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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
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 読了。出たときに買ったのに、そのまま積んでました……!

 救急車のサイレンを訊くと、幼い日に母が言った言葉を思い出す、「どこかでね、誰かが、痛い痛い、って泣いてるんだよ」……
 困っている人を見ると、なんとか助けてあげたくて仕方ないという、人のいい性格が災いして、望まない訪問カウンセラー『のようなこと』を副業としている主人公は、かつて憧れていた近所のお姉さんに頼まれて、引きこもりになってしまったという彼女の息子に話を聞きに行く。
 けれどいざ口を利いてみるとひきこもりの青年は、奇妙な物語を語りだして……。

 伊坂さんらしいシュールレアリズム全開の、現実と幻覚と超常現象の境目が溶け出すような、幻惑的な作品でした。
 ひねりも聞いていて、面白かったのは間違いないのですが、わたしはどちらかというと、伊坂さんの作品の中ではこの類のものは苦手で、もうちょっと現実寄りの筋道立ったストーリーの方が好みだったりします。『オーデュボンの祈り』や『あるキング』、『グラスホッパー』あたりがお好きな方はいいかも?

 比較的好みではない、と言ってみても、伊坂さんにしては……ということです。好きな作品がたくさんある作家さんなので、ついつい視線が厳しめというか、好き勝手なことを言っていますが、登場人物に不思議な魅力があるのも、予想できない展開が待っているのも、次のページをついついめくらずにはいられないパワーも、しっかり健在で、楽しんで読んだことには間違いありません。

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 読了。

 時代もの。
 面白い話、怪談などが好きで、人々から聞き集めた奇妙な話を「耳袋」に綴った根岸肥前守は、還暦をいくつもすぎて、そろそろ勘定奉行というお役目の引退も考えようかと言うおりに、突然、町奉行という激務に任じられた。一人の男としては実にやりがいのある仕事、けれど体力がついていくかどうか。思わず迷う根岸だが、友に背を押され、決意を固めてお役目に就く。
 かつてはごろつきのような生活を送っていた時代もある根岸奉行。また、人々に面白い話を聞きまわって耳袋をつづっただけあって、その人脈は広く、町人や、裏街道を行くような人間にも顔が利く。その人脈を活かして持ち込まれた事案を丁寧に調べ、名裁きで評判になり、うなぎのぼりに人望を集めていくけれど、そうすると、その名声に嫉妬するものも出始めて……。

「感動した!」というのとは違うけれど、楽しく読めました。
 構成としてはミステリ風味だけども、推理的な要素やストーリーのひねりはわりと軽めで、あっと驚くという感じではなく、どちらかというと人情ものというか、でも人情ものというほど「泣かせる!」っていう調子ではなくて、痛快系かなあ。しかし「痛快!」というよりは、もう少しやわらかいというか、風情があります。
 池波正太郎とか好きな人は、こちらも好きかもです。

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 だいぶ前に、一度日記で紹介を書いた『ザ・ギバー?記憶を伝える者』の、新訳版です。

 高校生のときに出会って以来、すごく好きな本なんですけども、なにかいろいろと販売戦略が失敗したらしく、旧訳版は残念ながらあまり市場に出回っていなくて、ファンの方々の熱烈な運動で、このたび新訳版が改めて刊行されたそうなのです。
 それでいそいそと買いまして、今日手元に届きましたので、さっそく読みました。
 訳の違いとしては、どちらかというと旧訳のほうが好きなのですけれども、それにしても、やっぱり何回読んでもいい……!

 遠い未来を舞台にしたSF作品。
 そこは少人数のコミュニティで構成された、管理社会。
 人類は、天候を調整する技術を見つけ、差異を排除し、病や飢えや戦争を駆逐した。彼らはみな、定められた規則にのっとって、安全に、とても平和に暮らしている。
 そこは大きな苦痛や悲しみなど存在しない世界。毎年、決まった数の子どもたちが生まれ、決まった規則にのっとって暮らしている。とてもうまく作られ、安定した理想郷。
 その中にたったひとりだけ、過去の記憶を受け継ぐ役割の者がいる。人々が捨て去って思い出すことをやめた、かつての世界に満ち溢れていた記憶、色彩や音楽や、戦争や飢餓や苦痛や、愛の記憶を。

