小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
本題の前に。末尾の「READ MORE」のところに拍手コメへのお返事があります。
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のぼうの城 下 (小学館文庫)
文庫版上下巻、読了。(↑は下巻の表紙です)
「でくのぼう」の「でく」をとって「のぼう様」。成田長親は、当主の従兄弟という身分でありながら、百姓からさえ面と向かってのぼう様と呼ばれても、一向に気にせず平然としている。しょっちゅう場の空気を読まずに正直にものをいい、いつものんびり構えていて、何を考えているかわからない。野良仕事が好きで、好意からしょっちゅう百姓の手伝いをしたがるけれど、不器用すぎるせいでかえって邪魔になって、百姓の子にまで頭ごなしに叱られる始末……。
常々、馬鹿だ馬鹿だといわれる長親だけれど、本当にただの馬鹿なのだろうか。幼い頃からの友である丹波守は、しかしその馬鹿に、ただものではない“何か”を感じていた。
ときは1590年。秀吉公がいままさに覇権を握ろうとしており、成田氏の城・忍城もまた、石田光成率いる途方もない大軍に包囲されようとしている……
書店でよく平積みされているので、前から気になってはいたのですが、ちょっと前に友人から薦められたので、これを期にと読んでみました。そしたら面白かったあ! 夢中でページをめくりました。
きっと、戦国時代に詳しい方だったら、さらにもっと面白いんでしょうけど、歴史がよくわかっていないわたしにも、充分楽しむことができました。これむしろ歴史小説っていうよりも、キャラ萌え……もとい、人物伝という感じ。のぼう様が、すごく味がある奥深いキャラクターだし、その周囲の人々も魅力たっぷりに描かれていて。
展開の盛り上がり、演出、キャラの造形、まさに極上のエンターテイメント。イチオシです。
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のぼうの城 下 (小学館文庫)
文庫版上下巻、読了。(↑は下巻の表紙です)
「でくのぼう」の「でく」をとって「のぼう様」。成田長親は、当主の従兄弟という身分でありながら、百姓からさえ面と向かってのぼう様と呼ばれても、一向に気にせず平然としている。しょっちゅう場の空気を読まずに正直にものをいい、いつものんびり構えていて、何を考えているかわからない。野良仕事が好きで、好意からしょっちゅう百姓の手伝いをしたがるけれど、不器用すぎるせいでかえって邪魔になって、百姓の子にまで頭ごなしに叱られる始末……。
常々、馬鹿だ馬鹿だといわれる長親だけれど、本当にただの馬鹿なのだろうか。幼い頃からの友である丹波守は、しかしその馬鹿に、ただものではない“何か”を感じていた。
ときは1590年。秀吉公がいままさに覇権を握ろうとしており、成田氏の城・忍城もまた、石田光成率いる途方もない大軍に包囲されようとしている……
書店でよく平積みされているので、前から気になってはいたのですが、ちょっと前に友人から薦められたので、これを期にと読んでみました。そしたら面白かったあ! 夢中でページをめくりました。
きっと、戦国時代に詳しい方だったら、さらにもっと面白いんでしょうけど、歴史がよくわかっていないわたしにも、充分楽しむことができました。これむしろ歴史小説っていうよりも、キャラ萌え……もとい、人物伝という感じ。のぼう様が、すごく味がある奥深いキャラクターだし、その周囲の人々も魅力たっぷりに描かれていて。
展開の盛り上がり、演出、キャラの造形、まさに極上のエンターテイメント。イチオシです。
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はやぶさ、そうまでして君は?生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話
本題の前に、近ごろ日記に拍手くださってる方々、ありがとうございます。すごく元気をわけていただいています。
それからREAD MOREのところに、いただいた拍手コメへの返信があります。
ということで、本題です。
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読了。
先日、小惑星イトカワでの採取に成功して無事に帰還した探査船『はやぶさ』について、プロジェクトマネージャーをつとめられたJAXAの川口教授が記された、プロジェクト秘話。構想の段階から、実際に計画が動き出して、打ち上げられ、数々のトラブルを乗り越えて帰ってきた、はやぶさの帰還までを描いた一冊です。
あまりテレビを見ない人間なので、はやぶさのことで盛り上がっていたときも、ニュースで垣間見て「おおー!」くらいの反応だったのですが、こうして読んでみたら、こんなに数々の困難があり、奇跡があり、ドラマがあったんだと、驚きました。
