忍者ブログ
小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
 本題の前にお礼。『震える手』に拍手を頂戴していました。ぎゃー読まれた恥ずかしい! っていう気持ちと、すなおに嬉しいのと、なんかごっちゃになってわたわたしています。嬉しいです。ありがとうございました!

----------------------------------------

そばかすのフィギュア (ハヤカワ文庫 JA ス 1-4)
そばかすのフィギュア (ハヤカワ文庫 JA ス 1-4)


 読了。

 SFとファンタジーの入り混じった、不思議な雰囲気の短編集。
 病気を理由に移民船の一角に閉じ込められて、たったひとり、変化のない毎日を過ごす少女。悲恋の行方を自分のクローンにたくす女性。意識だけで時をさかのぼる特殊能力をもち、失われた伝統芸能をその目に見て復活させる使命を持ち、繰りかえし過去に飛ぶ女性……切なく美しく、どこか優しい8編の短編。

 収録されている作品のなかでは、『カーマイン・レッド』がいちばん好きだったなあ。人間によく似た自動人形の少年・ピィ。無体な扱いを受けてもそれを当然と受け入れ、感情というものを理解できないでいる彼の、機械のこころ。切ないです。

 あと少女。少女に萌ゆる! 少女好きの方ならきっとこれ好き!(なんだその紹介のしかた……)

 菅さんって、むかーし『ゲッツェンディーナー』と『メルサスの少年』を読んだような記憶があって(そうとう昔なせいで、うろおぼえですが)、なんだか主人公がものすごい大変な目にあっていて、読んでいてすごくしんどかったんだけど、でも面白くて、読み終えてすごい感動したような覚えがあります。
 あと、いま著作リストを確認していて気づいたんですけど、私たぶん、小学校中学年くらいのときに『オルディコスの三使徒』も読んでる。あれって菅さんの本だったんだ。なんか当時の自分のアタマには、難しかったような気がするんだよなー。いま読んだら面白いかもなあ。

 今回は友達から借りて読んだのですが、またそのうちほかの本も探してみようと思います。

拍手

PR
 と、先にお礼。昨日、『イッツ・ア・ビューティフル』と『雪が舞う夜に』に拍手をいただいていました。ありがとうございます……!

----------------------------------------
 本題。

明日この手を放しても (新潮文庫)
明日この手を放しても (新潮文庫)

 読了。

 大学二年生のときに突然視力を失った主人公・凛子と、その兄・真治の兄妹は、仲が悪く、喧嘩ばかりをしている。
 目の見えない凛子がどういう配慮を必要としているのか、ろくに考えようとしなかった真治。自分の不幸にばかり気持ちが向いて、自分の気持ちを分かろうとしない周囲への敵意をつのらせていた凛子。
 彼らの父親は、長年、原作つきのマンガの作画をしていた。なかなか売れずにいた彼は、編集者にすすめられて、凛子に原案を任せ、視覚障害者の少女を主人公にしたマンガを書き始める。その連載は、かつてないほど好評だったはずなのに、父親はある日突然、前触れもなく姿を消した。
 失踪なのか、それとも何かの事件に巻き込まれたのか。何も分からないまま取り残された二人は、協力して、父親の残した仕事を引き継ぐことにしたけれど……

 潔癖症すぎて人に厳しい凛子と、怒涛のように悪態ばかりついている真治。それが、しょっちゅうけんかしながらも、父親の失踪をきっかけに少しずつ変わっていき、お互いのいいところを認め合えるようになっていく。
 なんだろう、あらすじにしちゃうと地味だけど、少しずつ変わっていく兄妹の関係が、じんわりと心にしみる良作です。

拍手

 ブクログの紹介機能がせっかくあるのに、ぜんぜん使いこなせていない私。せっかくだから、今回からリンク張ってみようと思います。
 べつにアフィリエイトとかやってないんで、いいかなーと思ってたけど、観てくださってる方が、ご興味をもたれたときに、いちいちググらないとならないのもアレですもんね。自分のズボラさを反省。

あんじゅう―三島屋変調百物語事続
あんじゅう―三島屋変調百物語事続

 本題。読了。

 三島屋変調百物語シリーズ第二段。
 少しずつ心の傷から立ち直ろうとしているおちか。秘密厳守のふれこみで怪異の話を集める三島屋を訪ねる人々は、さまざまな話を持ち込んでくる。
 子どもの姿をした神様、家に住み着いた寂しげなあやかし、怪異を装ってうっくつを吐き出す家族。
 そこには思わずぞっとするような暗い心の闇があり、涙なしには読めないけなげなあやかしがいて、つらい過去から立ち直って明るく笑う子どもの姿がある。宮部みゆきさんの魅力がぐっと詰まった、読み応えたっぷりの一冊でした。

