小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
読了。
ああ、なんていうか、激情だなあ。このテンションは現代日本の若者にはなかなか出せないんだぜ! ……なんて余計なことをぼやきつつも、楽しみました。逃げてないで、たまには古典も読まないとなあ。
しかし、良かったのは良かったんだけど、目当ての詩の訳がいまいち……
そもそも、平素は詩を嗜んできていないわたしが、なんでいきなりブラウニングかというと、むかし読んだエッセイや好きなマンガなどで、何度か引用されていた詩がすごくインパクトに残っていたからなんですけど。『春の朝』という有名な詩。
わたしが知っていたほうは、上田敏さんという方の、百年以上前の訳だそうで、引用すると、
----------------------------------------
時は春、
日は朝、
朝は七時、
片岡に露みちて、
揚雲雀なのりいで、
蝸牛枝に這ひ、
神、そらに知ろしめす。
すべて世は事も無し。
----------------------------------------
この短詩がすごく好きで、(あとマンガの『少年魔法士』で、作者のなるしまゆりさんがまた別に、すごく素敵な訳をされてるのを見かけたりして)、それで思い立って買ったんですけど、新訳では、
----------------------------------------
時は春
春の朝です。
朝は七時、
丘部には真珠の露が光っています。
雲雀は空を舞い、
かたつむりは棘を這う。
神様は天にいます――
天下泰平、天下泰平!
----------------------------------------
や、まあ、新訳だって、ちゃんと美しい情景は伝わってくるんですけどね! けど、天下泰平って……!
多少ふるくさくて読みづらくてもいいから、そこは美文を残しておいて欲しかったな、としみじみ思ったのでした。
あとせっかく対訳なんだけども、原文を見てもさっぱり分からない、英語力ゼロのワタシ。
そういえば、テンション高いのは、訳の人が大仰に訳したのかなあと思ったら、原文にも「!」がいっぱい使ってありました。
そして衝動的に上田敏訳詩集『海潮音』を買ってきた私。いや、積み本が減ってないからね? 自制……
まだ全部読んでないんですけど、『海潮音』の方の詩を読むと、ぜんぜんイメージが違います。やっぱり訳って大事なんだなあ。
ああ、なんていうか、激情だなあ。このテンションは現代日本の若者にはなかなか出せないんだぜ! ……なんて余計なことをぼやきつつも、楽しみました。逃げてないで、たまには古典も読まないとなあ。
しかし、良かったのは良かったんだけど、目当ての詩の訳がいまいち……
そもそも、平素は詩を嗜んできていないわたしが、なんでいきなりブラウニングかというと、むかし読んだエッセイや好きなマンガなどで、何度か引用されていた詩がすごくインパクトに残っていたからなんですけど。『春の朝』という有名な詩。
わたしが知っていたほうは、上田敏さんという方の、百年以上前の訳だそうで、引用すると、
----------------------------------------
時は春、
日は朝、
朝は七時、
片岡に露みちて、
揚雲雀なのりいで、
蝸牛枝に這ひ、
神、そらに知ろしめす。
すべて世は事も無し。
----------------------------------------
この短詩がすごく好きで、(あとマンガの『少年魔法士』で、作者のなるしまゆりさんがまた別に、すごく素敵な訳をされてるのを見かけたりして)、それで思い立って買ったんですけど、新訳では、
----------------------------------------
時は春
春の朝です。
朝は七時、
丘部には真珠の露が光っています。
雲雀は空を舞い、
かたつむりは棘を這う。
神様は天にいます――
天下泰平、天下泰平!
----------------------------------------
や、まあ、新訳だって、ちゃんと美しい情景は伝わってくるんですけどね! けど、天下泰平って……!
