小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
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読了。
凰介の母親が癌で亡くなった。数日後、その親友である恵が、遺書を残して飛び降り自殺をした。さらに翌日、恵の娘で凰介の友達である亜紀が車の前に飛び出して怪我を負う。つぎつぎに襲い掛かってくる凶事のなか、凰介は自分の父親のパソコンのなかに、恵の遺書のデータを発見して……
面白かったし、驚かされたし、ミステリとしてすごく秀逸な作品だと思うのだけれども、実はあまり深くは感動しなかったです。
陰惨な事件、隠された辛い過去、そういうものが、やや記号的に使用されているような印象が残りました。もっと心情描写の書き込みがあったほうが、より自分の好みだった……といったほうが正しいかも。
人間にリアリティを感じるヒマがなかったというか、自分の感受性の鈍さにも問題があるのですが、事件にまつわる関係者の心の綾を丁寧に描ききって余韻を持たせるためには、物語自体の尺がもう少し足りていないのではないか、という感じ。
しかしそういうことを思うのは、わたしが「謎」よりも「人間心理」の方に重点をおいて読みたがるほうだからで、ミステリとしては、そこまでやると少々くどくなるのだろうという気はします。
……などと、あれこれ好き勝手に言っておいてなんですが、ともかく面白かったのは間違いないです。ミスリードをさそうテクニックが見事で、あっと驚く真相が用意されています。心情面でややものたりなく思うのは、多分、『ラットマン』で感動した印象が強いから。
懲りずにまた道尾さんのほかの作品も読んでいこうと思います。……ホラー以外で!(←怖いのが苦手)
凰介の母親が癌で亡くなった。数日後、その親友である恵が、遺書を残して飛び降り自殺をした。さらに翌日、恵の娘で凰介の友達である亜紀が車の前に飛び出して怪我を負う。つぎつぎに襲い掛かってくる凶事のなか、凰介は自分の父親のパソコンのなかに、恵の遺書のデータを発見して……
面白かったし、驚かされたし、ミステリとしてすごく秀逸な作品だと思うのだけれども、実はあまり深くは感動しなかったです。
陰惨な事件、隠された辛い過去、そういうものが、やや記号的に使用されているような印象が残りました。もっと心情描写の書き込みがあったほうが、より自分の好みだった……といったほうが正しいかも。
人間にリアリティを感じるヒマがなかったというか、自分の感受性の鈍さにも問題があるのですが、事件にまつわる関係者の心の綾を丁寧に描ききって余韻を持たせるためには、物語自体の尺がもう少し足りていないのではないか、という感じ。
しかしそういうことを思うのは、わたしが「謎」よりも「人間心理」の方に重点をおいて読みたがるほうだからで、ミステリとしては、そこまでやると少々くどくなるのだろうという気はします。
……などと、あれこれ好き勝手に言っておいてなんですが、ともかく面白かったのは間違いないです。ミスリードをさそうテクニックが見事で、あっと驚く真相が用意されています。心情面でややものたりなく思うのは、多分、『ラットマン』で感動した印象が強いから。
懲りずにまた道尾さんのほかの作品も読んでいこうと思います。……ホラー以外で!(←怖いのが苦手)
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読了。
池澤さんにはこのタイプの本がけっこう多いように思うのですが、写真+小説というスタイルです。
サーフィンの魅力に取り付かれた主人公は、ふだんは日本で仕事をしているけれど、まとまった時間がとれると、休暇をとってハワイに波乗りに行く。
あるときふとした縁で、有名な建築家が建てたという家を訪ねるようになる主人公。そこには出身も年齢もさまざまな、ハワイの魅力に取り付かれた人々が入り浸っていて……
男運がわるくて日本で苦労してきた老婦人が、ハワイに移住してがらっと生き方が変わった……というエピソードがありまして、本筋にはそれほどかかわってこないんですけども、そこがすごく印象に残りました。
池澤夏樹さんって、北海道生まれの方なのですが、沖縄やギリシャやフランスと、これまでいろんなところに移住していらっしゃって、旅にもたくさん出ておられるんだそうです。だから小説にも、色んな土地の魅力があふれていて、読んでいると旅をしたくなります。二泊三日の観光旅行じゃなくて、一ヶ月とか二ヶ月とか、腰をすえてそこの暮らしを体感するような……。
もちろん実際にはしがない小市民である自分には、そこまでやれる思い切りはありませんが……
池澤さんにはこのタイプの本がけっこう多いように思うのですが、写真+小説というスタイルです。
サーフィンの魅力に取り付かれた主人公は、ふだんは日本で仕事をしているけれど、まとまった時間がとれると、休暇をとってハワイに波乗りに行く。
あるときふとした縁で、有名な建築家が建てたという家を訪ねるようになる主人公。そこには出身も年齢もさまざまな、ハワイの魅力に取り付かれた人々が入り浸っていて……
