小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
少し前に読了していたのを、タイミングを逸して今ごろ感想文。
面白かった……。やっぱり、出会いが悪かったからと言って、これまであまり東野さんの本を読まないでいたのは失敗でした。
事件に巻き込まれて脳の一部を損傷し、世界で初めて脳移植手術を受けた主人公。奇跡的な手術の成功、順調な回復。
しかし、時間が経つにつれて少しずつ、主人公の性格が変わっていく。考え方が変わり、好みが変わり、感性が変わる。医師を問い詰めても、そんなことが起こるはずがないと言い張る。だけど、それは確実に進行していく。自分が失われていく。
文庫本の後ろにあるあらすじがミステリっぽかったので、最後にもう一つどんでん返しがあるのかと勝手に期待してしまったのが、少々誤算といえば誤算でした。この前『秘密』を読んだばっかりだったですしね。
しかし、それはそれとして、このラストはよかった。全て丸く収まったというのとは違いますし、賛否両論あるかもしれませんが、着地すべきところに着地したという気がしました。
ケチをつけるのもあれなんですが(ファンの方、大変申し訳ないです)、東野圭吾さんの人物描写は、私にはときどき納得がいかないところが残るようです。全部が全部じゃないんですけど、たまに「ええ、どうしてそんな思考(気持ち)の流れになるの?」というような違和感を覚えることがあるというか。
たぶん私の感覚の方がずれているのだと思うのですが。登場人物に感情移入して読むほうなので、のめりこんでいた分だけ、そういう瞬間に一気に小説世界から意識が逸れて、本の外に引き戻されてしまうというか。
さておき、『変身』はその辺を差し引いてもたっぷりおつりがくるくらい、面白かったです。
あとはおもいっきり余談ですが、読んで連想したのが、清水玲子さんの漫画『輝夜姫』と、ダニエル・キイスの小説『アルジャーノンに花束を』でした。構図的には後者がまだ近いけれど(話の本質はまったく別としても)、先に思い浮かんだのは前者でした。
輝夜姫は、ホストの脳味噌を丸ごとドナーの体にうつすという話が出てきて。脳移植というか、身体移植ですね。面白かったけどグロかった……。っていうか、清水さんはいつも面白いけどグロいです。えげつないと言ってもいい。しかしすごく感動する。ドロドロした部分は、苦手な種類のエグさなのに、読み終えてより胸に残るのは、感動した部分の方なんですよね。(※誉めてます)人間の醜さも、美しさも、両方を力いっぱい描いてあるからだと思います。泥の中で輝く美しさ。
大好きな漫画家さんです。ただ、猟奇系が駄目な人は読まないほうがいいかもしれません。
以上。明日は(たぶん)更新ありません。泊まりにおいでになるおねえさんを、精一杯おもてなししてきます。まず隠れオタとしては、部屋に積んである本・漫画を隠すところからだな!
面白かった……。やっぱり、出会いが悪かったからと言って、これまであまり東野さんの本を読まないでいたのは失敗でした。
事件に巻き込まれて脳の一部を損傷し、世界で初めて脳移植手術を受けた主人公。奇跡的な手術の成功、順調な回復。
しかし、時間が経つにつれて少しずつ、主人公の性格が変わっていく。考え方が変わり、好みが変わり、感性が変わる。医師を問い詰めても、そんなことが起こるはずがないと言い張る。だけど、それは確実に進行していく。自分が失われていく。
文庫本の後ろにあるあらすじがミステリっぽかったので、最後にもう一つどんでん返しがあるのかと勝手に期待してしまったのが、少々誤算といえば誤算でした。この前『秘密』を読んだばっかりだったですしね。
しかし、それはそれとして、このラストはよかった。全て丸く収まったというのとは違いますし、賛否両論あるかもしれませんが、着地すべきところに着地したという気がしました。
ケチをつけるのもあれなんですが(ファンの方、大変申し訳ないです)、東野圭吾さんの人物描写は、私にはときどき納得がいかないところが残るようです。全部が全部じゃないんですけど、たまに「ええ、どうしてそんな思考(気持ち)の流れになるの?」というような違和感を覚えることがあるというか。
たぶん私の感覚の方がずれているのだと思うのですが。登場人物に感情移入して読むほうなので、のめりこんでいた分だけ、そういう瞬間に一気に小説世界から意識が逸れて、本の外に引き戻されてしまうというか。
さておき、『変身』はその辺を差し引いてもたっぷりおつりがくるくらい、面白かったです。
あとはおもいっきり余談ですが、読んで連想したのが、清水玲子さんの漫画『輝夜姫』と、ダニエル・キイスの小説『アルジャーノンに花束を』でした。構図的には後者がまだ近いけれど(話の本質はまったく別としても)、先に思い浮かんだのは前者でした。
輝夜姫は、ホストの脳味噌を丸ごとドナーの体にうつすという話が出てきて。脳移植というか、身体移植ですね。面白かったけどグロかった……。っていうか、清水さんはいつも面白いけどグロいです。えげつないと言ってもいい。しかしすごく感動する。ドロドロした部分は、苦手な種類のエグさなのに、読み終えてより胸に残るのは、感動した部分の方なんですよね。(※誉めてます)人間の醜さも、美しさも、両方を力いっぱい描いてあるからだと思います。泥の中で輝く美しさ。
大好きな漫画家さんです。ただ、猟奇系が駄目な人は読まないほうがいいかもしれません。
以上。明日は(たぶん)更新ありません。泊まりにおいでになるおねえさんを、精一杯おもてなししてきます。まず隠れオタとしては、部屋に積んである本・漫画を隠すところからだな!
