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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
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 読了。

 遠い昔、地球からおよそ五十光年の彼方で、超新星爆発があり、ひとつの星が重力崩壊を起こした。星は収縮して途方も無い密度となり、一秒に五回もの自転をして、およそ五十万年に一度、太陽系を掠めて楕円軌道を周回する、ひとつの中性子星となった。直径およそ二十キロ、表面重力六百七十億G、鉄の蒸気からなる大気を持ち、強力な磁場がこの星の地表を覆っている。
 この星の誕生から五十万年あまりのときを経て、2020年、再び太陽系の近くを通りかかったこの星、<竜の卵>の地表には、信じがたいことに、知的生命体が独自の文化を育みつつあった。
 そんなこととは露知らず、地球の天文学者たちは、この中性子星の接近に喜び、一隻の宇宙船を出して、<竜の卵>地表の観測を開始する。

 地球人の優秀な宇宙飛行士たち人間と、<竜の卵>の地表に棲む知的生命体<チーラ>の間には、体感時間に膨大な差があって、人間の一分が、チーラのおよそ二年にあたる。その中で、彼らがどのように接触し、どうやって交流を図っていくのか。<チーラ>側の視点と人間がわの視点とを、交互に追っていきます。

 うわあ……SFって面白い! 読み終えてじたばたさせられました。
 先に述べた、二種族の体感時間の差を利用した構成が秀逸です。
 少し厚めで文字は詰まってるし、ハードSFで、ぱっと見にはとっつきにくそうな本ですし、実際、専門的な知識がいる部分が頻出するので、そういう意味ではけして読みやすくはないのだけれども、ドラマチックな展開があり、息を飲むような盛り上がりがありと、難しい部分をあるていど理解できる素地があるか、あるいはわたしのように、分からない部分はさらっと流してなんとなく読まれるか(おい)、どちらかできれば、すごく楽しい本だと思います。

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 読了。

 評論。世界の終末ということについて、核戦争、原発、遺伝、歴史の中に埋もれた滅びていった文化、人々の終末思想、SF作品群に見られる人類滅亡のストーリー、恐竜の滅亡や種の寿命、サル学、伝染病の研究等々、さまざまな観点から語られた一冊。

 わたしたちは自分たちの滅びのトリガーを、意識しないまま緩慢に引き続けているのか。それは人類がいまの進化の道を選択した時点で、宿命付けられていたことなのか。いろいろと考えさせられる本です。
 本作にかぎらず、池澤さんのエッセイ等を読むたびにいつも思うんですけど、その知識の幅広さ・深さと、視野の広さに、読めば読むほど驚かされます。あと引用された書籍のタイトルを見ていて、そのジャンルの広さにもびっくり。

 ふだんは、評論なんていう堅苦しいものは読みつけないのですが、池澤夏樹さんの著作だから……というファンの理屈になっていない理屈で、手を伸ばしてみました。
 科学知識の乏しい私には、読むのに時間がかかりましたが、(ファンだから、普段のように分からない箇所をなんとなく読み流すということをしないで、ひとつずつ論旨を丁寧に追ってしまった、というのもある気がしますが……)それだけの時間を割く価値ありな一冊です。

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 読了。

 頃は江戸時代の末期、黒船が浦賀に来航した少しあと、時代が大きく動こうとしている頃合。
 主人公は小さな神社の禰宜で、人はいいけれど、いつもどこかのんびりしていて、しっかり者の弟にどやされている。彼は『夢告』という特殊な能力を持っていて、場を整え、鏡をもって祝詞を唱えると、知りたいと願ったことに関する夢を見ることができる。しかし、見たいものを見ることができるとは限らず、また、未来を見た場合は、見た未来とは違う結果になることもあるため、人からはあまり役に立たない占いだと、あきれられている。
 そんな主人公のもとに、古く大きな神社の宮司が、ある裕福な商家からの依頼を持ち込んだ。十年も前に火事で生き別れになった、一人息子を、その能力で探してほしいという。けれど、夢告に出てくる光景は、なんとも奇妙なもので……