男運がわるくて日本で苦労してきた老婦人が、ハワイに移住してがらっと生き方が変わった……というエピソードがありまして、本筋にはそれほどかかわってこないんですけども、そこがすごく印象に残りました。
池澤夏樹さんって、北海道生まれの方なのですが、沖縄やギリシャやフランスと、これまでいろんなところに移住していらっしゃって、旅にもたくさん出ておられるんだそうです。だから小説にも、色んな土地の魅力があふれていて、読んでいると旅をしたくなります。二泊三日の観光旅行じゃなくて、一ヶ月とか二ヶ月とか、腰をすえてそこの暮らしを体感するような……。
もちろん実際にはしがない小市民である自分には、そこまでやれる思い切りはありませんが……
読了。
主人公・守屋路行は高校三年生、次の春には大学受験を控える梅雨時の、雨の煙る家路で、ユーゴスラヴィアからやってきたという少女・マーヤに出会った。
マーヤは父親の仕事についていき、各国のようすを見聞して、その知識を自分の国に持ち帰るのが使命なのだといった。観光地ではなく、素顔のその国を見たいといい、好奇心に満ちた質問を重ねるマーヤ。彼女がよく分からない出来事に出会ったときの口癖は、「哲学的意味がありますか?」だった。
マーヤと過ごすうちに、だんだんユーゴスラヴィアという国について興味をもつようになっていく守屋は、マーヤから聞いた話のほかにも、自分で本を買って調べ始めるようになる。しかしそんな矢先、ユーゴスラヴィアで独立紛争が起きたというニュースが、彼らのもとに飛び込んできて……
平和で退屈な毎日の中、ひとつのことに情熱を注ぐほどなにものにも熱中できずに、それなりに無難に暮らしている主人公。そこに飛び込んでくる、異国の少女。彼女の何気ない疑問のひとつひとつが、ものの見方の違いが、主人公の世界を広げていきます。苦労の多い身の上のマーヤが、とてもしっかりしていて、そして健気で前向きでよかった。
どちらかというとハッピーエンド派なんですけれども、米澤さんの書くアンハッピーエンドは余韻があっていいなあ……と思います。
主人公・守屋路行は高校三年生、次の春には大学受験を控える梅雨時の、雨の煙る家路で、ユーゴスラヴィアからやってきたという少女・マーヤに出会った。
マーヤは父親の仕事についていき、各国のようすを見聞して、その知識を自分の国に持ち帰るのが使命なのだといった。観光地ではなく、素顔のその国を見たいといい、好奇心に満ちた質問を重ねるマーヤ。彼女がよく分からない出来事に出会ったときの口癖は、「哲学的意味がありますか?」だった。
マーヤと過ごすうちに、だんだんユーゴスラヴィアという国について興味をもつようになっていく守屋は、マーヤから聞いた話のほかにも、自分で本を買って調べ始めるようになる。しかしそんな矢先、ユーゴスラヴィアで独立紛争が起きたというニュースが、彼らのもとに飛び込んできて……
平和で退屈な毎日の中、ひとつのことに情熱を注ぐほどなにものにも熱中できずに、それなりに無難に暮らしている主人公。そこに飛び込んでくる、異国の少女。彼女の何気ない疑問のひとつひとつが、ものの見方の違いが、主人公の世界を広げていきます。苦労の多い身の上のマーヤが、とてもしっかりしていて、そして健気で前向きでよかった。
どちらかというとハッピーエンド派なんですけれども、米澤さんの書くアンハッピーエンドは余韻があっていいなあ……と思います。
大手企業で宣伝部の課長を務める主人公・堀江は、リストラによる早期退職を目の前にしていた。
もう退職まで間もないある日、堀江のもとに、会長から名指しで、奇妙な仕事が舞い込んでくる。会長は私事で偶然撮影したというビデオを持参し、この映像を商品のCMに使えないかと言う。ビデオには、ひとりの若手経済学者が、マンションから転落した少年を受け止めて命を救ったシーンが写されていた。
しかし堀江はそのビデオが、会長のいうような偶然に撮影されたものではなく、CGで巧妙に作られた作品だと気づく。堀江が会長にそのことを告げ、CM製作を思いとどまるように進言したとき、会長は「感謝する」という不思議な言葉を残して、その翌日に自殺した――
藤原さんて、すごく綺麗な文章を書かれるんですけども、シーンの冒頭の一文の引き込みが強くて、いいなあと思います。ちょっと引用。
壁に映る炎のいろがある。狂ったような赤だった。
時計が目に入ってから気づいた。夕焼けのいろだ。ずいぶん長い間眠っていたのは風邪薬のせいかもしれない。出社時に着ていたシャツが汗でひどく濡れている。
こういう書き出しがまた似合うんですよねー。いいなあ。わたしにも、格好つけるのが似合うようなクールな文章が書ければなあ。(人はそれをないものねだりと言う)
暴力団関係者がたくさん出てくるので、任侠とか拳銃とか、フィクションでもそういうのはいやだ! という方にはオススメできませんが、個人的にはとても面白かったです。
藤原伊織さんの作品には、フィクションらしい男のロマンがあふれていて、それがすごくいいなあと思います。文章がきれいで雰囲気が素敵で、作品の空気に存分に酔っ払える、小説らしい小説です。自分の中では、横山秀夫さんが好きなのと感覚的に近いかも。