多少ふるくさくて読みづらくてもいいから、そこは美文を残しておいて欲しかったな、としみじみ思ったのでした。
あとせっかく対訳なんだけども、原文を見てもさっぱり分からない、英語力ゼロのワタシ。
そういえば、テンション高いのは、訳の人が大仰に訳したのかなあと思ったら、原文にも「!」がいっぱい使ってありました。
そして衝動的に上田敏訳詩集『海潮音』を買ってきた私。いや、積み本が減ってないからね? 自制……
まだ全部読んでないんですけど、『海潮音』の方の詩を読むと、ぜんぜんイメージが違います。やっぱり訳って大事なんだなあ。
PR
読了。
探偵役である主人公は、本業は占星術師の青年。
小説の舞台より四十年も昔、昭和十一年の話。ある芸術家が、自分の娘たちを題材に、その身体の一部を切り離し、繋ぎ合わせて完璧な女性を作り上げようと、恐ろしい殺人を計画した。けれど芸術家は何ものかに殺され、ついで、娘たちも次々に殺されていく。
報道でもおおきく取り上げられ、全国の素人探偵たちを騒がせた挙げ句とうとうお蔵入りしていたその事件の真相を、今になって、明かして欲しいという女性が、主人公の下に、ある関係者の手記を持ち込んで……。
本格推理ものへの苦手意識から、逃げ続けていた島田荘司さん。
……や、昔からほんとに本格が苦手なんです。資質がないんです。記憶力と情報の整理能力と根気がないのがいけないんですが。
ファンの方にあまりに申し訳ないので名前は伏せますが、すごーく有名な某本格推理小説を、最初から最後まで一度も面白いと感じられないまま読み終えたほどのダメぶりです。
……そう正直に言ったら、母にも白い目で見られました。に、人間には向き不向きがあると思うんだ。
うちの母は本格が好きなんです。あとホラーも好きなんだ。娘が怖くて読めないようなのを、ときどき嬉々として読んでます。どうしてその嗜好をうまいこと娘に遺伝させてくれなかったの。(無茶いうな)
でも前に、片桐さまがブログで島田荘司ファンだと書いておられたのと(※ごめんなさい無断でお名前を出しました……ご迷惑だったら消します!)、それを拝見したほぼ直後に、偶然リア友から強く勧められたのとで、「これは苦手とか言ってないで、ちゃんと読もう」と一念発起して買いまして。……で、しばらくそのまま苦手意識から積んでました。私ってやつは……
さておき。ページを開くと、冒頭からあらまあ、人名や記号は大量にどかっと出てくる、複雑な事件が提示される、見取り図や系図が出てくる、小道具に状況にアリバイがどんどん説明されて、探偵役とワトソン役が推理を始める。もう「ぎゃあああ!」ですよ。汗たらーりです。
御手洗氏や石岡氏が推理を提示するたびに「え、あ、そう……なのかな? そういうもの?」「……っていうか、それ誰だったっけ」となる、まるでついていけてない私。頭が追いつかないんです。「お、覚えないとだめかな」「こ……これ、理解しないと先に進めないのかな」みたいなテンション。
でも、よくないんです、そういうのって。いや、推理せずに推理小説を読むことがじゃなくて、へんな苦手意識から、わざわざ壁を築いて読まないジャンルをつくって、傑作を読みのがすのが、ホントに勿体無い。そういうことを、最近骨身に沁みて感じているので、これは最後まで意地でも読もうと思って。
と、ここまでネガティブな感想をつらつら書いたら、さも楽しめなかったんだろうなと思われるでしょうか。
面白かったです。
面白かったです!!(大事なことなので二回言いました)
正直、最初のほうは本気でつらくて、一度はそっと積み本の山に戻しかけたんですが、本の真ん中より少し手前くらいかな、実際に場面が動き始めてからは、いやあ、面白かった! 謎だけじゃなくて、色々と楽しめました。登場人物にも独特の魅力があるし、京都の風情もいいし、人間(事件に関わった人物の説明じゃなくて、実際に動いて喋っている)が出てきたら、一気に面白くなりまして、後半は夢中で読みました。
最後、動機が切ない……!