わずかな燃料でどうやって地球を離れて、はるかな小惑星までたどり着くのか。そのためにぎりぎりまでの軽量化をはかりながら、最低限の重量しかつめない装備で、どうやって、小惑星の表面に着地するのか。重力のよわい小惑星では、着地一つも正確にやらないと、地面に跳ね返ってすぐに宇宙に飛び出してしまう。だけどイトカワまで指令を送るだけでも、何十分ものタイムラグがある……。そのうえ、現地で撮影や採取を行って、また地球まで戻ってくるには、どうしたらいいのか。次々に起きる予期し得なかったトラブルに、そんな距離から送る命令だけで、どう対処していくのか。
科学知識にうといシロートにも分かりやすく噛み砕かれて書いてありました。また、はやぶさの迎えたさまざまな苦境と、一喜一憂するスタッフの方々の思いが、ドラマに満ちていて、読みごたえもたっぷり。
SFがお好きな方や、宇宙に興味のある方にはもちろんおすすめですが、最前線で働いておられる技術者の方々の姿も、読みどころでした。すごいなー。宇宙開発すごいな。
本題のまえに事務連絡。
「続きを読む」に拍手コメントへのレスがあります。
あと、あしたは忘年会なので、そして十中八九酔いつぶれそうな感じの顔ぶれなので、あしたの更新はありません。飲んできまーす!
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ニュークリア・エイジ (文春文庫)
……と、いうことで、読了。
穴を掘っていた。大きな穴を。そんなものが核シェルターのかわりになるはずがない。わかっている。けれど、どうして皆、じっとなにもせずにいられるというのだ?
家の中では妻と娘が、狂人を見る目で僕を眺めている。だけど僕は狂ってなんかいない。核ミサイルは現実だ。爆弾は現実だ。戦争は現実だ。穴は囁きかけてくる。掘れよ。掘れ。掘れ! ただそれだけが、土を掘るたしかな手ごたえだけが、僕に安堵をもたらす……。
ジュニア・スクールの頃、あるいはハイスクール時代、あるいは大学のキャンパスで、あるいは徴兵から逃れるために身を隠しながら、僕は空を切って飛んでいくミサイルを、爆発を、死の灰を、キノコ雲を、殺されていく兵士たちを、この目に鮮明に見た。それは幻覚かもしれないけれど、この世界にたしかに実在するものだった。どうしてみんな、怯えずにいられるんだろう?
核の冬、冷戦、そしてベトナム戦争。大量の兵士と兵器がベトナムに送られ、何万人もの人命が遠い国で失われていく、その当時のアメリカ。核の恐ろしさや戦争の凄惨さから、人々が目を背けながら暮らす中、そこから目をそらすことができなかったゆえに狂気に陥った主人公の、息の詰まるような、孤独。
明らかに頭の配線が飛んでしまってるのは主人公のほう。だけど彼と、戦争に、核に、無関心を保ちつづける人々と、本当の狂気はどちらなのだろう……。読みながらふと、何度も胸をよぎる疑問。
繊細すぎて、臆病すぎて、頭がおかしくなったと思われる。人に笑われ、気の毒がられ、あるいは遠巻きにされて、そうするうちに自分でも、心に堅固な壁を築き上げる。うまく人とかかわることができなくなる主人公。思考が狭まり、他人を拒んで、だけど、それでも愛をもとめずにはいられない。彼は欲し続ける。安全な場所を、守ってくれる存在を、そして愛を。自分を守るために築いた壁が、ますます彼を孤立させ、傷つけていく。
そして、長年の希求の果てにようやく手に入れた愛も、やがて彼を裏切る……。
傍から見ると狂人にほかならない。だけど、その彼を突き動かしているのは、ただ恐怖、世界の現実。戦争と核の現実。それから、愛する者が自分のもとを離れていくという、現実。
劇的に変容し戦争に傾いていく世界、暴力の反乱、押し寄せる滅びのイメージ、強迫観念、コンプレックス、恋愛へのおそれ、過剰に膨れ上がる自意識、理解できないことの苦痛、理解されないことの恐怖、拒絶、孤独、かろうじて自分の平衡を保とうとする危うい精神のバランス。読んでいて、とても胸苦しい。
そして、狂ったようにしか見えない父親が、それでも自分のことを愛しているといい続ける父親が、毎日、毎日、庭に延々と穴を掘り続ける。シャベルとダイナマイト。恐怖と愛情の板ばさみになって、それを見まもる娘……。その心を思うと、胸が潰れそうになる。
主人公は間違っている。そう、たしかに色々なことへのアプローチを間違っている。自分の殻に閉じこもり、愛に都合のいい幻を投影し、存在しないものを追い求め、現実から逃げて。だけど、彼をただの狂人だと、自分と縁遠いものだと突き放して読むことが、どうしてもできない。
辛く、やるせなく、後味もいいとはいえません。誰にでも薦めきれる内容ではありません。でも、それでも、声を大にしていいたいです。素晴らしい小説でした。
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あと、あしたは忘年会なので、そして十中八九酔いつぶれそうな感じの顔ぶれなので、あしたの更新はありません。飲んできまーす!