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No title
私もね隠れオタなの。
小説を書いてることととか、ごく身近な人しか知りません。
事務職だからPCを使えるのね。程度の印象だそうです。
PC使っても良い? と言われると、ビクッ!!とします><
小説を書いてることととか、ごく身近な人しか知りません。
事務職だからPCを使えるのね。程度の印象だそうです。
PC使っても良い? と言われると、ビクッ!!とします><
No title
アルジャーノンは面白かったですよね。
実は初めて原語で読んだのがアルジャーノンでした。
って、辞書を引きっぱなしでしたけど
(実際には村上春樹の英語版が最初だったけど、あれはいわゆる英語への『翻訳物』ですので)。
「変身」って読むと真っ先にカフカを思い出してしまいました(汗)。
「人物描写は、私にはときどき納得がいかないところがある」ってのは判る気がします。
逆にそのギャップを楽しむという方法もあるように思えますが、なかなか難しいんですよね。
僕もかなり感情移入してしまう方なので、自分の感情とちょっとでも差異が生じると「裏切られたぁ」なんて気持ちになったりします。
実は初めて原語で読んだのがアルジャーノンでした。
って、辞書を引きっぱなしでしたけど
(実際には村上春樹の英語版が最初だったけど、あれはいわゆる英語への『翻訳物』ですので)。
「変身」って読むと真っ先にカフカを思い出してしまいました(汗)。
「人物描写は、私にはときどき納得がいかないところがある」ってのは判る気がします。
逆にそのギャップを楽しむという方法もあるように思えますが、なかなか難しいんですよね。
僕もかなり感情移入してしまう方なので、自分の感情とちょっとでも差異が生じると「裏切られたぁ」なんて気持ちになったりします。
キャサリン様へ
ですよねーw 高校の頃から知っている友達くらいにしか言えません。私も今回、念のためパソコン上のショートカット・お気に入り等を整理して(隠して)からお迎えいたしました。案の定、デジカメ写真の整理にPCを使い。ほっ……。セーフセーフ。
山田さん様へ
『アルジャーノンに花束を』は名作ですよね! 一度読むと忘れられないというか。私は原書で読む根性はありませんが……w
カフカは疎いのですが、処刑の話が印象深かったです。
違和感、どうしてもときどきありますよね。理想を言えば、人様の色んな考え方をまるごと受け止められる心の容量が欲しいのですけれど、なかなかそうもいかず。
あと、ごめんなさい、別件ですが。もう読まれたかわかりませんが、投稿処の方でご迷惑をおかけしてしまったようで、申し訳ありませんでした……(大汗)
最近の日記で『今書いている』と言っているものも、件の掌編の続きにあたるものなので、ご不快に思われるようでしたら書けても公開せずに眠らせておこうかと思います。すみませんでした。
カフカは疎いのですが、処刑の話が印象深かったです。
違和感、どうしてもときどきありますよね。理想を言えば、人様の色んな考え方をまるごと受け止められる心の容量が欲しいのですけれど、なかなかそうもいかず。
あと、ごめんなさい、別件ですが。もう読まれたかわかりませんが、投稿処の方でご迷惑をおかけしてしまったようで、申し訳ありませんでした……(大汗)
最近の日記で『今書いている』と言っているものも、件の掌編の続きにあたるものなので、ご不快に思われるようでしたら書けても公開せずに眠らせておこうかと思います。すみませんでした。
No title
えっと、別の所にもレスしましたが、ちっとも不快じゃないですよww。
HALさんの書かれる作品はいつも楽しみにしています。ですから「件の掌編の続きにあたるもの」もぜひとも読みたいです。
何も気にする必要は無いですよww。
HALさんの書かれる作品はいつも楽しみにしています。ですから「件の掌編の続きにあたるもの」もぜひとも読みたいです。
何も気にする必要は無いですよww。
プロフィール
HN:
朝陽 遥(アサヒ ハルカ)
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性別:
非公開
自己紹介:
朝陽遥(アサヒ ハルカ)またはHAL.Aの名義であちこち出没します。お気軽にかまってやっていただけるとうれしいです。詳しくはこちらから
拍手コメントをいただいた場合は、お名前をださずにブログ記事内で返信させていただいております。もしも返信がご迷惑になる場合は、お手数ですがコメント中に一言書き添えていただければ幸いです。
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