やっぱり食わず嫌いはよくないです。また読もうっと。
大量の固有名詞と闘う気力が充電できたら、『斜め屋敷の犯罪』に進みたいと思います。(←すでに買って机に積んでいる)
探偵役である主人公は、本業は占星術師の青年。
小説の舞台より四十年も昔、昭和十一年の話。ある芸術家が、自分の娘たちを題材に、その身体の一部を切り離し、繋ぎ合わせて完璧な女性を作り上げようと、恐ろしい殺人を計画した。けれど芸術家は何ものかに殺され、ついで、娘たちも次々に殺されていく。
報道でもおおきく取り上げられ、全国の素人探偵たちを騒がせた挙げ句とうとうお蔵入りしていたその事件の真相を、今になって、明かして欲しいという女性が、主人公の下に、ある関係者の手記を持ち込んで……。
本格推理ものへの苦手意識から、逃げ続けていた島田荘司さん。
……や、昔からほんとに本格が苦手なんです。資質がないんです。記憶力と情報の整理能力と根気がないのがいけないんですが。
ファンの方にあまりに申し訳ないので名前は伏せますが、すごーく有名な某本格推理小説を、最初から最後まで一度も面白いと感じられないまま読み終えたほどのダメぶりです。
……そう正直に言ったら、母にも白い目で見られました。に、人間には向き不向きがあると思うんだ。
うちの母は本格が好きなんです。あとホラーも好きなんだ。娘が怖くて読めないようなのを、ときどき嬉々として読んでます。どうしてその嗜好をうまいこと娘に遺伝させてくれなかったの。(無茶いうな)
でも前に、片桐さまがブログで島田荘司ファンだと書いておられたのと(※ごめんなさい無断でお名前を出しました……ご迷惑だったら消します!)、それを拝見したほぼ直後に、偶然リア友から強く勧められたのとで、「これは苦手とか言ってないで、ちゃんと読もう」と一念発起して買いまして。……で、しばらくそのまま苦手意識から積んでました。私ってやつは……
さておき。ページを開くと、冒頭からあらまあ、人名や記号は大量にどかっと出てくる、複雑な事件が提示される、見取り図や系図が出てくる、小道具に状況にアリバイがどんどん説明されて、探偵役とワトソン役が推理を始める。もう「ぎゃあああ!」ですよ。汗たらーりです。
御手洗氏や石岡氏が推理を提示するたびに「え、あ、そう……なのかな? そういうもの?」「……っていうか、それ誰だったっけ」となる、まるでついていけてない私。頭が追いつかないんです。「お、覚えないとだめかな」「こ……これ、理解しないと先に進めないのかな」みたいなテンション。
でも、よくないんです、そういうのって。いや、推理せずに推理小説を読むことがじゃなくて、へんな苦手意識から、わざわざ壁を築いて読まないジャンルをつくって、傑作を読みのがすのが、ホントに勿体無い。そういうことを、最近骨身に沁みて感じているので、これは最後まで意地でも読もうと思って。
と、ここまでネガティブな感想をつらつら書いたら、さも楽しめなかったんだろうなと思われるでしょうか。
面白かったです。
面白かったです!!(大事なことなので二回言いました)
正直、最初のほうは本気でつらくて、一度はそっと積み本の山に戻しかけたんですが、本の真ん中より少し手前くらいかな、実際に場面が動き始めてからは、いやあ、面白かった! 謎だけじゃなくて、色々と楽しめました。登場人物にも独特の魅力があるし、京都の風情もいいし、人間(事件に関わった人物の説明じゃなくて、実際に動いて喋っている)が出てきたら、一気に面白くなりまして、後半は夢中で読みました。
最後、動機が切ない……!
