小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
過激な描写の出てくる作風の人気作家・チヨダコーキ。彼の小説のせいで人が死んだ――大きく報道された事件。それ以来、筆を置いて長く書くことから離れていた彼は、やがて数年のブランクの後に、ふたたび書くことをはじめた。
チヨダ・コーキを筆頭に、創作の道を志す数名の若者が暮らすアパート・スロウハイツ。コーキのファンである赤羽環の発案で共同生活を送ることになった彼らは、それぞれの道に向かって夢を語り、あるいは作品を世に出しながら、刺激を与えあっていた。だけど、芽が出るものもいれば、夢を諦めるものも出てくる。
それぞれの行く末は、そして隠されていた過去とは……
少し前から評判ですね、辻村深月さんの本。ツイッターで友達が感想をツイートしていたので、買ってみました。
そして、面白かったあ! だんだんと明かされていく過去の出来事がとても切なく、伏線をたくみに使った展開も面白いし、何より、登場人物がすごく魅力的でいいです。彼らのひとりひとりを応援したくなるし、励まされる。創作に打ち込んでいらっしゃる方には、なおいいかもです。
素晴らしい読後感でした。この方の本は、少しずつ集めて読もうと思っています。
チヨダ・コーキを筆頭に、創作の道を志す数名の若者が暮らすアパート・スロウハイツ。コーキのファンである赤羽環の発案で共同生活を送ることになった彼らは、それぞれの道に向かって夢を語り、あるいは作品を世に出しながら、刺激を与えあっていた。だけど、芽が出るものもいれば、夢を諦めるものも出てくる。
それぞれの行く末は、そして隠されていた過去とは……
少し前から評判ですね、辻村深月さんの本。ツイッターで友達が感想をツイートしていたので、買ってみました。
そして、面白かったあ! だんだんと明かされていく過去の出来事がとても切なく、伏線をたくみに使った展開も面白いし、何より、登場人物がすごく魅力的でいいです。彼らのひとりひとりを応援したくなるし、励まされる。創作に打ち込んでいらっしゃる方には、なおいいかもです。
素晴らしい読後感でした。この方の本は、少しずつ集めて読もうと思っています。
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職場の人から借りたのですが、医療ミステリかあ、なんか敷居が高いなあ、などと思いながら読み始めてみたら、ふつうに読みやすくて面白かったです。最初だけちょっと専門用語がどんどん出てくるような印象があって、とっつきにくかったかな。
主人公を魔性の女的に描いてあって、それがちょっと、人間味が薄くて苦手だと思う一方で、そこが終盤の痛快さにもつながっているので、単純に批判するのもアレかな。しかし、出産や不妊といったリアルな現実を、物語の伏線のためのツールとして使用しているような印象があって、個人的にはそれにちょっと違和感があります。
ということで、面白いのは面白いんだけど、なんかちょっと引っかかるなあ、と思いながら読んでいたのですが、終盤、不意打ちでぐっと胸につまるシーンがありました。
ネタバレしたら面白くなさそうなので、あいまいな感想になってしまいますが。
主人公を魔性の女的に描いてあって、それがちょっと、人間味が薄くて苦手だと思う一方で、そこが終盤の痛快さにもつながっているので、単純に批判するのもアレかな。しかし、出産や不妊といったリアルな現実を、物語の伏線のためのツールとして使用しているような印象があって、個人的にはそれにちょっと違和感があります。
ということで、面白いのは面白いんだけど、なんかちょっと引っかかるなあ、と思いながら読んでいたのですが、終盤、不意打ちでぐっと胸につまるシーンがありました。
ネタバレしたら面白くなさそうなので、あいまいな感想になってしまいますが。
朝子、高校生。なんとなく学校にいかなくなった。部屋からものを捨ててしまいたくなった。死んだおじいちゃんに買ってもらったパソコン、設定で躓いてずっと埃をかぶっていたその機械を、捨てようとした。
そんな朝子に向かって、粗大ゴミはここじゃないとたしなめた、小学生の男の子・かずよし。彼はそのパソコンを使って、バイトをはじめたといい、主人公を誘う。そのバイトというのは、かずよしの部屋の押入れに隠れて、チャットレディをするというものだった……
