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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
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 読了。文庫版が出ていたのを知って買ってみました。

 生まれつき他人の嘘を見抜く能力に長けた男、人間ぎらいの凄腕のスリ、自分がいかにおしゃべりかということで二時間は演説をぶてる演説好きの喫茶店店主、正確な体内時計を持っていて一秒刻みで時間を計ることのできる女。スマートに金だけを奪って速やかに逃走することを主義としている連続銀行強盗犯の四人組が、思わぬ“偶然”から別の強盗事件に巻き込まれて……。

 面白かった……!!
 軽妙な会話、息の合ったチームのやりとり、伊坂さんならではのユニークなキャラクターと、絶妙の伏線群、意表をつく展開。四人組が、べたべたし過ぎないのに息があってて、そこもまた読んでいて楽しいです。
 夢中で読みました。伊坂さんの本の中で一、二位を争うくらい好きかもです。雰囲気は『チルドレン』あたりに近いかな?

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 読了。しゃばけシリーズ最新刊。

 前作まではこのブログをはじめる前に読んでいたので、今回が初レビューになります。だいたい短編集、ときどき長編のしゃばけシリーズですが、今回は連作短編集。

 シリーズのあらすじから。
 江戸の町でも屈指の大店・長崎屋の若だんな・一太郎は、とにかく体が弱く、しょっちゅう病で寝込んでは死にかけている。
 一太郎の祖母は、実は人間ではなく齢千年を超える大妖で、その血を引く一太郎は、何ができるわけでもないけれど、妖怪の姿を見ることができる。祖母が体の弱い一太郎を心配して、人間に化けた妖の白沢、犬神のふたりを兄やとしてつけてくれていて……
 ファンタジーと見せかけて、時代モノ兼推理モノ。ほのぼのしていていいお話です。妖怪たちがとても愛嬌があって可愛らしく、読みやすくて面白い、人気のあるシリーズ。

 今作では、若だんなの目がとつぜん見えなくなったことから、原因を調べるべく兄やたちが奔走します。どうやら病ではなく、過去に思わぬことから目の神様に関わってしまったのが原因と分かり……。

 このシリーズ、感動の超大作! みたいなのではないんですけども、じんわりと好きです。ほのぼのした展開とお人よし揃いの可愛らしいキャラクターに癒される……! 妖怪たちも、ちょっと間抜けで可愛いのです。
 時代物があまり得意でない方も読みやすいと思います。読みやすくて、わりとさらさら読めるので、ちょっと気楽に読書したいときにおすすめです。

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 読了。

 いやあ、『草枕』と同じく、読むのに手間取りました。友だちに思わず「昔『坊ちゃん』を読んだときは、こんなに読みづらくなかったような気がするんだけど」と零したら、「漱石は文章が上手いから、色んな文体を使い分けてたんだよ」と説教されました。なるほど……!
 美文だけども装飾過多で読みづらい、読みづらいと思って読んでいたら、当時は「小説は美文じゃないと」という風潮だったんですね。話し言葉に近い平易な文章の小説にうつっていく、ちょうど過渡期だったそうです。

 さておき、あらすじ。
 哲学者を志す甲野さんは、父を戦争で亡くし、その遺産の相続者となった。けれど、なさぬ仲の母親は、甲野さんを嫌い、自分にとっては実の娘である藤尾に、婿をとらせて跡を継がせたい。甲野さんは財産に興味がないから、妹に家督を譲るのに異論はない。けれど、母親にしてみては、堂々と甲野さんを追っ払っては、血の繋がらぬ子だけに外聞が悪い。そこでどうにか外聞に傷がつかないよう、うまいこと面目を保って、「甲野さんに問題があってどうにもならないから、仕方なく婿をとったんだ」という形にしたい。
 母親はあれこれと水面下で策を弄しようとする。高慢な藤尾ははなから兄を馬鹿にしていて、しかも美しさを鼻にかけて驕っており、自分にいいなりの男を弄ぶことに生きがいを見出している。
 甲野さんの友だちで親戚でもある宗近君は、藤尾を嫁にもらうつもりでいた。けれど彼は手ごわく、人のいいなりになるようなタイプではない。だから、藤尾としてはもっと自分の言うがままになる別の男・小野と結婚したいと思っている。
 小野は、幼いころに貧しさからひどく辛い思いをして育っていて、甲野さんが何気ない顔で持っている財産が、うらやましくてしかたがない。なんとかしてその財産を譲り受けることが出来れば、余裕のある暮らしをして、詩作に没頭できる。そうして出世もしたいし、藤尾にも気がある。だから、この結婚はとても都合がいい。けれど、小野には実は、約束のある女性がいて……

 ストーリーの核心部分に至ったら、すごく面白かったです。けれども、そこに至るまでが、無教養の私には長かった……。
 しかし、こういう、私のような根気のないひ弱な読み手の感想を踏み台にして、現代小説のノウハウが出来上がってきたんだなあと、そんなことをふと思ったり。読みやすく、わかりやすく、面白く。それがいいことか悪いことかは分かりませんが、読書の敷居が下がるのは、とりあえずいいことじゃないかな。

