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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
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 ガルシア=マルケス「族長の秋」を読了しました。隙間時間をつかって切れ切れに、二週間くらいだらだら読んでたんですけど、なんていうか、ものすごく濃かったです。

 権力の破綻、独裁者の孤独。

 舞台は南米、軍事力にまかせた独裁政権のもとにある、とある架空の国。
 視点というか、語り手のいったりきたりする、独特の文体です。主人公である独裁者本人の言葉によってその場面が語られたかと思ったら、突然その続きをそのままほかのキャラクターが語りだしたりするんですけど、そのときに章立てや場面転換を示す空行などはありません。というか、改行さえなく、なんの前触れもなく語り手がつぎつぎにスイッチ……というより、錯綜している。話の時系列的にも行きつ戻りつ。過去と現在、願望と現実のあいだをめまぐるしく行き交って。

 独特の文体です。かろうじていくつかの章にわかれているけれど、段落変えというものが、いっさい存在しません。ページをひらくと文字がぎゅぎゅぎゅっと詰まり、そのあいだを読点が小刻みに分割しています。
 そのうえに文脈もめまぐるしく移り変わり、一文のなかの語順さえ倒置されていて、読んでいてとまどう箇所は多数。人はどんどん死ぬし、悲惨な事件はばんばん起きるし、主人公は絶えず不安と孤独にさいなまれているし、とっつきやすい小説とはいえません。
 が、美しい。

 独善、虚栄、猜疑、欲望……。見たいものだけを見つめ、己を鏡に映すことをしらず、奪うことしか知らない、子どもじみた、独裁者。孤独に怯え続け、醜く老いた哀れなひとりの男の物語です。

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