 四話構成なんだけど、一話一話が濃密です。何より、登場人物が魅力的なのが大きいなと思います。主役級の人々もだけど、脇役もそれぞれにいい。
 まだまだ続いてもよさそうだけど、どうなるんだろ。出たら絶対買うけどなー。

拍手

 読了。

 叔父の店である三島屋に行儀見習いとして預けられた娘・おちか。身近な人たちの間で起きた凄絶な殺し合い、その一幕を間のあたりにしたおちかは、悲しみと自責の念に、心を閉ざしてしまっていた。
 無心に働いているほうがまだ気持ちが休まるからと、親類の娘ではなく、奉公人として使ってくれと、叔父夫婦に懇願したおちか。はじめはただした働きをしていたおちかだったが、ひょんなことをきっかけに、叔父の命により、変わり百物語と称して、江戸の人々の語る怪しいふしぎ語りを聞き集めることになった。

 人の心の闇だったり、そこから生まれた怨霊や妄執だったりと、暗く重苦しい題材も多いですが、さすが宮部さん、集められた数々の話が収束し、切なくも力強い感動のラストへ。
 もともと怖いホラー作品はかなり苦手なほうなのですが、恐怖よりも、むしろ、怪異を題材にして、人間のこころの強さ・弱さや悲しさを描かれているので、怖いというよりも、やるせないとか、悲しいとか、力強いとか、そういう印象のほうが強いです。

 宮部みゆきさんの作品の中で、一番好きなのはと聞かれると、ミステリであるところの『名もなき毒』なのですが、宮部さんが書くジャンルの中でどれが好きかという話になると、時代物です。時代物>ミステリ>ホラー>ファンタジーかなあ。
『ぼんくら』『日暮らし』『あかんべえ』『孤宿の人』に、この『三島屋変調百物語』。もう大好き。そういえば『霊験お初』も好きだったな。だいたいが人情に弱いんですよね……。

拍手

 読了。

 や、やっぱりブンガクって難しいなあ……。なんて、ネガティブな感想から入ってしまった。ごめんなさい!
 もちろん、ぜんぜんつまらなかったとか、そういうのとは違うんだけど、浅学な身にはこの作品の面白さはわかりづらいです。いや、学よりも、むしろ感性の問題なのかな。

 ストーリーに起伏があって、結末に向って収束するような『物語』ならば、肌にあう合わないは別として、すくなくともそこに一定の面白さはあるんですよね。
 わかりやすい「おはなし」がなければ、あとはその小説の評価を決めるのは、どれだけ自分の心の琴線に触れるか、感情移入できるか、あるいは心をひっかくような何かを見出せるかだろうと、思うんですけど……

 断片的に切り取られた情景、不思議でヘンテコな人たち。現実のこととは思われないような出来事。遠くからなんとなく眺める分には、所々に狂的な美しさがある、ような気がするのだけれども、「……えっ、これでおしまい? それで、このお話のキモは何だったの?」という感じ。なんて貧しい感想だろう。
 小説に起承転結だとか、テーマだとか、カタルシスだとか、オチだとか、何かしらそういう脈絡を求めずにはいられない、良くも悪くも娯楽小説に飼いならされて育った人間の感想だなあという気がします。

 うーん。目の前にある文章の行間に、薄膜一枚隔てた向こうに、何か私にはうまく見出せないでいる、不思議な魅力があるような、そんな手ごたえはあるんですよね。
 でもその皮一枚を、どうとりはらっていいかがわからない。彼我の文化の違いがあるのかもしれないし、私個人の感受性の問題なのかも。

 なんかよく分からないままで終わるのも悔しいな。本屋さんで見かけて衝動買いした一冊だったのですが、池澤夏樹さんが世界文学の紹介で、同じ作家さんの『アメリカの鱒釣り』をレビューしてらっしゃったので、いずれそちらを探して読んでみようなかなと思います。それまで評価保留かなあ。

拍手

プロフィール
HN:
朝陽 遥(アサヒ ハルカ)
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
朝陽遥(アサヒ ハルカ)またはHAL.Aの名義であちこち出没します。お気軽にかまってやっていただけるとうれしいです。詳しくはこちらから
拍手コメントをいただいた場合は、お名前をださずにブログ記事内で返信させていただいております。もしも返信がご迷惑になる場合は、お手数ですがコメント中に一言書き添えていただければ幸いです。
twitter
ブクログ
ラノベ以外の本棚

ラノベ棚
フォローお気軽にどうぞ。
最新CM
[01/18 スタッフ]
[05/26 中村 恵]
[05/04 中村 恵]
[02/04 隠れファン]
アーカイブ
ブログ内検索
メールフォーム
約1000文字まで送れます。 お気軽にかまってやってください。
カウンター
忍者ブログ [PR]