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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
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 読了。これはいい……! 心の中の「墓まで持っていきたい本リスト」に追加。
 掌編がたくさん集まって、全体としてはゆるやかにひとつのストーリーが流れる形。最初の数ページでいきなり惚れこんでしまいました。そして最後まで大満足。最後の『葡萄』のラスト四行がまたすごく良かった……

 百年と少し前の、日本のどこかにある地方が舞台。もの書きの主人公・綿貫が、亡くなった友人の住んでいた家に、持ち主に頼まれて住み着くようになったところから話が始まります。
 雨が降ると、最近逝ってしまったはずのその友人が掛け軸を通ってふらりと姿を現す。庭のさるすべりの木に懸想(!)されてしまって「どうしたらいいのだ」といいながらも、ときどき庭で本を読んでやる。河童が庭に迷い込む。狸に化かされる。床を突き抜けて部屋の真ん中に生えてきてしまったカラスウリを、伐らずにそっとしておく。

 主人公の人柄がなんとも言えずいいんですよね。清廉潔白だとか器が大きいだとかいうことではなくて、小人なので、見栄を張ったり、失敗したり、慌てたり、迷ったりと忙しいのだけれども、でも人がいい。
 掛け軸から出てくる友人の方もかなり魅力的です。他にもゴロー(犬)とか、ちょっとだけ出てくる鬼や河童といった脇役たちもそれぞれに味があって。

 こうして書いていると、やはり自分は読むときにストーリーや設定よりもまず人物、キャラクターの方に目を向けて読んでいるんだなあと、ふと思いつつ。

 実はすでに同じ作者さんの他の作品を衝動買いしそうになってるんですが(Amazonって怖いですね! 衝動買いしようとしたらあっという間すぎて)、実はもしかしたら引越しが近いかもしれなくて、そろそろ本を買い控えようと思っていた矢先で。自分の中から『これだけはまったんなら、他の本も買うって言ったって一冊二冊じゃきかないんだから、引越しが決まってからにするべき』という声がするのですが、さて……堪えきれる自信がない。うう。

 読んだきっかけは、お様のブログの紹介と、後押ししてくださった山田さん様のコメントでした。お二方に大感謝です。

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 読了。
 小説じゃなくて、沖縄の食文化を紹介した本。これは薄い文庫本です。しかも、半分は写真。さらに後ろの方には、紹介されたお店や会社の連絡先が書いてあるので、分量としては少ないです。
 かつて、沖縄と本土を結ぶ飛行機の機内においてあった雑誌で連載されていたとのこと。
 沖縄独特の豆腐や味噌、泡盛や地ビール、果物、芋、魚や肉の食べ方、菓子……。紹介してあるのは料理だけでなくて、作る過程だったり食べ方だったり年中行事だったり、いろいろです。
 沖縄では豚を食べるのに、一匹丸ごと余すことなく、骨から内臓から血から、すべて加工して食材にするのだとか。肉屋さんでは客も目利きが厳しいそう。読んでいていちいち「へえー」という感じで、楽しかったです。

 しかし、こういうのを読むと実際に食べたくなって困ります。沖縄かあ……行ったこと無いんですよね。いつか行きたい。最低でも二泊以上で。

 池澤さんは、沖縄が気に入って、数年住んでおられたそうです。というか、ひとつの所に長く定住できないそう。しばらくたつと移住されるとか。北海道生まれ→ギリシャへ移住→東京→沖縄→いまはフランス、だったかな。さらに旅行も頻繁にしておられる方なので、異国情緒あふれる作品が多いです。視野も広く、知識の分野が多岐にわたっておられて、エッセイが興味深いです。

 普段は安定志向で出不精でものぐさな私ですが、そういう人生もいいなあと、ちょっと憧れです。まあお金も無いし、だいたい英語がまったく駄目なんですが。

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 読了。
 一年位前に、「よく名前を見かけるな。一冊くらい読んでおこう」と思い立ち、本屋さんに平積みしてあったのをひょいと購入。読んだら、わけがわからない。単に作風が抽象的だというだけでなく、やけに中途半端な作品が続く。読んでいてつまらないということはないんだけど、なんとも中途半端なところでぶつりと話が終わって、物語の途中で放り出されるような感じ。
 一作だけならともかく、あまりにそういう話が続いたので、これは何かがおかしいと思ってネットで調べると、どうやら作品の半分ほどが、何かすでに出版されている別の作品の予告編だったり、番外編だったりするそう。
 騙された! と思って文庫本の後ろを見ると、「番外編」「前日譚」等の文字がしっかり躍っていたので、これはあきらかに自分の見落とし。がっくり。

 ということで、途中で放棄して他の本から読んでいました。「ドミノ」「六番目の小夜子」「蒲公英草子」「光の帝国」「まひるの月を追いかけて」と数冊を読み、作品によって面白いのと苦手なのが見事にばらばらであることに気付きまして、次にこの方の本を買うときは多少下調べをしてからにしようと決意。

