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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
 『パレオマニア‐大英博物館からの13の旅』を読了。
 厚めの本ですが、これはちょっとずつ日々の楽しみに読んでました。普段はせっかちで、読み始めると一気読みする私ですが、これはゆっくり楽しみました。というのが、二十八章の短編に分かれていて、日に一、二章ずつ読むとちょうどいい感じなんですよね。

 内容は、小説の形式をとってはいるけれど、八割がたエッセイです。著者いわく「旅をしたのは彼か我か、今でも確定しきれない気がする。そういうことになったのは、この一連の旅が現実と非現実の境界線上にこそ成り立つものだったから」だそう。
 大英博物館を見て回り、強い印象をもって訴えかけてきた古い美術品の、出土された地方を訪ね、それを作った人々の生き方に想像をめぐらせ、それを生んだ風土を思い、文化の源流に思いを馳せる。そういう作品です。ギリシャ、エジプト、インド、イラン、カナダ、イギリス、カンボディア、ヴェトナム、イラク、トルコ、韓国、メキシコ、オーストラリアで13か国。

 純粋に「小説」として評価するなら、私の感覚では微妙。ストーリーにぐいぐい引き込まれる、という感じではないんですね。どちらかというと紀行文のつもりで満喫しました。
 単純な美術品への感慨や批評に終わらない、広い視点からの考察。
 いつか本格異世界ファンタジーを書きたいという夢のある自分には、大変勉強になりました。

 今日、ちょっとしんどい仕事が重なってばたばたして、帰り際にはMP0な感じだったんですけど、本を読んでたら、いつの間にか元気でてきました。本好きで良かったなあ。

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本格異世界ファンタジー。
いいですね。
池澤夏樹さんってのも名前しか知らないんですが、
他の作品はどうなんでしょうね。
って、僕も色々な方から色々な作家を教えてもらい、
どれから手を付けていいか混乱してたりもします(汗)。
くどいようですが、今は梨木香歩さんにぞっこん。
ちなみに今日、本屋によって恩田陸さんの作品を探そうとしたんですが何故か一冊もなし……なじぇ?
(コーナーはあったから誰かが大人買いした後だったか!)。
Posted by 山田さん 2009.02.09 Mon 20:06 編集
山田さん様へ
 私の独断と偏見では、短編集『骨は珊瑚、眼は真珠』、長編『花を運ぶ妹』がオススメです。
『骨は珊瑚、眼は真珠』の方は、妻に「自分が死んだ後、骨を砕いて海に撒いて欲しい」と頼む男の話をはじめ、いずれも池澤氏初期の作品に見られる乾いた透明な孤独感がよく出ていて、その空気がフィットする方はハマると思います。
『花を運ぶ妹』は、この間ちょっと紹介した、バリ島でヘロインの密輸という濡れ衣を着せられた主人公と、彼を助けようとする妹の話です。
 いつか気が向かれましたら、お時間のあるときにでも。

 私は逆に、本屋で梨木さんの本を見つけきれずにいます。近いうちにAmazonで買おうと思ってるんですが、とりあえず早いとこ入金にいかねば、カードが使えない……w(残高=限度額のカードを使っているので)
Posted by HAL.A URL 2009.02.09 Mon 22:15 編集
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