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ニュークリア・エイジ (文春文庫)
……と、いうことで、読了。
穴を掘っていた。大きな穴を。そんなものが核シェルターのかわりになるはずがない。わかっている。けれど、どうして皆、じっとなにもせずにいられるというのだ?
家の中では妻と娘が、狂人を見る目で僕を眺めている。だけど僕は狂ってなんかいない。核ミサイルは現実だ。爆弾は現実だ。戦争は現実だ。穴は囁きかけてくる。掘れよ。掘れ。掘れ! ただそれだけが、土を掘るたしかな手ごたえだけが、僕に安堵をもたらす……。
ジュニア・スクールの頃、あるいはハイスクール時代、あるいは大学のキャンパスで、あるいは徴兵から逃れるために身を隠しながら、僕は空を切って飛んでいくミサイルを、爆発を、死の灰を、キノコ雲を、殺されていく兵士たちを、この目に鮮明に見た。それは幻覚かもしれないけれど、この世界にたしかに実在するものだった。どうしてみんな、怯えずにいられるんだろう?
核の冬、冷戦、そしてベトナム戦争。大量の兵士と兵器がベトナムに送られ、何万人もの人命が遠い国で失われていく、その当時のアメリカ。核の恐ろしさや戦争の凄惨さから、人々が目を背けながら暮らす中、そこから目をそらすことができなかったゆえに狂気に陥った主人公の、息の詰まるような、孤独。
明らかに頭の配線が飛んでしまってるのは主人公のほう。だけど彼と、戦争に、核に、無関心を保ちつづける人々と、本当の狂気はどちらなのだろう……。読みながらふと、何度も胸をよぎる疑問。
繊細すぎて、臆病すぎて、頭がおかしくなったと思われる。人に笑われ、気の毒がられ、あるいは遠巻きにされて、そうするうちに自分でも、心に堅固な壁を築き上げる。うまく人とかかわることができなくなる主人公。思考が狭まり、他人を拒んで、だけど、それでも愛をもとめずにはいられない。彼は欲し続ける。安全な場所を、守ってくれる存在を、そして愛を。自分を守るために築いた壁が、ますます彼を孤立させ、傷つけていく。
そして、長年の希求の果てにようやく手に入れた愛も、やがて彼を裏切る……。
傍から見ると狂人にほかならない。だけど、その彼を突き動かしているのは、ただ恐怖、世界の現実。戦争と核の現実。それから、愛する者が自分のもとを離れていくという、現実。
劇的に変容し戦争に傾いていく世界、暴力の反乱、押し寄せる滅びのイメージ、強迫観念、コンプレックス、恋愛へのおそれ、過剰に膨れ上がる自意識、理解できないことの苦痛、理解されないことの恐怖、拒絶、孤独、かろうじて自分の平衡を保とうとする危うい精神のバランス。読んでいて、とても胸苦しい。
そして、狂ったようにしか見えない父親が、それでも自分のことを愛しているといい続ける父親が、毎日、毎日、庭に延々と穴を掘り続ける。シャベルとダイナマイト。恐怖と愛情の板ばさみになって、それを見まもる娘……。その心を思うと、胸が潰れそうになる。
主人公は間違っている。そう、たしかに色々なことへのアプローチを間違っている。自分の殻に閉じこもり、愛に都合のいい幻を投影し、存在しないものを追い求め、現実から逃げて。だけど、彼をただの狂人だと、自分と縁遠いものだと突き放して読むことが、どうしてもできない。
辛く、やるせなく、後味もいいとはいえません。誰にでも薦めきれる内容ではありません。でも、それでも、声を大にしていいたいです。素晴らしい小説でした。

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)
読了。
ときは1970年、世の中ではコールドスリープが実用化され、徐々に普及し始めている。(※1950年代に書かれた小説です)とはいえ、それでもまだ、未来の治療法にすがるしかない重病人でもなければ、確実に目覚められる保証もないコールドスリープを、高い金をはらってまでしようという人は、そうはいない。