やっぱり食わず嫌いはよくないです。また読もうっと。
大量の固有名詞と闘う気力が充電できたら、『斜め屋敷の犯罪』に進みたいと思います。(←すでに買って机に積んでいる)
読了。詩集です。
わ、力強いなあ……というのが第一印象。
調子は静かなんだけど、訴えてくる力が強いです。かと思えば、ときどきユーモアも入っていたりして、それがお茶目な感じ。
こう在りたい、というような信念を訴えている強い詩もあれば、濃やかな情景をうたったものもあって、濃密な一冊でした。
その時代を生きた、っていう厚みが、短文の中にもしっかりのってて、生き方が出るんだなあと、当たり前かもしれないんですが、そんなことを思いました。詩人ってすごい。
本の感想からは逸れますが。もし自分に、ここまで削った言葉で何かを表現できる能力があれば、何万字も使う小説なんて、多分、書かないんだけどなあ……なんて、よけいなことまで考えたり。
まあ、でも、シロート小説書きには小説書きなりの、やれることが何かあるだろうから。……たぶん。
わ、力強いなあ……というのが第一印象。
調子は静かなんだけど、訴えてくる力が強いです。かと思えば、ときどきユーモアも入っていたりして、それがお茶目な感じ。
こう在りたい、というような信念を訴えている強い詩もあれば、濃やかな情景をうたったものもあって、濃密な一冊でした。
その時代を生きた、っていう厚みが、短文の中にもしっかりのってて、生き方が出るんだなあと、当たり前かもしれないんですが、そんなことを思いました。詩人ってすごい。
本の感想からは逸れますが。もし自分に、ここまで削った言葉で何かを表現できる能力があれば、何万字も使う小説なんて、多分、書かないんだけどなあ……なんて、よけいなことまで考えたり。
まあ、でも、シロート小説書きには小説書きなりの、やれることが何かあるだろうから。……たぶん。
読了。というか、高校のころ一度読んでいました。再読。
火山活動についての研究者である主人公の頼子は、日々忙しく研究にいそしむ一方で、仕事と日常の間の折り合いのつけ方に、心の底のほうで疑問を抱いている。
ある日、弟の友人である広告マンが、頼子のもとに、変わった話をもってくる。電話を利用したサービスを企画しているのだという。
その企画の名称は『シェヘラザード』。色々な分野に関する短いエピソードを大量に集めて、利用者がその番号にダイヤルすると、その中からランダムにひとつのストーリーが選ばれて、読み上げられる。
その話のひとつひとつには、意味はありそうであまりない。何が出てくるか分からないことが、価値なのだという。ふとした日常の隙間にダイヤルしてみて、飛び出してきた話が好みに合うかどうかは分からない。人は意味や意義や目的や効率に飽きていると、広告マンは言う……
うーん、一応書いてはみたけれど、この小説に関しては、あらすじを書いてもあまり意味がないのかな、という気もしています。
ストーリーがどうというよりも、そこに載せられたテーマ、思想、生き方や概念、そういうものへの共感や驚きが、この小説のポイントなのかなと思います。
池澤さんの本の魅力のひとつに、その豊富な幅ひろい知識と、独特の澄んだ視点があります。ものごとの見方というか……
……ああ、なんと言ったら伝わるのかな。たとえば鳥や虫や草木、夜空に瞬くはるか遠くの星、火星の赤い砂漠、上空を循環する大気の流れ、火山の内部で起きていることや、熱帯の森に埋もれた古文明の遺跡、木々の闇にひそむもの。
その語られる分野は広く、たとえば自然科学、地球の歴史や天文、気候や風土、文化や芸術、民俗や信仰、戦争や歴史――この世界のありよう、そこに生きるものたちについて、ひどく広いさまざまな視点から、それも抽象的な概念ではなく、肌で感じるものとして、語られている。世界に向き合う姿勢というのか……
うう、書けば書くほど、何か書きたいこととずれていくような気がする。
変な書評になってしまいました。
