるような、と、男は思った。この惑星の大気成分が地球のそれとほぼ変わらないこと、分かっている範囲では、この近隣では人体に有害なガスは滞留していないらしいこと。それだけが救いだった。いや、今のところ猛獣に行き当たっていないこと、機体がすっかり壊れた割りに怪我らしい怪我がないこと、僅かばかりの水を持ち出せたことも、奇跡と呼んでいいかもしれない。
悪い材料は、数えればいくらでもある。もう手持ちの食糧がないこと。母船には彼の捜索と救出に充分な人員と設備がないこと。かろうじて無線は通じているが、仲間たちは彼の正確な現在位置をいまだ把握できないでいる。たとえ把握できたところで、今の装備では、この密林に直接降下して救出することはできそうにない。つまり、男は自力で多少なりと開けた場所へたどり着かなければならない。
一番悪いのは、母船の恒星間通信が使えず、近隣の星系にSOSが出せないでいることだ。男は詳しい理屈を知らないが、この星系から少し離れたところにある特殊なブラックホールに原因があるらしい。
不幸な事故だった。科学技術がどれだけ進歩しても、人の手で創られたものに『絶対』はない。分かっていたはずの事実を、男はあらためて噛みしめた。事故というものは、永遠になくならない。
もともと彼らは、この未開の惑星を調査するために派遣されてきたわけではなかった。そもそもこの辺りは、まだあまり人類が足を伸ばしていない宙域だ。将来的な開発計画については議論されているものの、地理的な不便さがあり、手付かずの資源がもっと手近な宙域にいくらもあったので、喫緊の計画ではない。
彼らが別件で近隣の宙域を航行している途中、連邦大学の研究者から通信が入った。どうせそのあたりを通り掛かるのなら、ちょっと頼まれてくれと、急な調査依頼が舞い込んだのだった。報酬は期待できたし、旅程にもまだ余裕があった。それで母船を軌道上に待機させ、彼を含めて三機、小型の探査機が母船を離れて降下したのだった。
大気圏には突入したものの、調査に充分な装備はなかったので、地上に降りず、上空からの簡単な調査に留まるはずだった。エンジントラブルさえなければ。
男は溜め息を堪えた。考えても仕方のないことは、考えない。人間の体は思考するのにもエネルギーを消費するのだ。体力はできるだけ温存しなくてはならない。
「ブルー?」
愛猫が、突然男の肩から降りた。彼女は音も立てず着地すると、優雅な足取りで、ひときわ太い巨木の根元に向かった。ここにもほんの少し木々の天蓋に切れ目があって、ずいぶん傾いた陽が、斜めに射していた。その辺りだけ、地を這うような雑草がわずかばかりしがみついている。
ブルーはそのまま木の根元にすっと腰を下ろして、男の顔を見上げてきた。男は立ち止まり、魅入られたように、彼女の青い瞳を見返した。
『――い。おい、聞こえるか』
通信が戻った。男ははっとして、無線機を口元に寄せた。
「ああ。聞こえている」
『良いニュースだ。ようやくそっちの場所が分かった』
相手の声は歓喜と安堵が滲んでいたが、男は安心しなかった。いったん気を緩めてしまって、また不安材料がやってきたときに、再び突き落とされるのが怖かったからだ。
『日が暮れるまでには間に合わない。今日は早めに休んで、夜が明けてから動け』
「――了解」
『近くに河が通っている。水音に注意して、なんとかそこまで出るんだ。河には入るな。何が棲んでいるか分からない』
「ああ」
これまでのノイズに邪魔された通信と違い、音声はずいぶんクリアだった。男は愛猫の目をじっと見つめたまま、通信に応えた。
『水辺に出たら、あとはひたすら下流に向かえ。頑張れ、もう少しの辛抱だ』
「分かった」
ブルーが足元で、静かに頷いた。男にはその仕草が「相手の言うとおり、今日はもう休め」と言っているように見えた。錯覚だろうか。賢い猫だ。会話の中身をすっかり理解しているかもしれない。
男は愛猫の隣にふらふらと座り込んだ。尻の下を、もぞりと動いて逃げていった虫がいたようだったが、疲労が勝って、もう気にならなかった。
ひどく疲れきっていたが、神経は昂ぶっている。轟々と唸る葉擦れに混じって、遠く、獣の吠え声らしいものも耳に入ってくる。とても眠れないと思ったが、巨木に背中を凭れさせると、背中を支える揺ぎない感触が、やけに頼もしかった。ただそれだけで、安心するほどの根拠もないのだが、そう感じた次の瞬間には、男はすっと眠りに入っていた。
はっと目が覚めると、辺りは深い闇に包まれていた。それでも真の暗闇ではない。ブルーの瞳が僅かに光ったことで、男にもそれがわかった。
見上げれば、木々にごく小さく切り取られた狭い空に、それでも数え切れない星が煌いていた。
宇宙空間で目にするのとはまるで違う、遠く小さいのに、迫るような星空だった。
男はどうしてこうも違って見えるのかと驚いて、それから気付いた。大気があるせいで、星が瞬いているのだ。久しく地上に戻っていない男にとって、それは新鮮な光景だった。
男がじっと星空に見入っていると、やがて、微かに尾を引いて狭い空を横切る光の粒が、いくつも流れては消え、また現れて、すうっと流れていった。
流星群。
それはなかなか止まなかった。
風は相変わらず強いらしく、木々はやはり轟々と唸っている。それが星の流れる音であるかのような錯覚を覚えて、男はいつまでもぽかんと空を見上げていた。
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朝陽 遥(アサヒ ハルカ)
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