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小説を書いたり本を読んだりしてすごす日々のだらだらログ。
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【長編部門】

深津弓春さま「さよなら一億の独り身たちよ」
 http://ncode.syosetu.com/n3090cf/

 主人公の少年・有理にとって、恵里紗は大切な存在だった。特別すぎて、大切すぎて、うかつには触れない、そんな相手。
 ある日ソフィアと名乗る転校生がやってきて、彼に向かってパラレルワールドの話をする。この宇宙には数え切れないほどの多数の並行世界が存在し、あらゆる可能性がそのどこかで実現されている。しかし君と彼女が結ばれる宇宙だけが、そのなかのどこにも存在しないのだと。
 二人が出会い、お互いに惹かれ会いながらも、けして結ばれることのないいくつもの並行世界。それぞれの並行世界での、まったく違う背景を持ったそれぞれに濃密で魅力的な物語を、ひとつの大きな小説の中に束ねて、それでいて調和を損なわない文章技芸の見事さに、感動しました……これまでこのピックアップ記事では読者としての感想に極力徹してきたつもりだったので、こういう意見(書き手の端くれとしての感動)を書くのもちょっとどうかと思ったんですが、あんまり感銘を受けたので、つい。
 そう言っても、文章や構成の技術の高さだけではこの面白さは絶対に出ません。丁寧に描かれた登場人物とその関係性あってこその、抜群の面白さでした。オススメ。



【短編部門】

早海徒雪さま「GO HOME TO HOME」
 http://ncode.syosetu.com/n7410cg/

 地球が生物の生きられる環境ではなくなり、宇宙ステーションで暮らしていた人々ばかりがかろうじて永らえた未来。しかし生き残った彼らもまた、疫病によりその数を激減させていた。
 宇宙ステーションという閉鎖空間で生き延びるために、強引な手段で人口を増やし、限られた人的リソースを活用するべく、その能力によって居住スペースを厳密に区分けする。そういう閉塞した管理社会の中で、目も耳も充分には機能せず、さらに片足がうまく動かせないという障害のために、足手まといと見下されながら生きてきた、ひとりの少女の物語。
 想像力を失ったとき、人は人を、差別する。ためらいなく踏みにじる。役立たずという引け目から、ずっと黙って虐げられてきた少女が、最後に選んだ道とは。
 重く、胸苦しいお話でした。力強い物語でした。この作品もぜひたくさんの方に読まれてほしい、良作でした。
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 ということで、6回にわたって紹介してまいりましたピックアップも、今回で最後になります。やあ、読んだ読んだ! 残すところは長編部門の投票のみなのですが、悩みます。現在進行形で、本気で悩んでいます。力作が多すぎて絞れないよう。
 正直はじめのうちは「これだけ作品数があるんだから、今回はさすがにぜんぶ読むとか時間的に苦しいしなあ。申し訳ないけど特に好みっぽい小説だけ探して読ませてもらおう」とか軽く考えていたわけですが、いざ読みかかったら面白い小説が次々に出てくる出てくる。
 結局は良作を読み逃したくないという衝動のほうが勝ちまして、全部とはいかなかったけれど、期間中完結作のうち152本を読了しました。文庫本何冊分だろう……さすがに読んだ全部の作品に感想を書くとかは早々にあきらめましたが(すみません)。
 お祭りをめいっぱい満喫させていただきました。楽しい夏だった! 主催者様に感謝。



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