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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
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 読了。

 かつて姉が三人の若者たちに暴行の末に殺されたという過去をもつ主人公。
 探偵事務所に就職した主人公は、調査員として働くうちに、ある老夫婦からの依頼を受ける。かつて彼らの息子を殺した男が、刑期を終えて出所したあと、どういうふうに暮らしているか、調べてほしい――
 相手が出所後も身を持ち崩し、詐欺グループの幹部になっているという報告を受けた後、老夫婦は、主人公に向かってさらに依頼を重ねた。「あの男を赦すべきか、赦すべきでないのかが知りたいのです。赦すべきならばその材料を見つけてほしい」
 何をもって罪を赦せるというのか。主人公は迷いながらも、その男の素行調査を続ける……

 胸を焼き続ける、姉を殺した連中への憎しみ。あまりに軽すぎる量刑。何を持って更生したというのか、どうしたら赦されるというのか。彼らをどういう目にあわせれば、復讐したことになるのか。
 復讐の炎はいつまでも胸を焼き続け、けして消えることはない。犯人への憎悪をもてあまし、迷い揺れる主人公は、いくつかの依頼を通して、何組もの犯罪加害者と被害者の家族たちの姿を見ます。それぞれの苦しみがあり、それぞれの出す結論がある。彼らと関わりながら、主人公は、自分の姉を殺した男たちの所在を探り出し、復讐の方法を探して、そして――

 人はときに、間違っていると分かっているのに、過ちを犯さずにはいられない。復讐する相手の状況を探り出すために卑劣な方法をとり、関係のない相手を傷つけて。その果ての復讐が、何も生まないと知っていても。
 姉を殺した主犯の男を目の前にし、復讐のチャンスを得たとき、主人公が取った行動とは。
 濃密な一冊でした。
 一読の価値あり。オススメです。

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 読了。

 七年前、妻が自殺した。自分以外の男の子どもを身ごもったまま。
 妻を失って以来、それまでの事業からいっさい手を引き、めったに外出することもなく、ただひっそりと平板な毎日を生きていた主人公。そこに突然、昔の上司が奇妙な依頼を持ち込む。ある事情から五百万円のカネを処分してしまいたい、手を貸してくれ――
 その奇妙な依頼に付き合った夜から、突然、主人公の周りに奇妙な連中が顔を出し始める。亡くした妻によく似た顔をした女性、経済界の裏の顔らしい老人、暴力団関係者。周到な、あるいは直接的な方法で、彼らは心当たりのない主人公から、あるものの所在を探り出そうとする。それは、ゴッホの知られざる遺作、もう一枚の「ひまわり」だった。

 いや、よかったです。ハードボイルドものが好きな人には、かなりオススメ。リアリティがあるかというと、小説的すぎるというか格好良すぎるかもしれないけれども、そこがいいです。いかにも男の人が書く小説だなあという感じ。男の美学というか……

 主人公は幼稚だ、性格が子どもだと、色んな人から度々言われています。たしかにそういう部分があって、大人げはないし、社会性が欠如しているのだけれども、その分男気や、皮肉な性格と頭の良さに見合わないような純粋さがあって、すごく魅力的。
 悲哀と皮肉、一途な愛。『ダナエ』『テロリストのパラソル』のときも思ったけれど、小説世界にどっぷり漬かれる、濃密な空気があります。

 また追々、藤原さんの過去の作品も探してみようと思います。すでに亡くなった方なので、新刊が出ないのが残念でたまりません。

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 シリーズ全六巻読了。ということでようやく感想文。

 異世界ファンタジー。魔法使いや竜の存在する、アースシーという架空の世界を舞台に生きた伝説の大賢人・ゲドの生涯を綴った壮大な叙事詩。

 第一巻では、飛びぬけた魔法の才をもって生まれたゲドの少年時代、若さゆえに犯した過ちとその償い、自分自身の影との長い戦いについて描かれています。
 以後、巻を重ねながら、やがて大賢人となったゲドが人々を襲う竜と戦い、闇の世界に囚われた巫女を外に連れ出して平和の象徴である伝説の腕輪を取り戻し、長らく不在だった王を即位に導き、不死を求めた魔法使いによって崩された世界の均衡を取り戻し……と、さまざまな伝説を残していきます。
 第四巻からは、それまでの戦いによって力を失い魔法使いではなくなったゲドの、その後や、竜でもあり人でもある不可思議な宿命を背負った娘たちの話などが綴られていきます。

 アニメ映画にもなりましたね、あっちはどうも今ひとつだったけど。(つまらなかったということはないのだけれど、途中から理解を超える超展開だったような……)
「ファンタジー好きなら読まないと嘘だ、映画のことは忘れろ」と人に言われていたので、そのうち読もう読もうとずっと思っていたのだけれど、なんとなく先延ばしになっていました。馬鹿か私は。さっさと読んでおくべきでした。面白かった!
 歴史、人々の行動様式や言語、文化、宗教や神話、自然などの背景、魔法等々の設定がとても緻密で、そういうのが好きな人間にはかなりたまりません。