続きに拍手レスへのお返事です。
もう退職まで間もないある日、堀江のもとに、会長から名指しで、奇妙な仕事が舞い込んでくる。会長は私事で偶然撮影したというビデオを持参し、この映像を商品のCMに使えないかと言う。ビデオには、ひとりの若手経済学者が、マンションから転落した少年を受け止めて命を救ったシーンが写されていた。
しかし堀江はそのビデオが、会長のいうような偶然に撮影されたものではなく、CGで巧妙に作られた作品だと気づく。堀江が会長にそのことを告げ、CM製作を思いとどまるように進言したとき、会長は「感謝する」という不思議な言葉を残して、その翌日に自殺した――
藤原さんて、すごく綺麗な文章を書かれるんですけども、シーンの冒頭の一文の引き込みが強くて、いいなあと思います。ちょっと引用。
壁に映る炎のいろがある。狂ったような赤だった。
時計が目に入ってから気づいた。夕焼けのいろだ。ずいぶん長い間眠っていたのは風邪薬のせいかもしれない。出社時に着ていたシャツが汗でひどく濡れている。
こういう書き出しがまた似合うんですよねー。いいなあ。わたしにも、格好つけるのが似合うようなクールな文章が書ければなあ。(人はそれをないものねだりと言う)
暴力団関係者がたくさん出てくるので、任侠とか拳銃とか、フィクションでもそういうのはいやだ! という方にはオススメできませんが、個人的にはとても面白かったです。
藤原伊織さんの作品には、フィクションらしい男のロマンがあふれていて、それがすごくいいなあと思います。文章がきれいで雰囲気が素敵で、作品の空気に存分に酔っ払える、小説らしい小説です。自分の中では、横山秀夫さんが好きなのと感覚的に近いかも。
続きに拍手レスへのお返事です。
読了。
ひさしぶりに会った同級生に誘われて、ふらりと入り込んだ夜市。そこでは、人でないものたちが店をかまえ、ありとあらゆるものが売られていた。何でも切れる剣、黄泉路の石ころ、老化がすすむのが遅くなるという薬……。気味が悪くなり、もう帰ろうという主人公だが、市で何か取引を行わない限り、けして外には出られないのだという。
やがて同級生は、奇妙な昔話を始める。小さい頃、弟をつれてこの夜市に紛れ込んだことがある。子どもの持っていた金では、夜市で売られているものはなにひとつ買えず、やはりそのときも、何かしらの取引をしない限りは、けして家に帰れないといわれた。そこに行き会った人買いが言った、<坊や、お金がないなら、その連れている子で代わりに支払ってもいいんだぜ。そうすればすぐにここから出られるし、問題は何もなくなる>……
幻想ホラー。表題作の『夜市』と、『風の古道』という二本の中篇が収録されています。
わりと怖い系のお話は苦手なんですけども、こちらはホラーはホラーでも、色気というか、情感があってよかったです。
色気っていっても、エロ的な意味じゃなくて。艶というか、余韻というか……
幻想怪奇なんだけども、不条理なホラーというのではなく、夜市や古道にまつわる道理が、感覚的に胸の深いところにしっくりくるのがいいなあと思います。日本の精神文化の髄のところを汲んだような……といったら大げさでしょうか。
こういうホラーならまた読みたいな。
ひさしぶりに会った同級生に誘われて、ふらりと入り込んだ夜市。そこでは、人でないものたちが店をかまえ、ありとあらゆるものが売られていた。何でも切れる剣、黄泉路の石ころ、老化がすすむのが遅くなるという薬……。気味が悪くなり、もう帰ろうという主人公だが、市で何か取引を行わない限り、けして外には出られないのだという。
やがて同級生は、奇妙な昔話を始める。小さい頃、弟をつれてこの夜市に紛れ込んだことがある。子どもの持っていた金では、夜市で売られているものはなにひとつ買えず、やはりそのときも、何かしらの取引をしない限りは、けして家に帰れないといわれた。そこに行き会った人買いが言った、<坊や、お金がないなら、その連れている子で代わりに支払ってもいいんだぜ。そうすればすぐにここから出られるし、問題は何もなくなる>……
幻想ホラー。表題作の『夜市』と、『風の古道』という二本の中篇が収録されています。
わりと怖い系のお話は苦手なんですけども、こちらはホラーはホラーでも、色気というか、情感があってよかったです。
色気っていっても、エロ的な意味じゃなくて。艶というか、余韻というか……
幻想怪奇なんだけども、不条理なホラーというのではなく、夜市や古道にまつわる道理が、感覚的に胸の深いところにしっくりくるのがいいなあと思います。日本の精神文化の髄のところを汲んだような……といったら大げさでしょうか。
こういうホラーならまた読みたいな。
プロフィール
HN:
朝陽 遥(アサヒ ハルカ)
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
朝陽遥(アサヒ ハルカ)またはHAL.Aの名義であちこち出没します。お気軽にかまってやっていただけるとうれしいです。詳しくはこちらから
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