 初めて読んだときの衝撃がいまだに忘れられません。生きる喜びや意味を鮮烈に問いかけてくる、すばらしい本です。二回目だけど、しつこく紹介。オススメです。

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 読了。

 ところは神田御台所町、女ながらも蕎麦屋「つる家」で包丁を握る澪は、もとは上方の生まれだが、幼いころに水害で両親を失い、運よく引き取られていった先の料理屋をまた火事で失いして、繰り返し辛い思いをしながら生きてきた。そして今、上方の人々と江戸の職人たちの味覚の違いに苦労しながら、料理人としての道を歩もうと、日々努力を重ねている。
 そんな澪のもとに、彼女の料理の才を妬んだ有名料理屋から、悪質な妨害が入りだして……。

 正月に会った友達に薦められていたのを思い出して買ったんですが、いやあ、よかった!
 何度も重ねて辛い目にあい、ときには心折れそうになりながらも、また頑張ろうと立ち上がる主人公の姿に、勇気付けられます。繰り返しやってくる苦難を乗り越え、美味しい料理とお客さんの笑顔を求めて試行錯誤しながら、ときに周りの人々に支えられ、ときに周りの人々のために心を砕いて、成長していく主人公。王道なんだろうけど、そこがいいです。
 主人公や周りの人々の心根の優しさ、あたたかさが胸に沁みる人情もの。泣かせます。

 あと料理が美味しそうな小説はいいですね! 読んでてお腹がすいてきました。グルメじゃないんですけど食い意地が張っているので、こういうの読むともう駄目です。欲望が……とろとろの茶碗蒸し、いいなあ! 食べたいなあ!

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 全五作、読了。
 おもしろかった……!

 一作目『銀河ヒッチハイク・ガイド』を読んだときに、いったんレビューしていたのですが、シリーズを読み終えてからのほうがいいと思い直しましたので、改めて。

 シリーズの冒頭で、ものすごくくだらない理由で、地球は宇宙人の艦隊から、あっという間に消滅させられます。地球滅亡の感慨に浸る暇もない、あっけない幕切れ。
 銀河中のヒッチハイカーに読まれる書物(厳密には紙の本ではないデータベースですけれども)『銀河ヒッチハイク・ガイド』の現地調査員であるフォード・プリーフェクトは、その地球滅亡の瞬間、たまたま地球に調査のために滞在している真っ最中。フォードは友人だったアーサー・デントを連れて、その瞬間、地球を滅ぼしにきたヴォゴン人の宇宙船にヒッチハイクすることで、間一髪脱出します。
 ほんの一瞬で故郷を滅ぼされたアーサー・デントは、パニックになりながらも、フォードと一緒に銀河じゅうを頼りなく彷徨う、トンデモな旅に出ることになり……。

 ……だめだ、ストーリーをとても短くまとめきれない。
 しかし、ストーリーをというよりも、むしろ英国流の皮肉のたっぷり聞いたジョークを楽しむ本です。(断言)
 展開がはちゃめちゃすぎて、正直、途中でストーリーの運びについていけない部分も多少ありましたが、たぶんそういうのはどうでもよくて、ただこの人を食ったユーモアあふれる語りを楽しんだらいいんだと思います。
 全体を通じて、「無茶苦茶や!」とツッコみながら腹を抱えて笑いました。かなりデタラメでありながら、ときどきものすごく本格SFらしい設定が出てき……たかと思えば、次の地の文ではいきなり台無しにされていたりして、始終ニヤニヤしながら読んでいました。

 個人的には、1作目『銀河ヒッチハイク・ガイド』と、5作目『ほとんど無害』の二冊が飛びぬけて面白かったように思います。
 ラスト、5作めの終わり方は、ファンからも賛否両論だというのが、ものすごく頷けるエピローグでありました。第五巻の内容は、間違いなくすっごく面白かったし、巧妙な伏線が絶妙に絡み合って、秀逸な収束を迎えたのですが、それでも「ええええええ、そんな終わり方!!??」と悲しく叫ばずに居られない。うう、ネタバレになりそうだからもう黙ります…

 本当は、続きを書くという筆者の発言があったそうなのですが、その前に急にお亡くなりになったそうで……残念でなりません。

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朝陽 遥(アサヒ ハルカ)
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朝陽遥(アサヒ ハルカ)またはHAL.Aの名義であちこち出没します。お気軽にかまってやっていただけるとうれしいです。詳しくはこちらから
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