 さておき、ラストにいたる少し前の部分からがすごくよかったです。
 人間は真面目になる機会が重なれば重なるほど出来上がってくる。人間らしい気持がしてくる……
 それまでの陰鬱な展開、絡まりあった人間関係の縺れを吹き飛ばすような、パワーのある宗近君が、すごく男前でよかった。しかし、その結末に待っていたものは……。ラストはちょっと急な展開すぎて、目を白黒させてしまったけれども、強烈です。

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 読了。

 すぐれたプロ野球選手になる運命のもとに生まれついた主人公。生まれながらに持った飛びぬけた才能、幼いころから続けられてきた果てしない練習、「王になるべくして生まれ、育てられてきた」天才は、ひたすらに努力を重ね、誰にも手の届かない領域へ到達し、やがて――。

 なんというか、良くも悪くも伊坂ワールド全開な感じがします。すっごくシュールな世界、現実と奇妙な世界との融合が、ハードボイルドな文体で描ききられている。リアリティの薄皮を剥ぐと、その一枚下には奇妙な世界が広がっています。
 個人的には、すごく楽しく読みました。好きな人は好きだろうし、よく訓練された伊坂ファンであれば楽しめると思うけれども、万人向けではないんじゃないかなあ。

「伊坂作品を初めて読む人でも楽しめる作品は?」と聞かれたら、私は『死神の精度』『チルドレン』『重力ピエロ』あたりを挙げます。『アヒルと鴨のコインロッカー』『ゴールデンスランバー』もいいかなあ。
 逆に、「人を選ぶ作品は?」ということで挙げるなら、本作、『オーデュポンの祈り』、それから『グラスホッパー』あたり。どれもすごく印象深くて、独特の味わいがあるんだけれども、人を選ぶ感じ。

 そういえば、今回は少し、『グラスホッパー』と構成が似ているのかな。ストーリーやテーマはぜんぜん違うと思うんですけど。
 不思議な出来事がたくさん起こるんだけど、それは幻想的なファンタジーではなくて、どこか不気味さの混じる奇妙なもの。そこに、泥臭く生々しい現実感が同居している。作中で突然出てくる不条理に対して、合理的な説明がありそうなのに、ない。「この部分は語り手が見ている幻覚かな?」と思いきや、その奇妙なできごとを他の登場人物も共有している。どこからどこまでが現実なのか、境界があるようでない。読みながら幻惑されて、不思議な読後感。

『あるキング』は、連載から単行本化までに大幅に修正されたみたいですね。連載のときはどんな話だったのかなあ。

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 読了。

 長編本格ファンタジー。
 王国には、武力を持たずその神聖な血をもって民を従える真王(ヨジェ)と、そのかわりに闘蛇(とうだ)という獰猛な獣を従えて外敵から国境を守る大公(アルハン)の、ふたつの勢力があった。
 闘蛇は、<音無し笛>を吹くと硬直して動けなくなってしまう。その性質を利用され、戦に使われてはいるものの、けして人には馴れることがない。
 飼育される闘蛇は、野生のものよりも大きく鋭い牙を持つが、野生の闘蛇と違い、どういうわけか繁殖することがない。真王に捧げられる王獣と呼ばれる獣も、闘蛇と同様にけして人には馴れず、人のもとで育てても、なぜか野生のものとは違う性質を持ってしまう。
 人並みはずれた観察力と発想を持つ少女エリンは、傷ついた王獣の子どもを必死で世話するうちに、けして人には馴れないと言われる王獣と、意思の疎通を図る方法を見つけだしてしまう。そのことがやがて、彼女を政治に、王国の命運を左右する大きな戦いに巻き込んでいく。エリンはただ、王獣の言葉を聞き、心を通い合わせたかっただけなのに――。

 すっごく面白かった! 同じ作者さんの守り人シリーズも好きなんですけど、こっちのほうが断然よかった。アニメ版を見た友だちから勧められて手にとってみたんだけれども、危うくこれを読み逃すところだった。
 ときどき「うわあ、危ない、うっかりこれを読まずに死ぬところだった」と思う本に出会うことがあるけれど、これもそういう一作。

 圧倒的なリアリティと壮大な世界観、そして人物造型の厚み。小野不由美さんの『十二国記』シリーズとあわせて、ファンタジー好きなら絶対に読んでおいたほうがいい小説。
 いちおう二巻までで完結だけれども、最近、続編として?・?が出たらしいです。そのうち絶対に読むつもりなんだけれども、財政的には文庫になるまで待ちたい。ガマンできるのか、私。

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朝陽 遥(アサヒ ハルカ)
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朝陽遥(アサヒ ハルカ)またはHAL.Aの名義であちこち出没します。お気軽にかまってやっていただけるとうれしいです。詳しくはこちらから
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