読む人によって好みは分かれるかもしれないのですが、すごく好きな一冊です。
火山活動についての研究者である主人公の頼子は、日々忙しく研究にいそしむ一方で、仕事と日常の間の折り合いのつけ方に、心の底のほうで疑問を抱いている。
ある日、弟の友人である広告マンが、頼子のもとに、変わった話をもってくる。電話を利用したサービスを企画しているのだという。
その企画の名称は『シェヘラザード』。色々な分野に関する短いエピソードを大量に集めて、利用者がその番号にダイヤルすると、その中からランダムにひとつのストーリーが選ばれて、読み上げられる。
その話のひとつひとつには、意味はありそうであまりない。何が出てくるか分からないことが、価値なのだという。ふとした日常の隙間にダイヤルしてみて、飛び出してきた話が好みに合うかどうかは分からない。人は意味や意義や目的や効率に飽きていると、広告マンは言う……
うーん、一応書いてはみたけれど、この小説に関しては、あらすじを書いてもあまり意味がないのかな、という気もしています。
ストーリーがどうというよりも、そこに載せられたテーマ、思想、生き方や概念、そういうものへの共感や驚きが、この小説のポイントなのかなと思います。
池澤さんの本の魅力のひとつに、その豊富な幅ひろい知識と、独特の澄んだ視点があります。ものごとの見方というか……
……ああ、なんと言ったら伝わるのかな。たとえば鳥や虫や草木、夜空に瞬くはるか遠くの星、火星の赤い砂漠、上空を循環する大気の流れ、火山の内部で起きていることや、熱帯の森に埋もれた古文明の遺跡、木々の闇にひそむもの。
その語られる分野は広く、たとえば自然科学、地球の歴史や天文、気候や風土、文化や芸術、民俗や信仰、戦争や歴史――この世界のありよう、そこに生きるものたちについて、ひどく広いさまざまな視点から、それも抽象的な概念ではなく、肌で感じるものとして、語られている。世界に向き合う姿勢というのか……
うう、書けば書くほど、何か書きたいこととずれていくような気がする。
変な書評になってしまいました。
読む人によって好みは分かれるかもしれないのですが、すごく好きな一冊です。
読了。
ある能力を活かして、探偵稼業をやっている主人公。彼の容貌には、常人と違う特徴があって、初めて会った人からは、たいてい驚きと偏見の目で見られてきた。
そんな彼がある日出会った相手は、一瞬驚きの表情を見せはしたものの、すぐに笑顔にかわった。それは、よく他者が見せる、偏見の目を向けてしまったことを恥じるような笑顔ではなかった。
この相手となら、分かり合えるかもしれない。そう思った主人公だったが……。
……あらすじが書き足りていない気持ちでいっぱいなんですけど、ネタバレしないために自粛しておきます。
コミカルなタッチと読みやすさ、ときおり混じるユーモア溢れた会話が、悲しく重いストーリーに緩急をつけています。読み手に負担のかからない謎の提示や、メリハリの利いた巧みな展開、それぞれひとクセあるユニークな登場人物たち。意表をつく巧みなミスリードへの誘導と、ていねいな伏線の解消。読みやすく楽しめる物語として、すごく秀逸でした。
少しもったいないと思ったのは、伏線や回収などがすごくしっかりしているのだけれども、よく出来すぎていて、つい書き手の存在を意識しながら読んでしまったこと。せっかくのいいストーリーなのに、うまく物語世界に入り込みきれなかった感じです。
もちろんその上で、じゅうぶん楽しく読んだのだけれども、「いまミステリ小説を読んでいるところ」というのを、常に頭の片隅で意識してしまって、作品世界そのものに完全に没入するには、もう一歩至らなかったというか。
おかげで、すごく深いテーマが根底に流れているのに、ついよく出来た構成のほうに気を取られすぎてしまって、堪能できなかったというか。読み手の資質の問題のような気もしますが……。
……それにしても、われながら、すごく贅沢なことを言っているなあ!