表題作のインストールは、ちょっと面白くはあったけれど、あまり強い印象は残りませんでした。個人的には、『蹴りたい背中』のほうが色気があってよかったような。でも、もうちょっと若いうち、十代くらいのときに読んでいたら、もしかして印象が違ったのかなあ、という気もします。ある日突然部屋のものを捨ててガラガラの部屋にしても、不登校になって不健全なバイトに明け暮れても、なかなか気づいてくれない母親への不満。そういう主人公の気持ちに寄り添うことができれば、もっと味わえたかも。
一緒に入っていた短編の『You can keep it』のほうが、むしろ印象深かったです。トモダチを作って友情を保つのに、「気前よくものをあげる」という方法しか知らない主人公。人にあげるためだけに、色んなものを持ち歩いている。それを誉められたり、ほしそうにされたら、どんどんあげちゃう。でも、その過剰なプレゼント癖が、気味悪がられるようになって……。
不器用な主人公がじれったくて、違うよ、そうじゃないよって声をかけたくなるような。
そんな朝子に向かって、粗大ゴミはここじゃないとたしなめた、小学生の男の子・かずよし。彼はそのパソコンを使って、バイトをはじめたといい、主人公を誘う。そのバイトというのは、かずよしの部屋の押入れに隠れて、チャットレディをするというものだった……
表題作のインストールは、ちょっと面白くはあったけれど、あまり強い印象は残りませんでした。個人的には、『蹴りたい背中』のほうが色気があってよかったような。でも、もうちょっと若いうち、十代くらいのときに読んでいたら、もしかして印象が違ったのかなあ、という気もします。ある日突然部屋のものを捨ててガラガラの部屋にしても、不登校になって不健全なバイトに明け暮れても、なかなか気づいてくれない母親への不満。そういう主人公の気持ちに寄り添うことができれば、もっと味わえたかも。
一緒に入っていた短編の『You can keep it』のほうが、むしろ印象深かったです。トモダチを作って友情を保つのに、「気前よくものをあげる」という方法しか知らない主人公。人にあげるためだけに、色んなものを持ち歩いている。それを誉められたり、ほしそうにされたら、どんどんあげちゃう。でも、その過剰なプレゼント癖が、気味悪がられるようになって……。
不器用な主人公がじれったくて、違うよ、そうじゃないよって声をかけたくなるような。
環境汚染問題についての評論。有名どころですが、少し古い本ですね。
戦時に開発された毒物がもととなって発展した殺虫剤の技術。そうした薬剤によって、害虫を駆除しようとやっきになった人類が、いかに後先を省みず水や土を汚染し、野鳥や獣や魚を無差別に殺し、自分たちの体のなかに汚染物質を蓄えていったのか、ということ。そういう公害問題を、非常にわかりやすい文体で訴えかけてあります。
内容は漠然と知っていたので、てっきりもっと固くて読みにくい本なんだと思い込んでいたのですが、読みやすいと教えてもらったので、買ってみました。そしたらほんとに読みやすかった。
読みやすい、伝わりやすい、わかりやすいということは、すごく強い武器だなと思います。(ものごとを一方的な見方から劇的に誇張して報道するようなメディアを、擁護するわけではないのだけれども)
もしこの本がもっと難解だったり、あるいは単調で退屈だったりしたら、こんなに読まれなかったんじゃないかと。歴史を変えた一冊といわれる意味がよくわかります。これが世に出なかったら、環境汚染の危険性を人々が理解するまでに、きっともっと時間がかかったでしょう。
資源に乏しい日本に住んでいると、エコ、ということは、資源の節約というイメージが占めるところが大きいけれど、本当はそれだけじゃないですね。わたしたちが生活の中で汚す水が、浄化されてきれいになるまでに、どれだけの時間とコストがかかっているのか、ということ。
ふだん何の気なしに使っている洗剤や除草剤、殺虫剤、土に沁み、下水に流れていくそれらが、回りまわってわたしたちにどう帰ってくるのか。
ついつい便利さに負けて、なにかと洗剤や除草剤に頼ってしまうし、それらをすべて排除して生活するのは、すごく大変なことです。そういうものを社会から駆逐する、というのは現実的ではないけれど、でも、いつも意識は持っていたほうがいい。自戒を込めて。