 今回、部屋を片付けていたら最初に買ったこの本が出てきて、「せっかく買ったのに読みきらずに処分するのもなあ」と思い直し、このたびあらためて読み直しました。が……それぞれ面白い部分もあり、美しい描写もあり、だけどやっぱり中途半端感が胸から消えず。十篇のうち、私が単独でじゅうぶん面白かったと感じたのは四篇かな。
 番外編では書き下ろし作品も、けして悪くは無いのだけれど、どうもストーリーがよく分からなかったりしました。パラレルワールドだったり夢だったり時間が錯綜していたり、そういう構成のホラーとファンタジーの中間くらいのものが何本か混じっていて、これは単純に私の苦手分野なんです。その類のものでも、読み終わったときに事実関係がある程度すっきり理解できるものは好きなんですが、最後まで煙に撒かれたような終わり方のものは苦手。アタマが悪いんで……。

 ということで、「恩田さんの本はけっこう読んでる」というファンの方や、そういうSF風な幻想の匂いがお好きな方にはいいんじゃないでしょうか。
 と、私は思ったんですけど、いま解説を読んだら、解説者の方は「予告編」として評価してるみたいです。最初から試し読み・体験版のつもりで手に取るにはいいのかも……?

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 『パレオマニア‐大英博物館からの13の旅』を読了。
 厚めの本ですが、これはちょっとずつ日々の楽しみに読んでました。普段はせっかちで、読み始めると一気読みする私ですが、これはゆっくり楽しみました。というのが、二十八章の短編に分かれていて、日に一、二章ずつ読むとちょうどいい感じなんですよね。

 内容は、小説の形式をとってはいるけれど、八割がたエッセイです。著者いわく「旅をしたのは彼か我か、今でも確定しきれない気がする。そういうことになったのは、この一連の旅が現実と非現実の境界線上にこそ成り立つものだったから」だそう。
 大英博物館を見て回り、強い印象をもって訴えかけてきた古い美術品の、出土された地方を訪ね、それを作った人々の生き方に想像をめぐらせ、それを生んだ風土を思い、文化の源流に思いを馳せる。そういう作品です。ギリシャ、エジプト、インド、イラン、カナダ、イギリス、カンボディア、ヴェトナム、イラク、トルコ、韓国、メキシコ、オーストラリアで13か国。

 純粋に「小説」として評価するなら、私の感覚では微妙。ストーリーにぐいぐい引き込まれる、という感じではないんですね。どちらかというと紀行文のつもりで満喫しました。
 単純な美術品への感慨や批評に終わらない、広い視点からの考察。
 いつか本格異世界ファンタジーを書きたいという夢のある自分には、大変勉強になりました。

 今日、ちょっとしんどい仕事が重なってばたばたして、帰り際にはMP0な感じだったんですけど、本を読んでたら、いつの間にか元気でてきました。本好きで良かったなあ。

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 小説「彼の予感/彼女の追憶」更新。
 二人称が書きたくて書き始めたはずだったんですけど、二人称ってこれであってるのかな……。なんか間違っているような気がしなくも無いです。ま、細かいことはいいかな……。

 本題。『薬指の標本』読了。
 自重は……もういいや。読みたいときは好きに読もう……。

 人々の思い出の品を標本にして保管する「標本室」で働く「わたし」。標本技術士の弟子丸氏は、彼女にも何かを標本にすることを薦めたが、彼女自身には、これまで標本にして封じ込めてしまいたいような、本当に悲しい思い出などなかった。だが……。

 表題作「薬指の標本」のほか、「六角形の小部屋」の中篇二本が載っています。百八十ページくらいの薄い文庫本です。
 現実と幻想の間の肌触りがします。どちらも不思議な話なんですけど、描写が濃やかで、人間の息遣いや手触りのようなものがあるので、ただの不思議な話で終わっていない。
 即物的な私は、どっちかというとはっきりした読み筋があって明確な結末の待っている話の方が好きです。こういう終わり方の本だったら、大抵は「すっきりしないなあ」と思ってしまうのですが、これは夢中になって読んでしまいました。表題作はちょっと怖い話なんですけれど、語り口が優しいせいか、不思議と後味が悪くなかったです。
 
 この方の本を読むのはまだ二作目です。初めて読んだのは『博士の愛した数式』。しばらく前に映画になったので、有名ですね。私は映画は観ていませんが、少なくとも原作はすごくよかったです。

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朝陽 遥(アサヒ ハルカ)
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朝陽遥(アサヒ ハルカ)またはHAL.Aの名義であちこち出没します。お気軽にかまってやっていただけるとうれしいです。詳しくはこちらから
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