 ストーリーはというと、やや好みがわかれるかもです。神話的なものが好きならハマると思います。シリーズの後半になるにつれて、壮大さが増すと同時に抽象性が増してきたような感じがあって、個人的には三巻までのほうが、より好きだったかなあ。でも五・六巻の竜と人間の間のエピソードそのものはすごく好きで、最後まで読んでよかったとも思うのですが。

 ともあれ、とても楽しめました。ファンタジー好きな方なら一度は読んでおいて損はないと思います。

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 ちょっと日記。
 咳が出るのを言い訳に、ホントに休んじゃいました。
 同僚がみんな働いている時間にだらだらしているというのは、なんだか気が咎めるものですね! そして気が咎めるといいつつ昼から爆睡していた……病み上がりで体力が落ちているということにしておいてください(視線を逸らしつつ)
 明日からせっせと働いてきます。

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 読了。

 地方の個人病院に勤める勤務医の主人公は、漱石を愛するあまり古風な口調で喋るなど、風変わりなところがあり、昔から周りに変人あつかいされている。
 地方の医者不足の悲しさ、連日の激務でふらふらになりながらも必死で働く主人公に、大学の医局に移って最先端の医療を学んでみないかと言う声がかかる。
 医者不足の地方での救急指定病院では、業務は多忙を極め、充分な体制も設備もなく、そのなかでできるかぎりの処置をしていくしかない。医局に行けば、もっと最先端の設備や技術を取り入れて、充分な措置ができる。それは分かるけれど……。

『草枕』が愛読書という主人公の、漱石風の堅苦しいような口調のわりには、ユーモアまじりの軽いタッチで話がすすめられていきますが、感動のツボをついてくるたくさんの良エピソードがあり。油断しているところに不意打ちで二度ほど泣かされました……!
 あとコミカルな語りの間に挿入される情景描写が、何気にとても美しいです。

 主人公の、真面目なんだけどちょっとずれた間抜けなところが、すごく親しみがもてます。愉快な同僚や友人達も、いいキャラ。
 登場人物については、フィクション的というかキャラクター的というか、人物像や行動にリアリティを強く求める方には、もしかするとちょっと苦手なタッチかもしれません。が、私にはどのキャラクターも魅力たっぷりで、すごくツボにはまりました。
 あと主人公の奥さんに、自分の性別を見失う勢いでときめきました。可愛すぎるよ。むしろ私が嫁に欲しいよ! 「二次元に行ける技術の開発はまだか!」というネタの実感が、思わぬところで理解できました。(そこまで!?)

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 読了。

 めあてはブラウニングの詩、『春の朝』だったのだけれども、他にもボードレールやユーゴー、ダンテ等々、色んな詩の翻訳が集められています。

 訳がものすごく素敵。
 昭和二十七年初刷とのことだけあって、さすがに文体はふるく、一読では意味がつかめない箇所もしばしばありますが、とにかく言葉が美しい……!
 旧仮名づかいだから、すらすらとは読めないんだけども、美文萌えの傾向のある人間にはかなり嬉しい一冊。え? 読んでも意味の分からない部分? いったん通読して、特に気に入った詩だけもう少し詳しく調べたらいいんじゃないかな!(←いいかげんな読書姿勢)

 この詩集でブラウニングの詩を読むと、この間読んだ新訳とまったく印象が違うから驚きです。やっぱり訳の違いって大きいなあ。

 五七調で訳してあるものとそうでないものがあるなあと思ったら、筆者の前書きに、「高踏派の壮麗体を訳すに当りて、多く所謂七五調を基としたる詩形を用ゐ、象徴派の幽婉体を翻するに多少の変格を敢てしたるは、その各の原調に適合せしめむが為なり。」と触れてあって、すごーく文章に気を遣った時代なんだなあと改めて脱帽。

 ちょっとだけ引用します。ボードレールの『薄暮くれがたの曲』という詩の冒頭より。



 時こそ今は水枝みづえさす、こぬれに花のふるふころ、
 花は薫じて追い風に、不断の香の炉に似たり。
 匂も音も夕空に、とうとうたらり、とうたらり、
 ワルツの舞の哀れさよ、疲れみたる眩暈くるめきよ。




 かなりシアワセなひとときでした。

 ところで、自分の言葉への感性を磨くためにとかいう理由で詩を読み始めたんじゃなかったっけ。もう完全に趣味に走っていて、あきらかに自分の小説に活かせる領分じゃないと思うんですが。……まあいいか、読んでて楽しいのが一番だよね。(目を逸らしながら)

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朝陽 遥(アサヒ ハルカ)
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朝陽遥(アサヒ ハルカ)またはHAL.Aの名義であちこち出没します。お気軽にかまってやっていただけるとうれしいです。詳しくはこちらから
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