戦時に開発された毒物がもととなって発展した殺虫剤の技術。そうした薬剤によって、害虫を駆除しようとやっきになった人類が、いかに後先を省みず水や土を汚染し、野鳥や獣や魚を無差別に殺し、自分たちの体のなかに汚染物質を蓄えていったのか、ということ。そういう公害問題を、非常にわかりやすい文体で訴えかけてあります。
内容は漠然と知っていたので、てっきりもっと固くて読みにくい本なんだと思い込んでいたのですが、読みやすいと教えてもらったので、買ってみました。そしたらほんとに読みやすかった。
読みやすい、伝わりやすい、わかりやすいということは、すごく強い武器だなと思います。(ものごとを一方的な見方から劇的に誇張して報道するようなメディアを、擁護するわけではないのだけれども)
もしこの本がもっと難解だったり、あるいは単調で退屈だったりしたら、こんなに読まれなかったんじゃないかと。歴史を変えた一冊といわれる意味がよくわかります。これが世に出なかったら、環境汚染の危険性を人々が理解するまでに、きっともっと時間がかかったでしょう。
資源に乏しい日本に住んでいると、エコ、ということは、資源の節約というイメージが占めるところが大きいけれど、本当はそれだけじゃないですね。わたしたちが生活の中で汚す水が、浄化されてきれいになるまでに、どれだけの時間とコストがかかっているのか、ということ。
ふだん何の気なしに使っている洗剤や除草剤、殺虫剤、土に沁み、下水に流れていくそれらが、回りまわってわたしたちにどう帰ってくるのか。
ついつい便利さに負けて、なにかと洗剤や除草剤に頼ってしまうし、それらをすべて排除して生活するのは、すごく大変なことです。そういうものを社会から駆逐する、というのは現実的ではないけれど、でも、いつも意識は持っていたほうがいい。自戒を込めて。
途方もない過酷な場所を生き延びた男の、暗い情熱に満ちた復讐譚……から話は始まるのだけれど、終盤、苦しみの果てにフォイルが獲得した人間性に、激しく心を揺さぶられました。少々厚いのと、序盤がややとっつきにくいのが難点かな。冒頭の引用は、すごく引き込みが強いんだけど、そこから話が動き出すまでの何十ページかが、ちょっとわかりにくかったかなという印象。
で、その冒頭の引用が、たまらない美文。ウィリアム・ブレイクの詩の独自訳です。ちょっと引用。
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虎よ! 虎よ! ぬばたまの
夜の森に燦爛と燃え
そもいかなる不死の手 はたは眼の
作りしや、汝がゆゆしき均整を
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読んでてくらっくらきました。脳ミソに刻み込まれる感じ。これは訳の勝利という気がする。小説の面白さを問うときに、文章が美しいかどうかは最優先事項ではないと思っているけれど、それでもやっぱり、美文に出会うとすごくときめくなあ。
読むにつれて物語に引き込まれていく力強さがありました。印象深い一冊。
で、その冒頭の引用が、たまらない美文。ウィリアム・ブレイクの詩の独自訳です。ちょっと引用。
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虎よ! 虎よ! ぬばたまの
夜の森に燦爛と燃え
そもいかなる不死の手 はたは眼の
作りしや、汝がゆゆしき均整を
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読んでてくらっくらきました。脳ミソに刻み込まれる感じ。これは訳の勝利という気がする。小説の面白さを問うときに、文章が美しいかどうかは最優先事項ではないと思っているけれど、それでもやっぱり、美文に出会うとすごくときめくなあ。
読むにつれて物語に引き込まれていく力強さがありました。印象深い一冊。
プロフィール
HN:
朝陽 遥(アサヒ ハルカ)
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
朝陽遥(アサヒ ハルカ)またはHAL.Aの名義であちこち出没します。お気軽にかまってやっていただけるとうれしいです。詳しくはこちらから
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