そんな中、すばらしい発明を次々に生み出した天才技術者の主人公は、技術にしか興味が向かなかったのがわざわいして、友と思っていた相手に会社をのっとられ、恋人にも手ひどく裏切られて、失意のどん底にいた。やけになった主人公は、アルコールの勢いで魔が差して、コールドスリープを決意する。三十年後、いまのままの若い姿で、老婆になったもと恋人の前にあらわれて、その老いた姿を笑ってやろうという、暗い情熱を持って……。
保険会社との契約書にサインをした主人公だったけれど、酒が醒めると気が変わって、そんな消極的な手段ではなく、堂々と裏切り者のふたりにケンカをふっかけにいくことに決める。ところが、相手のほうが一枚上手だった。隙をつかれ、薬物で意思をうばわれて、むりやりコールドスリープの機械に押し込まれた主人公。次に目が覚めると三十年後、西暦2000年になっていた。
復讐すべき相手の消息をもとめ、同時にかつての知己のゆくえを探していた主人公だが、暮らしてゆくためにも、また、技術者としての情熱からも、あたらしい時代の技術を身につけて、あらためて身を立てることを考える。過去をどうにかふっきって、新たな人生を歩もうとしていた主人公だが、やがて未来の世界で、とんでもないものを見つけて……。
面白かった!!
いやもう、夢中で読みました。あと主人公はロリコン。
……と、感想がそれだけじゃいくらなんでもなんなので、もう少し詳しく。
設定としては、コールドスリープや時間旅行、パラドックスといった、わりと古典的なSF。
この本の面白さは設定じゃなくて、その設定をストーリー展開にフルに活かしてあることと、どん底に突き落とされていた主人公が、決意し、奮起して、壁にぶち当たって悪戦苦闘しながらも、やがて機転を利かして、幸福をつかみとる……という波乱に満ちた王道のストーリー。
あと、SF的小道具が、時間旅行のような大げさな部分ばかりじゃなくて、家政ロボットや製図機や、風邪の駆逐された環境だとか、進化型のファスナーだとか、そういう日常臭い部分に及んでいることで、ぐっと親近感というか、生活感が増していて、そこが個人的にとても好きです。
登場人物は、いいやつと嫌なやつがやたらはっきりしているところが、なんか良くも悪くもアメリカっぽいなあ。(←偏見に満ちた発言)しかしその分、後半の展開がものすごい痛快でした。
そしてなにより、猫かっこいいよ、猫……! 主人公の愛猫・ピートの男前っぷりがハンパじゃありません。大好き!

物書同心居眠り紋蔵 (講談社文庫)
読了。
昼間に少しでもヒマができると、堪えようもなく居眠りしてしまうという奇病に悩まされる主人公・紋蔵。その体質ゆえ、日の当たる出世街道を望むべくもなく、とにかく外に恥をかかずにすむようなお役目につけられている。袖の下を望むべくもない役職で、扶持だけでは暮らし向きはなかなか苦しく、妻とともに内職をしながら子どもたちに食べさせているのが現状。そんな主人公が調べることになった、大小さまざまの事件……。
出世したいと思わないではないのだけれど、居眠りの奇病もちで、また、保身におもねって義や情を見捨てることができる気性でもなく、損な役回りを押し付けられがちな紋蔵。ちょっと情けないところがこっそりツボだったりします。あと主人公の身内や上役などの脇役たちも、なかなかそれぞれにクセがあって、すっとぼけていたり、度量がひろかったり、愛嬌があって楽しいです。
ということで、面白かったんですけど、せっかくの居眠り設定が、まだあまり活きてきていないように感じるのが、ちょっともったいないかなあ。いずれにせよ、シリーズものなので、またそのうち続きを読んでみようと思います。
プロフィール
HN:
朝陽 遥(アサヒ ハルカ)
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
朝陽遥(アサヒ ハルカ)またはHAL.Aの名義であちこち出没します。お気軽にかまってやっていただけるとうれしいです。詳しくはこちらから
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