 畠中さんの魅力は、愛嬌があってなんとも人のいいほっとするような登場人物と、安心して気楽に読める文章のとっつきやすさです。たとえ耳なじみのない言葉が出てきても、前後の文脈でフォローされているので、なんとなく読んでもだいたい通じちゃうし、展開に安定感があって、軽い気持ちで楽しく読める。
 ミステリ要素もありつつも、肩肘張ったところがなくて、素直に楽しめます。たぶん、普段からあまり小説を読みつけていない人にとっても、読みやすいんじゃないかと思います。

 本作もそのミリョク全開で、のんびりしていてちょっと抜けているけれど、自分が危険な目にあってもつい人を助けようとしてしまう主人公と、そんな兄を心配してぽんぽんしかりつけるしっかり者の弟のコンビが、とても楽しいです。というか個人的に、苦労性の弟に猛烈にときめく……!
 ガツンと重たい、パワーのある小説もいいけれど、安心してひょいと気楽に読める小説って、やっぱりええなあと思います。読書もやっぱり、ごはんとおかずとデザートのバランスだよね。(そう?)

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 読了。

 十歳の少女・マリは、年に見合わない飛びぬけた頭脳を持ち、そのために難しい性格をもてあましている。まだ二十歳にしかならない継母と反りが合わず、彼女を「新しいママ」と呼び、口を利こうとしない。そんなマリに、両親は家庭教師をつけることにした。勉強を教えるのではなく、カウンセラーとしての役割を期待して、心理学科の学生を雇い、高額の報酬を払って。
 家庭教師のアルバイトを引き受けた「僕」は、でっちあげた架空の物語をマリに話し聞かせる。ひとりの少女を守り、彼女を悲しませないためだけに、命を懸けて戦い抜いた、年老いたダックスフントの物語。その話に興味を引かれたマリは、次第に継母への態度を変えるようになり、そして……

 表題作を含む4作品が集まった短編集。純文学。これまで読んできた作品とは、少し毛色が違うというか、通じるものはあるんだけれども、ずいぶん感じが違いました。
 本作を好きか嫌いかというと、けして好きな作品ではありません。
 けれど、ひどく胸を引っ掻く。
 遣る瀬無くて、収まりが悪くて、割り切れなくて、胸に残る。消化できない強い感情が、読み終えたあと、いつまでも居坐る。
 そういう本でした。

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 読了。

 一作目がすごくよかったので、迷わずに二冊目を購入。(一作目のレビューはこちら
 女だてらに包丁を握り、料理人としての腕を磨こうと、降りかかる不運にもめげず、周囲の人々に支えられ、また逆に支えながら、一生懸命日々を暮らしている澪。常に工夫を凝らして、季節ごとの美味しい料理を追求する澪の姿を眺めていると、何かに真摯にとりくんで、誰かにそれを評価してもらうということの喜びが、ひしひしと伝わってきます。

 人が人を大切に思う気持ちがじんと胸に沁みる作品です。人情ものってなんだか弱いなあ……。
 そして料理が美味しそうなのが何ともたまらないです。手間をかければ自分でも作れそうなレシピなところがまたくせもので、実際には料理の腕前が壊滅的なわたしには……うん、まあ、その。

 時代物だけども、食という暮らしに密着した部分が主軸になっていて、食にまつわる形式で人々の情や心を描いているので、入り込みやすく、時代物が苦手な方にでも楽しく読めるのではないかと思います。
 また続編が出るのを楽しみに待とうと思います。いい出会いを提供してくれた友人に感謝!

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プロフィール
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朝陽 遥(アサヒ ハルカ)
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非公開
自己紹介:
朝陽遥(アサヒ ハルカ)またはHAL.Aの名義であちこち出没します。お気軽にかまってやっていただけるとうれしいです。詳しくはこちらから
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