ふつう、小説を読むときって、できるだけ物語世界に没入したいですし、書き手の意図(の片鱗)に気付くと、意識が小説の外に逸れてしまって、もったいないような気もちになることがあります。ただ、ミステリに関しては別で、書き手の意図を予想しながら楽しむゲームとしての楽しみ方もあるわけで。
だから、そこに文句をつけるのはむしろ筋違いだと思うのですが、先に読んだ『ラットマン』の人間模様が、あんまり自然に胸に染み渡ってきたので、そっちの方向性をつい期待しすぎたのかも。
と、へんな注文をつけてみつつも、すごく面白かったです。また道尾さんの本は追々読んでいきたいなあ。……ホラー以外のやつから!(←怖いの苦手)
ある能力を活かして、探偵稼業をやっている主人公。彼の容貌には、常人と違う特徴があって、初めて会った人からは、たいてい驚きと偏見の目で見られてきた。
そんな彼がある日出会った相手は、一瞬驚きの表情を見せはしたものの、すぐに笑顔にかわった。それは、よく他者が見せる、偏見の目を向けてしまったことを恥じるような笑顔ではなかった。
この相手となら、分かり合えるかもしれない。そう思った主人公だったが……。
……あらすじが書き足りていない気持ちでいっぱいなんですけど、ネタバレしないために自粛しておきます。
コミカルなタッチと読みやすさ、ときおり混じるユーモア溢れた会話が、悲しく重いストーリーに緩急をつけています。読み手に負担のかからない謎の提示や、メリハリの利いた巧みな展開、それぞれひとクセあるユニークな登場人物たち。意表をつく巧みなミスリードへの誘導と、ていねいな伏線の解消。読みやすく楽しめる物語として、すごく秀逸でした。
少しもったいないと思ったのは、伏線や回収などがすごくしっかりしているのだけれども、よく出来すぎていて、つい書き手の存在を意識しながら読んでしまったこと。せっかくのいいストーリーなのに、うまく物語世界に入り込みきれなかった感じです。
もちろんその上で、じゅうぶん楽しく読んだのだけれども、「いまミステリ小説を読んでいるところ」というのを、常に頭の片隅で意識してしまって、作品世界そのものに完全に没入するには、もう一歩至らなかったというか。
おかげで、すごく深いテーマが根底に流れているのに、ついよく出来た構成のほうに気を取られすぎてしまって、堪能できなかったというか。読み手の資質の問題のような気もしますが……。
……それにしても、われながら、すごく贅沢なことを言っているなあ!
ふつう、小説を読むときって、できるだけ物語世界に没入したいですし、書き手の意図(の片鱗)に気付くと、意識が小説の外に逸れてしまって、もったいないような気もちになることがあります。ただ、ミステリに関しては別で、書き手の意図を予想しながら楽しむゲームとしての楽しみ方もあるわけで。
だから、そこに文句をつけるのはむしろ筋違いだと思うのですが、先に読んだ『ラットマン』の人間模様が、あんまり自然に胸に染み渡ってきたので、そっちの方向性をつい期待しすぎたのかも。
と、へんな注文をつけてみつつも、すごく面白かったです。また道尾さんの本は追々読んでいきたいなあ。……ホラー以外のやつから!(←怖いの苦手)
プロフィール
HN:
朝陽 遥(アサヒ ハルカ)
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
朝陽遥(アサヒ ハルカ)またはHAL.Aの名義であちこち出没します。お気軽にかまってやっていただけるとうれしいです。詳しくはこちらから
拍手コメントをいただいた場合は、お名前をださずにブログ記事内で返信させていただいております。もしも返信がご迷惑になる場合は、お手数ですがコメント中に一言書き添えていただければ幸いです。
拍手コメントをいただいた場合は、お名前をださずにブログ記事内で返信させていただいております。もしも返信がご迷惑になる場合は、お手数ですがコメント中に一言書き添えていただければ幸いです。
ブクログ
ラノベ以外の本棚
ラノベ棚
ラノベ棚
フォローお気軽にどうぞ。
リンク
アーカイブ
ブログ内検索
カウンター

